第5話 津波
今回は津波の描写が主となります。
津波によるトラウマをお持ちの方は自己責任で読んでください。
私は青く澄んだ海の浜辺にいました。
近くには女の子がしゃがみ込んでいます。
水着ではなく普段着でした。連れはいなく、一人です。
行ったり来たりの波間を楽しんでいると、ふと前方に巨大な津波が出現しました。
地震などの前触れもなく、十メートルは超えるであろう巨大な津波。そそり立つ波の頂上の白さまでがはっきりと目視できる津波です。
私は唖然としてしまい、頭の中も真っ白です。
すると、
「逃げろ!」
という、男性の声がしました。
私はその怒声で我に返り、少しでも高台を目指して駆け出します。
やっとのことで小高い山の中腹まで逃げてきたところで、ふと、あの水辺にいた女の子が脳裏を過りました。
大人の足で走ってようやく逃れた津波です。
あの子は津波にのまれてしまったに違いない。
私は胸が痛みました。
それでも津波は私の足元まで来て止まりました。
【夢分析】
海は無意識層の象徴です。
その無意識の層でおこった津波。
今、仕事のことでちょっと悩ましい事態が発生しており、私はこみあげる感情をセーブするのに精一杯の毎日を送っています。
ですので、あの津波は無意識層にしまい込んだた
けれども津波は女の子を一人のみ込んだだけで引きました。
この女の子も、普段は無意識層に押し込められたインナーチャイルド。
その彼女は波にのまれてしまい、意識下にある私自身はのまれずに済みました。
無意識にため込んだ不満や負の感情が高波となって押し寄せてきても、私は逃げた。
そして、本当の私自身ともいうべきインナーチャイルドは、のみ込まれてしまっていた。
私はまだ本当のことが言えずにいる。
湧き起こる感情から夢の中でも逃げている。
だけど、足元で止まった津波は一体私に何を訴えかけているのだろう。
夢の中では負の感情にのまれることなく、逃げきった私がいました。
けれども私の分身でもあるインナーチャイルドはのまれて死んでしまいました。
不平不満の高波から逃れたはいいが、失ったものもありました。
私はこのままインナーチャイルドを救出できずに無意識層に閉じ込めたままでいるのだろうか。そこに救いはないのだろうか。
いや、違う。
津波は私の足元まで来て引いていった。
中でも印象に残っているのは男性の声で聞こえた「逃げろ」の怒声。
私は逃げてもいいのだと。
立ち向かい、歯向かうばかりが正道ではなく、時と場合によっては逃げることも学びなさい。
こういう時には感情の暴発や発散ばかりが正解ではない。
そんな夢からの警告でもあり、救いの言葉でもあったような気がします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます