第23話 部屋着なのだろうけど
放課後桐山を送り届けて、桐山の母姉達に引き留められるのを振りきって帰路につく。
今日桐山に保健室でしたことを思えば、家族に会わせる顔は無いだろうし。
もっと素直に言うと、恥ずかしさもある。
と言っても、すぐに家に帰る気は無いけど。
ピンポ~ン!
まるで見張られていたかのようなタイミングで通知音が鳴り響き、画面表示から委員長だと知れる。
タップして開いてみると、位置情報で。
ピンポ〜ン!
『ここまで来てくれる?入ったら2003で呼び出して。』
………………………………………おいっ!ここは駅前の高級マンションじゃないのか?
ここに住んでるのか?
おうちデートかよ!
表で会うんじゃないのか?
まさかな。
でも、期待していいのかな?
保健室での遣り取りからは、今日俺が桐山にした事以上のモノを期待できそうだし。
自分で思ってた以上に焦ってたのかもしれない。
早足で歩いたつもりが、駆け足だったようで。
息を切らせ自動ドアを潜り、管理人室からの視線に耐えながら呼び出しコンソールを操作する。
地元高校の制服姿だから不審者とは思われないだろうけど、ビビってしまう。
部屋番号をタップして呼び出し表示が出たらエレベーター前の豪華そうな扉が開いた。
これは、入って部屋まで行っていいと言うことだよな?
迷いながらも中に入り開ボタンをタッチしてエレベーターに乗り込み、20階を押して閉ボタンを押す。
ほとんど音もショックも無く着いて空いた扉を潜り、ここ最上階かよと目を見張る。
しかも最上階は三部屋しか無いみたいで、もしかして委員長はお嬢様なのかよとヘタってしまった。
ピンポ〜ン!
チャットの通知音が静かな通路に鳴り響く。
『着いたかな?まさか迷子かなぁ』
ビビってるわけにはいかないし、意を決して部屋の前まで行き、インターホンを押す。
解錠の音が静かな廊下に鳴り響き、いきなり全開になった扉に引き入れられて。
「もうっ、遅いぞっ!」
ドアを閉めてチェーンロックを掛けると同時に腕を掴まれ身体を押し付けられて、改めて委員長を見下ろして目が合うと息が止まるかと思った。
決して学校では見られない、いや町中でも家中でもそうはならないであろう格好の委員長。
普段着を通り越して、誘ってるとしか思えない薄布しか纏っていない彼女が俺に密着していたのだから。
正確には、下着姿が丸見え同然なパジャマ風な部屋着なのだろうけど。
急募?和菓子職人の嫁!『リアル』と『ネット』で始めるイチャラブ新婚生活 じん いちろう @shinn9930
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