第21話 眠らせ姫?

いきなり鼻息荒くなった桐山に強く抱きしめられたと思ったら、急に静かになって脱力して絡めていた舌が離された。


………………………………どうしたんだろうと思って体を離したら、安らかな寝息をたてて『お休み』の桐山。

コイツ、もしかして、眠かっただけなのかよっ!


ベッドの上、半ば脱がされかけた乱れた制服姿。

改めて見えたブラとショーツは薄いブルーの可愛いお揃いの物だった。

今誰かに見られたら、かなりヤバい状況ではある。

今なら何をしても起きないだろうと思いつつ、脱がしかけた制服を直していく。

無意識の内にやっていた事とはいえ、改めて桐山の肢体を見ると興奮が蘇ってきた。


ブラウスのボタンを嵌め直し、下着が露出した、めくれ上がったスカートは身体を浮かせないと直せなかったので、シッカリと抱きかかえて元に戻した。

改めてガン見したのは言うまでも無い事だろう。

決して元通りとは言えない直し方だけど、諦めて毛布を掛けてやってから傍らの椅子に掛けて桐山の寝顔を眺めた。


なんか、この状況が既視感と懐かしさを覚えるのは何故なんだろうか?


まさかこのまま放置するわけにもいかず、桐山の寝顔を見続けながら授業をサボって見守り続けた。


チャイムが鳴り響き、廊下が騒がしくなってこの後どうしようかと悩んでいたら、


「山田〜、どうして戻って来ないのよっ!」


「………………………………桐山が眠っちまったんだから、仕方ないだろう。」


カーテン越しに答えると、勢いよく開けて覗き込んできた委員長。


「………………………………桐山さんに、変な事してないでしょうね?」


「……………………………してねえよっ!」


「何で変な間が有るのよっ!変な事してるって自白してるようなもんじゃないのよっ?」


「…………………………………無いって!」


「桐山さんの下着の色はっ?」


「薄いブルーだっ……………………あっ!」


「………………………………………………」


「………………………………………………」


「で、その後に、眠ってしまったと?」


「…………………………はい、そうです。」


「あ〜、『眠り姫』ならぬ『眠らせ姫』かな?」


「…………………………なんじゃそりゃ?」


「だって、そうでしょう?正気に戻すはずが、眠らせてるんだからね。」


違いない。

どうしてくれようか。


「………………………………眠り姫を起こすようにけしかけたのは委員長なんだからな。誰にも言わないでくれよな?」


「ん〜、どうしようかな〜っ!」


「っ、頼むよ!」


「そうだね〜、じゃ、一つお願い聞いてくれるかな?」


「ああ、俺に出来る事なら。」


「じゃ、早速ねっ!そこで立ってくれるかな?」


何だろうと思いながら渋々立ち上がると、委員長が俺の隣に来て、首に両手を回して引き寄せたと思う間もなく、


「んっ…………………………………………」


「…………………ふふっ、アリガトねっ!」


「………………………………………何で?」


「ファーストキスなんだからねっ!ありがたく思いなさいよね?」


「………………………………だから何で?」


「山田、あなた、自分で思ってるよりも女子に人気あるんだからね。じゃ、次の授業も欠席って言っとくから桐山さんに付き添いお願いねっ。」


…………………………………………何で?

唇の、委員長の感触を思い出しながら、スヤスヤと寝息を立てる桐山の寝顔を眺めてから椅子にもたれるように座りんだ。

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