第3位・森口瑤子さんの俳句について 題「月」

次に、3位に選ばれた、

名人7段の森口瑤子さんの俳句を見てみましょう。


コリリとすっぱそうな三日月のかど


口語表現の上手な、森口さんらしい俳句です。

ユーモラスでメルヘンチック、何より発想力が抜群です。

当然、夏井先生も添削されませんでした。

ただ、惜しむらくは、少し破調だということです。

もちろん、破調には破調の魅力があるのですが、

私は、韻律を整えて、次のように添削してみました。


A コリリコリリとすっぱそう三日月のかど

B コリリかじればすっぱそう三日月のかど

C かじったらすっぱそう三日月のかど

D 三日月の角(かど)かじったらすっぱそう

E 三日月の角(かど)はコリリとすっぱそう

F 三日月の角(かど)は滅茶苦茶すっぱそう


ポイントは、

「コリリ」という森口さんのオリジナルのオノマトペを使うか、

あるいは「かじる」と言う動作の描写を使うか、

もしくは両方とも強引に詰め込むか、

はたまた両方とも断捨離するか、でしょう。

この添削は試行錯誤しました。

その苦心の跡が上記の添削例に表れていると思います。

どの添削例がいちばん優れているのか?

個人的には、添削例D、E、Fあたりが好みですが、

これは、読者の判断に委ねたいと思います。


第3章は、以上です。

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