【1-08】願い、逆しまに叶える呪歌(リート)
『ベクター』という言葉を聞いて、
そう。コイツら長い耳の連中のことは、世間ではこう呼ばれていた。
「ベクター、か」
「マハでいいよ。ベクターは種族名みたいなもんだし」
「なら、
大した
マハもうなずくと、安心したように身を
「じゃあ
そう言うと、なぜか
「早く
「分かってる。でも、その式神が暴れる原因を
しばらくして
その井戸の上にはフタするように、空中結像の
「原因を
「式神を
「確かに。今の
確かに、
自分の知る限り、そんな
するとマハが、その理由を教えてくれた。
「それはね、
「異世界の言葉? だが、この式神は黒主が動かしていたのだろう?」
市中で黒主が演説していたときも、確か黒主はこう言っていたはずだ。
だから俺は黒主が
「黒主が持つ
確かに黒主は演説のとき、『
異なる言語を
それは「
「だとしても、異界と
今のマハの話が本当なら、成立するには条件が必要だ。
あるか無いかも分からない異界と、本当に
その疑問を唱えると、マハが空中結像の
「……ここ
「はっはっは、一体いつの時代の伝説だよ? 実際にそんなことあるワケが」
マハが
しかし笑い飛ばした
「
「とは言ってもな。だいたい、
さらに言い返そうとしたところで、
目的のために
(黒主……!)
「心当たり、あるようね。私も
「フタをされた井戸にしか見えんが」
「これは『六道の
そう言いながら、マハは結像の
気になった
「あんまり近づかない方がいいよ。死が
「ふふん。そのときはサッサと
しかし
多くのマス目には、1から100までの数字が光っていて、さらに数字同士が光る線でリンクするように結ばれている。
アーテイ氏も関心があるのか、
まあ、コイツが何をしようと現実に
マハが
「仕組みに興味ある?」
「まあな。要はここの結界を閉ざし、異界と
「そうだね。この数字の配列を変えると、結界が開閉する
そう言うとマハは
すると手の動きに反応して、数字の位置も移動した。
そのまま
「ずいぶんと
「……ずっと前、開けようとしたこと……あるから」
何やら
「で、今は結界が解除されているのか?」
「死が流れ出てる。この礼拝堂が
マハは
「やっぱり黒主が結界を開けたのか? だが何のために住民を式神で
なぜ、わざわざ異界の入口を開けてまで、式神で人を
もし単純に探し物を見つけたいなら、他の方法が
「黒主は、100の呪いの歌――リートを探している。
「ちっ、そんな理由で住民を
求める『
そんな乱暴な
すると
「まあ……残念ながら、その
その手首には赤と黒に
思わず
「ドラゴン・リート・プログラム74番、『
タトゥーのように、少女の手首に刻まれた
これを黒主は
「それが黒主の求める『
「あら。
「人の願いを逆に
むしろ無用の力だ。確かに他人に使えば自分は得もするだろうが、それでは――。
他の
ひととき昔を思い出していると、マハが息をついて
「でもね。もしさっき、あなたを式神から助けたのが、
「なに?」
顔を上げる。確かに先ほどの戦い、式神の最後の動きは不自然だった。
「さっきは薬品をかけたって言ったけど、実は私が式神に
「式神は
「あら。教会連中が言うには、人の感情自体、神が創った二重
(心ではなく、プログラムに働く力ということか)
もし、その
あらゆるプログラムが対象なら、この世の物理法則すらプログラムの一種。
そんな物理法則にすら通じるというなら、もはや神の次元の力なのでは――?
「それじゃ、まるで――」
「それはそうと、操作に集中したいんだけど。さっきみたいに式神に
「……はいはい。分かったから、さっさとしろ」
と言っても、
「見つけたぞ、いま
乱暴に
次いで乱入してきた兵士たちが
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