第4話 映画デート?


 翌日から秋山とお昼を取るようになって、一週間が経った。最初は少し違和感があったが、一週間も経つと秋山といるのが当たり前になった。


(今日の弁当もおいしかったなぁ)


 寝る前にお弁当のことを思い出しながら動画を見ていた時、LOIEが鳴った。


{東雲、何している?}

{部屋でゴロゴロしている}

{明日、一緒にお出かけしない?}

{いいけど、どこに行くの?}

{映画!!}

 

(映画か~)


 高校生になってから一回も行っていないな。ここ最近は家で動画を見るのにはまっていたけど、久々に行くのもありだな。


 俺はすぐさまスタンプで了承をする。


{じゃあ明日10時にショッピングモール前に集合ね}

{わかった}


 少しだけ、気持ちが舞い上がりながら就寝した。


 翌朝、朝食を食べているとき、姉から話しかけられる。


「今日どっか行くの?」

「友達と映画見に行く」


 俺の言葉に姉が食いつくように言う。


「それって女の子?」

「ま、まぁ」

「早くいいなよ!! 今、洋服を見繕ってあげる」


 そう言われて、俺の部屋から何着も服を持ってきて、似合う服装を探す。


「あんまり時間無いから、何でもいいよ」

「ダメ!!」


 その後、五分ほど着せ替え人形をさせられて、服装が決まった。


「今度友達を紹介しなさい」

「気が向いたらね」


 俺は姉に手を振って家を後にした。


 ショッピングモールにたどり着くと、すでに秋山が立っていた。


「ごめん、遅れた」

「んん。時間通りだよ」

「ありがと」


 黒のワンピースに黄色いシャツを羽織っている服装で、ものすごく似合っていた。


「似合ってる」

「え?」

「初めて私服見たけど、似合ってるね」

「あ、ありがとぅ」


 なぜかそっぽを向かれてしまった。


(??)


「早く先へ行こ!!」

「あ、あぁ」


 すると、秋山がボソッとつぶやく。


「ふいに言うなんて卑怯だよ……」


 二人で映画館にたどり着くと、秋山が指をさす。


「この映画を見ようと思って」

「恋愛映画なのね」

「うん、青春を学ぶためにも映画を見よっかなって思って」

「そっか。ありがと」


 ここまで考えてくれているなんて思いもしなかった。

 

 そして、俺たちが飲み物とポップコーンを買おうとした時、店員から言われる。


「現在、カップル限定セットがありますが、いかがですか?」

「え、えっと……」


 俺がそう言おうとした時、秋山が遮る。


「はい、お願いします」

「ありがとうございます」


 店員から飲み物二つと特大ポップコーンを渡される。


「えっと、秋山?」

「お得なんだし、いいんじゃない? それにこれも練習だよ!!」

「そ、そっか」


(これも練習か)


 そう思いながら映画館に入り、上映が開始した。


 高校生同士が苦難を解決していき、付き合う恋愛映画。


(意外と面白いな)


 そう思いながらポップコーンを取ろうとした時、手がぶつかる。ふいに目が合い、ドキッとしてしまう。


(これが映画効果なのかな……)


 あっという間に映画が終わってしまい、フードコートへ向かう。


「楽しかったね」

「あぁ。少しすれ違いがあったけど、きちんと付き合えてよかった」

「うん!!」


 俺と秋山がフードコートで食べ物を頼んで、雑談をしようとした時、数人の女性がこちらへ近づいてくる。


「あれ~。秋山また男を変えたの?」


 その言葉と同時に、秋山の顔色が真っ白に変わった。

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