第21話

 この2つについては今は買う必要はないかな。


 必要になったときに買えばいいわけだし。


 次は”地図作成”だ。


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>地図作成

半透明のウィンドウを出現させ、地図を映し出す。

自分の現在地と、過去にマーキングした場所を名前つきで表示することが可能。

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 これも買っておいた方がいいだろうな。


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>インベントリ

専用の異空間に触れたものを収納することができる。

また、その空間に繋がる扉を自由に生み出し、消すことができる。

※生物を収納することはできません。

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 これは絶対に買わなきゃいけない。


 一人でダンジョンに潜る俺には必須のスキルだ。


――――――――――――――――――――――――――――――――

>鑑定

人間や、モンスターなどダンジョンに関わるものの情報を読み取ることができる。

魔法攻撃が高いほど、希少なものや強い個体の情報が読み取りやすくなる。

――――――――――――――――――――――――――――――――


 これも必要だな。


 戦いにおいて、敵の情報を知ることはとても重要だ。


 敵のステータスやスキルについて知っていれば、それだけでかなり優位に立てるからな。


 結局、俺は刀剣強化Ⅱ、身体強化Ⅱα、身体強化Ⅱβ、防具強化Ⅱ、障壁魔法Ⅱ、魔導の力Ⅱ、治癒魔法Ⅱ、地図作成、インベントリ、鑑定。


 合計で10個のスキルを購入することにした。


 1000Pのスキルが10個なので、合計で1万P減ってポイントは15271になった。


(さて。残りのポイントはどうするかな……)


 さっきまで3万ちょっとあったポイントが、もうほぼ半分になってしまった。


 普通のダンジョンでどれぐらい稼げるかわからない以上、ある程度ポイントは残しておいた方がいいだろう。


 とはいえ、あとちょっとぐらいなら使っても大丈夫かな。ここでもう少しはポイントが稼げそうだし。


 俺はあと5000ポイントだけ、強化水の全に使ってステータスを強化する。


 その結果、こんな感じになった。


――――――――――――――――――――――――――――――――

村上祐希 レベル:1


魔力   533/587

筋力   366

防御力  315

魔法攻撃 343

魔法防御 347

敏捷   340


武器攻撃力   60

防具防御力   82

防具魔法防御  28


ジョブ:ダンジョン生活者


スキル

ショップ

休息 

身体強化Ⅰ 身体強化Ⅱα 身体強化Ⅱβ

魔導の力Ⅰ 魔導の力Ⅱ

雷魔法Ⅰ 

刀剣強化Ⅰ 刀剣強化Ⅱ

火魔法Ⅰ 

障壁魔法Ⅰ 障壁魔法Ⅱ

防具強化Ⅰ 防具強化Ⅱ

挑発Ⅰ   

水魔法Ⅰ  

風魔法Ⅰ  

土魔法Ⅰ  

治癒魔法Ⅰ 治癒魔法Ⅱ

地図作成

インベントリ

鑑定


ダンジョンポイント:10271P

――――――――――――――――――――――――――――――――


 強化水とスキルのおかげで、また一段とステータスが強化された。


 実際にやってみなければわからないが、これならあのオーガでも簡単に倒せそうな気がする。


(まあでも、その前に麗華のステータスを見てみたいよな)


 ”鑑定”も手に入れたことだし、麗華のステータスが自分と比べてどうなのか確かめてみたい。


 そうすれば、今の自分がどれぐらいの位置にいるのかある程度わかるだろう。


「とりあえず出るか」


 俺はラストボスを倒すと出現する第1階層(の安全地帯)への転移魔法陣を使って、ダンジョンから脱出した。


 自室に戻ると、俺は昨日と同じように部屋から飛び降りた。


 庭から玄関に回り、家の中に入る。


 昨日とは違って、家には誰もいなかった。


 時間が早いせいだろうな。


「さて。これからどうするか……」


 今日は特に、夕飯を麗華にご馳走してもらうとかそういった予定はない。


 まあ頼めば喜んで奢ってくれるだろうが、あんな高いものを食べさせてもらった翌日に言うのはさすがに気が引けた。


 とはいえ、時刻はもうすぐ五時になる。


 冷蔵庫にはろくなものがないし、今から買い物に行って夕飯を作るにも微妙な時間帯だ。


 まあやってできないわけではないが、どうにも気分が乗らなかった。

 

(仕方ない。今日は外食にするか)


 あまり高いものを食べさせてやれないのが申し訳ないが……。


 まあ、それは将来ハンターとして大成したときにとっておくとしよう。


 五時半ごろに麗華が帰ってきたので、俺たちは二人で近所にあるラーメン屋に向かうことにした。


 ちょっと早いけど、もう夕飯が食べられるぐらい腹は空いているし(麗華にも確認済み)、問題はないだろう。


「ラーメンなんて久しぶりだなあ」


「向こうで食べたりとかはしなかったのか?」


「あの家じゃラーメンなんて出るはずもないし、一度外で食べたことはあったけど……正直あれを食べたうちにカウントしたくないかな」


「そんなに酷かったのか」


「うん。あれはもう別の食べ物だね」


 ラーメンは元々外国発祥の食べ物らしいが、本場はここ日ノ本だ。


 最近じゃその人気は海外にも広まっていて、ラーメン店の数も増えてきているらしいが……味の方はまだまだみたいだな。


「そういえば、どこのギルドに入るかはもう決まったのか?」


 結局、昨日はそのまま有耶無耶になってしまったが……気になっていことを、俺は麗華に尋ねた。


「うん。アルテミスに行くことにした」


 アルテミス。


 やはり四大ギルドか。


 まあ、レスミドでも有名ギルドにいたらしいから、別に驚くようなことじゃないが……。


 しかしアルテミスね。変わったところを選んだな。理由は察しがつくけど。


「アルテミスって確か、女しかいないギルドだったよな?」


「うん。といっても、それはハンターだけで、職員には男の人もいるみたいだけどね。数は少ないらしいけど」


 アルテミスのハンターは、すべて女性で構成されている。


 その理由は、男性と一緒にダンジョンに潜ることに忌避感を覚える女性ハンターが一定数いるからだ。


 上のレベルになってくると、どうしてもダンジョンの中で寝泊まりすることが出てくる。


 しかもモンスターの襲撃を警戒しなければいけないため、離れた場所で眠ることもできない。


 いくらテントが別だとしても、恋人や夫婦でもない異性と近くで眠ることに抵抗を感じるのはおかしなことではない。特定の相手がいる女性ならなおさら。


 アルテミスは、そういったニーズを汲んで設立されたギルドなのである。


 そんな話を、見学にいったときに聞かされたと麗華は教えてくれた。


「実際、ボクも向こうレスミドじゃ苦労してさ。眠るとき、男が近くにいるってだけでストレスになるし、しつこく言い寄ってくる輩も中にはいた。だから次ギルドを選ぶときは、最低でも女だけのパーティーに入れてもらおうって思ってたんだ」


「なるほど。それじゃあ、行きたかったギルドに行けたってことだな?」


 麗華は頷いた。


「もう入るパーティーとかも決まってたりするのか?」


「まあ一応は。といっても、入ってみて合わなければまた変わったりとかもあるみたいだけど」


「パーティーのランクはどうなんだ?」


「Aランクだね。本当はA+に入りたかったんだけど、お前じゃまだ力不足だって言われちゃった」


 まあ自覚はしてるから不満はないけどね。


 そう麗華は言う。


(Aランクか……)


 俺は麗華を”鑑定”し、表示されたステータス画面(俺にしか見えない)を見ながら考える。


――――――――――――――――――――――――――――――――

御山麗華 レベル:168


魔力   502/502

筋力   552

防御力  423

魔法攻撃 185

魔法防御 349

敏捷   478


武器攻撃力   

防具防御力   

防具魔法防御  


ジョブ:剣聖


スキル

身体強化Ⅰ 身体強化Ⅱα

刀剣強化Ⅱ

防具強化Ⅰ

蹴空

韋駄天Ⅰ

――――――――――――――――――――――――――――――――


 Aランクパーティーに配属される予定ということは、麗華はAランクハンターと同等の実力があると考えていいだろう。


(Aランクハンターって、このぐらいのステータスなんだな……)


 まず目についたのはレベルだ。


 俺自身のレベルが1から変わらないから、他のハンターのレベルがどのぐらいなのかよくわかっていなかったが、Aランクともなると普通に100を超えてくるようだ。


 まあ、今のところサンプルが一人だけなので、もしかしたら超えないハンターもいるのかもしれないが。


(で、ステータスの数値に関してはまあ……やっぱり麗華が上だな)


 今の俺と麗華を比較すると、ステータスには結構な差がある。


 とはいえ、ダンジョンポイントをすべて強化水に注ぎ込めばそれはほぼ埋まる。


 スキルに関しては俺の方が圧倒的に多いし、魔法も使えることを考えれば、持っている能力としてはそれほど差はないのではないか?


 と思ったが、一つ気になるスキルがあった。


(”韋駄天Ⅰ”か……)


 俺の知らないスキルだ。


 麗華の持つスキルはすべて、この”韋駄天Ⅰ”を除けば俺はどんなものか知っている。


――――――――――――――――――――――――――――――――

>韋駄天Ⅰ

敏捷を元々の値から40%上昇させる。

1分ごとに魔力を10消費する。

※「身体強化Ⅰ」によって強化された数値を、元々の値として扱います。

――――――――――――――――――――――――――――――――


 結構強力なスキルだな。


 魔力の消費は多いようだが、40%も敏捷をアップさせるというのはかなり厄介だ。


 敏捷が上がれば速度が増すため、敵の攻撃を避けやすくなる。視点を変えれば、攻撃する側は当てるのに苦労するわけだ。

 

(またショップをリニューアルすれば、俺もこのスキルを買えるようになるのかな……)


 そんなことを考えていると、いつの間にかラーメン屋の前に来ていた。

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