【1-09】強制された呪歌の刻印
とっさに反応した
しかし
「あっ……!」
無防備だった少女の身体が、不自然にしなる。
「マハ!」
腹立ちに歯を
大理石に、みるみるうちに広がる
その量を見て、すぐに察してしまう。
「あ、と……少し……」
しかしマハの指は、それでも動く。
血まみれの指を
まるで、そうすることが最後の使命とばかりに。
みな
しかし上官格らしき男だけは
長耳の兵士。10年前に
「……………………!」
だが、そんなことはどうでも良かった。
目の前で、一つの命が
その命の
声をかけることも出来ず、助けることも出来ない。
出来るのは、ただ
やがて少女は指を止めた。
井戸の周りを囲む大理石の柱に、その細身の身体を預け、力なく笑う。
「…………ふ、ふ……
呼びかけられ、マハと目を合わせる。
「奏は、リートを
絶え絶えに
しかし、その手が
ずる、ずると。
少女の身体は力なく、あっけなく柱から
「マハ!」
リートが刻まれていた左手を取るが、薬師の少女は、もう動かない。
「――――ッ!」
その手を取っていた
ほんの
その不自然な感覚に、
すると。
「これは……リート?」
先ほどマハが見せた
赤く黒く、タトゥーのような漢字の連なり。
それが
『宇可利計留 人遠者川世能 山於呂之 波遣之可礼登波 以乃良奴物遠』
近寄ってきたアーテイ氏が、
これまでに見たこともない、
「
いったい、なぜ。
そう思った
「リートは持ち主が殺されるか、
「人々の願いを逆に
「奏は、リートを
(――――この女!!)
きっと死ぬ
「みんなの願いを、逆しまに
(――この女、とんでもない
黒主がリートを集めている。そのためには
ならば、
おそらくは、礼拝堂に乱入してきた兵士たちも、その目的は――。
「少年、立て。両手を挙げて、その女から
入口の方から、上官風の男が命令する。
同時に
相手は十人以上。その
「…………はい」
上官と思わしき男と、視線が合う。
男は
「悪いな少年。黒主さまのご命令で、任務を
まったく悪びれた様子もなく、男が笑う。
――殺されるのか。ここで。
――無力なままで。真実を世に明かせないまま、10年前に
心臓が
そのとき、アーテイ氏が耳元でささやいた。
「リートの力を使えば、
「ふふっ、究極の
(それは――……)
(
ゆっくりと男の手が上がると、次の
再びの
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