第15話

 まずは武器のところに新しく追加された、”鋼の剣”について見てみる。


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鋼の剣


攻撃力 60


特殊効果 

なし

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 鉄の剣と比較すると、攻撃力が25も上がっている。


 スキル”刀剣強化Ⅰ”を使うと78になるから、33増えることになる。


 50Pと値段が10倍になったので、一見物凄く割高になったように感じるが、悪くないんじゃないだろうか。


 以前と比べると稼げるダンジョンポイントは増えているしな。


 特殊効果はないようだが……。


 これに関してはもっとグレードの高い武器じゃないとダメなんだろうな。


 次は防具だ。


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全身鎧(鉄製) 


防御力  48

魔法防御  17


特殊効果

なし

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 こっちはまあ、普通だな。


 別に金属がグレードアップされたわけじゃないし、数字があまり変わらないのは当然だ。


 一瞬フルプレートにしたからもっと数字が上がるのでは?


 と思ったが、よく考えればおかしな話ではない。


 たとえば胸当ての場合、


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胸当て(鉄製)


防御力  43

魔法防御 15


特殊効果

なし

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 こうなってるわけだが、これはあくまで防具でカバーしてる範囲だけであって、何も装備していない場所は生身のステータスのままだ。


 フルプレートの場合は全身をカバーできるので、そこが違う。


 だから数字自体が大幅に上がるわけではないのだ。


 まあ全身をカバーできる分、実際の戦闘ではかなり役に立ちそうだけど。


(ただ重そうではある)


 次はアイテムを見てみよう。


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>強化水Ⅱ 魔力

魔力を25上昇させる

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 値段が上がった分、アップする数値も増えている。


 ただ値段は10倍になったのに、上がる数字は約8倍と少し。


 これはちょっとガッカリだな。


 次にいってみよう。


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>強化水Ⅱ 筋力    

筋力を15上昇させる

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 おいおい、マジか……。


 最初の方で嫌な予感はしていたが、どうもそれが的中してしまったらしい。


 他のも確認してみるが、同じような感じだった。


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>強化水Ⅱ 防御力

防御力を15上昇させる

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>強化水Ⅱ 魔法攻撃   

魔法攻撃を15上昇させる

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>強化水Ⅱ 魔法防御   

魔法防御を15上昇させる

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>強化水Ⅱ 敏捷

敏捷を15上昇させる

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 うーん。これはショックだ。


 これならショップはリニューアルなんかせずに、そのままがよかった。

 

 その方が効率的にステータスを上げられたのに。


 ……はあ。


 ”強化水 全”も一応、見てみる。


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>強化水 全

魔力を25、筋力、防御力、魔法攻撃、魔法防御、敏捷を15ずつ上昇させる

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 これも以前と同じような感じだな。


 他の強化水を全部合わせたような効果だが、ポイントは200P安い。


 特定のステータスを上げたいとかじゃなければ、これからはこっちにした方がいいかもな。


 最後に、”完全栄養ドリンク”だ。


 こっちはなんとなく、名前からどんなものか予想がつく。


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>完全栄養ドリンク

これ一本で、一日に必要な栄養素をすべてカバーすることができる優れもの

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 やっぱりか。


 今は別に必要性を感じないが、いずれはダンジョンの中で何日も過ごすことになるだろうし、そのときは間違いなく役に立つアイテムだろうな。


「お……」


 インタホーンが鳴った。


「祐希くん! 悪いけど出てくれない?」


 一階から麗華の声がする。


 下に降りてみると、風呂上りでバスタオル一枚だけを巻いた麗華の姿が。


「お金はテーブルの上に置いてあるから」


「わかったからさっさと服を着ろ」


 お金を取り、玄関へと向かう。


 今日の夕飯は出前だ。


 お世話になってるだけじゃ悪いからと、麗華が美味しいものをご馳走してくれることになっている。


 まあ選んだのが鰻っていう点に、若干思うところがないわけじゃないが……。


 ただそれでも、奢ってもらう立場だし文句は言えない。


 鰻は美味いしな。


 それにしても、鰻なんて食べるのはいつ以来だろう。以前食べたときは両親が生きていた頃だから、もう3年は経つかな。


「お会計、1万8千へんになります」


 高っ!


 俺はお金を払って、商品を受け取る。


 テーブルの上に2万も置かれてたときはびっくりしたけど、こういうことだったんだな。






「美味い……」


 麗華が着替えてすぐ、俺たちは食事を始めた。こういうのは早い方がいいからな。


 それにしてもこの鰻は本当に美味い。


 鰻ってこんなに美味しかったっけ? 


 久しぶりに食べたからか? 


 いや、それだけいいものだからか。だからあんなに高いんだな。


「喜んでもらえてよかった」


 嬉しそうに麗華がそう言った。


「なんか平然としてるな、お前は」


「まあ、正直言うとこういうのは食べ慣れてるからね」


 だろうな。


「ボクと結婚してくれたらいつでもこういうのが食べられるよ」


 なんかいきなり話飛んでないか?


 っていうか、この前は付き合ってくれって話だったのに、いつの間に結婚なんて話に……。

 

「祐希くんは働かなくてもいいんだよ? お金はボクがたくさん稼いで、養ってあげるから。家のことだって何もやらなくていいからね。全部お手伝いさんにしてもらうから、好きなだけイチャイチャできるよ」


「もし将来お前と結婚したとしても、俺はヒモになる気はないぞ。俺にだって最低限のプライドってもんがあるからな」


「でも外に出したらまた他の女が寄ってきそうで嫌だな。祐希くん優しいから拒めなさそうだし。ボクは祐希くんを独占したいのに、第二夫人とか第三夫人とか頭おかしくなりそう」


 日ノ本では一夫多妻制が許されている。


 その理由は、優秀なハンターを少しでも増やすためだ。


 強いハンターの子供は、ハンターとしての才能に恵まれている可能性が高い。


 そして強いハンターほど子供ができにくい傾向があるため、そのパートナーが一人だけでは到底足りないのだ。


 そういった理由から、最初は高ランクのハンターに限って一夫多妻制を認めたわけだが……。


 それは差別だと抗議の声が上がって、今では普通の男性にも一夫多妻制が認められるようになった。


「いや、せめて結婚してから悩めよ。現時点で俺たちは結婚どころか付き合ってすらないんだから、考えても意味のないことだぞ」


「でも、正直時間の問題じゃない? こうして傍においてくれてるってことは、ボクに好意は持ってくれてるんでしょ? そうじゃなきゃ家に泊めないはずだし、告白したときだって違う断り方してたはずだよね」


「そういえば、どこのギルドに行くか決まったのか?」


「あ、話逸らさないでよ」


 そんな感じで、俺たちは結構楽しい夕食の時間を過ごしたのだった。

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