1章2節――黒公卿とリアル争奪坊主めくり
【2-01】対峙、そして転落
【2節――黒公卿とリアル収奪坊主めくり】
左右の目が
やがて解を得たかのように、ヤツの両眼がこちらに向けられた。
「ごめンヨ、キミに見覚えはナイ。いったい
それは黒主にとっては、当然とも言える答え。
だから
「
「うン……?」
「10年前、貴様は兵士たちと里を
「……オオ!!」
「あったネエ、そンなこと。でも、それがどうしたンだい?」
おそらくは、ヤツにとって里のことなど、大した
人が虫を
それは今、こうして
「
「ふゥン。何だイ?」
「なぜ、里を
ウソが返ってくることは承知の上で、
すると黒主は耳の穴を指でほじりながら、のんきな口調で答えた。
「
「ふざけるな!
「でもネエ、そんな密告があったンだもン。仕方ないヨネエ」
耳穴をほじっていた黒主が、指についた
しかしその直後、意外なことが起きた。
黒主の近くを
キンッという金属音めいた音と共に、黒主が
「オオ、
そう言って笑う黒主の周りには、
二重
その見覚えのある文体を見て、
「
すぐに
「ほウ、その反応……リートを見たことが、あるヨウダネ……」
それまで
同時に黒主の周りを
頭部――そう、二重
教会連中が
(アーテイ氏、これは一体)
この
「あれは文字
すると案の定、どこからか現れて
見たことも聞いたこともない現象を
(ちっ。やはり未知の力はやりにくいな!)
タワーに
落ち着いたらリートの仕様について、理解を深めねばなるまい。
「一体、どんな力が……」
あの『文字
重ねて
「さてはキミもリートを持ってるンだネ。その力でボクの式神のコントロールを奪ったとすれば、合点もいク」
まずいな。
黒主の方が
となると、情報に疎いだけ
「だとしたら、どうする?」
「知れたコト。殺してでも、ウバいトル――……!」
眼光に鋭さを増した黒主がそう言った
今度は
しかし――。
「ハハハ、そンなの効かないもゥん」
不気味な
ヤツの周りを
「バカな……」
「その様子じゃ、文字
そういうことか。
となると
(どうする。『
マハから聞いた黒主のリート情報を
『
ジグ、ジグ、ザグ、
Zig et zig et zag, on voit dans la bande
王も
Le roi gambader auprès du vilain!
その意表を
されど不意に
Mais psit ! tout à coup on quitte la ronde,
だから対応が
あまりにも場の
On se pousse, on fuit, le coq a chanté
だから対応できたのは、理解ではなく直感によるもの。
その直感をもたらしたのは、リズミカルに
おお、
Oh! La belle nuit pour le pauvre monde!
――何かのカウントダウンをしているように、見えたから。
「くそっ!」
イヤな予感。
しかし、その直後――。
「Auf Wiedersehenダヨ、
黒主が
またたく間に視界が
(――――――――!!)
この展望台は地上100メートル以上。
飛び降りたところで、生きていられる高さではない。
(ここまでか……!)
最後に聞こえたのは、とても
ずっとずっと支えにしてきた、遠く、
「ほんとうは、あるよ――」
「あなたと、あるよ……」
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