【1-10】黒主との対決――棄京タワー
しかし――。
兵士は正しく
しかも、それだけではなかった。
信じがたい出来事が、起きていた。
まるで
あたかも世界の因果すら、ねじ曲げられたかのように。
一人だけ生き残った、上官らしき長耳の男が
「ど、どうした!?」
動かない兵に
「これが、
いま
なのに
実際に
これは神にも
この世の法則にすら
「貴様ァ、いったい何をしたァ!!」
今度は
しかし結果は、やはり同じ。
この力があれば、
いや、それどころか世界すら
黒主が「世界を作り変える力」と
「使っちゃったね、
目の前の事実に
「
「……………………」
「どったの? 感動しちゃった?」
「いや。マハは、この展開を
「あー、そっかもね」
もし
だが、だとすると。
「……いや。コイツが何を考えていたのかなんて、今は気にしている場合じゃない」
すぐ思い直す。今は街を式神が
そんな考察をするのは、後回しでいいんだ。
今ここで大切なのは、この
俺は頭を
「外では式神が無差別に人を
確か、そう。こう言っていたはずだ。
――『見つけたぞ、いま
「……あのとき、直前にマハが『
何らかの方法で検知したのだろうか。
だとすれば、どうやって――と、周りを見回して、
「そうか、式神。『
黒主が
思い返せば
「この式神が黒主に情報を送り、ここから黒主が兵士たちに指示を出す。つまり式神は通信役でもあったのか」
となると、逆に利用も出来るはず。
式神にも『
ならばリートを使えば、この場は
いや、それどころか逆に、黒主に
「……やってみるか」
ちょうど良い案配に、『
あの式神を使って、色々と
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
高さ100メートルの場所にある展望室には全方位にガラス窓が張られ、窓の向こうには遠くの山々までが一望できる景観が広がっている。
「……どういうことダ」
黒主は地上を
「
展望室に立つ黒主の眼前には、無数の映像によるタッチパネルが現れている。
そのパネルに記された
「住民ジャなく、兵士を
黒主は立体映像のタッチパネルを操作しながら、首をかしげた。
式神の
これほど大量の式神が同時に
「……イヤ。まさか、コレハ」
――が、ひとつだけ可能性があった。
「ハッキング……?」
第三者が何らかの方法で式神の
式神同士は
ならば一体の
「マサカ。式神の操縦には、異界の
無人兵器の式神には、簡単にコントロールが
そのセキュリティの穴を破れる人間なんて、この世には存在しないはず――。
「ダケド、現実はハッキングされてイル。それは認めるベキダ。ならどうすル?」
一度ネットワークに入り込まれれば、式神の動きは簡単に
「コントロールを
つぶやいた黒主は展望台の階段口を見た。
作戦中止となれば、こんな高台に
「……イヤ、マテヨ?」
階段口に向かいかけた足が、すぐピタリと止まる。
本当に、それだけで良いのだろうか。
自分は何か、
「ふぅム?」
あごに手を
しかし、その右目と左目は、それぞれ
しばらく黒主は
「イヤァ、ボクとしたことが大事なコトを忘れていたネ」
そうつぶやくと黒主は、再びタッチパネルの画面に指を
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「……ここに、黒主がいるわけか」
黒主の位置を割り出すのは簡単だった。
式神の正常な挙動を
つまりは
そうなると、どうなるか。
「
本来なら
すなわち今回の場合は、式神部隊を操縦する司令官――黒主の場所が分かる。
「頭の黒主さえ
今でこそ式神のコントロールを
もし黒主が対応すれば残った兵隊を阻止する
「そうなる前に、黒主を
黒主は10年前に
「なぜ、
黒主の独断かもしれないが、黒幕がいる可能性もあった。
ヤツを問いただし、黒幕がいるなら情報を
「……殺すのは、それを聞き出した後でも良い」
いずれにせよ、
この混乱と黒主の出馬は、その絶好の機会だ。
「最上階……」
建物内にある
式神からの情報では黒主一人の可能性が高いが、護衛がいるかもしれない。
(
しかしすぐに、その必要が無かったことを知ることになった。
「ようこソ。ボクの式神たちを
展望室に出ると、両手を広げて黒主が
しかし
(――護衛はいない。式神も。外部からの
辺りに目を配り、気配と物音から結論づける。
外部の
上から降りることは可能だが、下から上ってくることは出来ない。
それに式神を使いニセ情報を流させたから、兵士たちはここには来ない。
(ということは、黒主は
1対1でも
それとも、他に何かしらの方策を考えているのか。
ともあれ目の前に黒主が一人で居るのは、こちらとしては絶好のチャンス。
「そうだ。初めまして――――いや、久しいなと言うべきか。
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