第20話 眠り姫

『もう一度、壁ドンしてキスしてみれば?…………』


委員長が、トンデモ発言をしてから、


「じゃぁ、山田に任せたからよろしくねっ!」


あ〜あ、行っちまった。


………………………………よろしくねっ、じゃねえよっ!

どうすりゃいいんだよ?


相変わらず、不思議そうに俺を見上げる桐山。

わかっているのかいないのか、相変わらず手は繋いだまま。


「………………………………桐山、お前、わかってるのか?まさか、態とやってないよな!」


聞こえているのかいないのか、視線を逸らさずに見つめてくる桐山。

まさか無視するわけにもいかず、かといってこのままでは埒が明かないし。


でも、なんとなく見つめられるのは恥ずかしくも心地よく、懐かしい感じがして。


桐山の手を引いて、保健室の奥にあるベッドに導いて一緒に縁に腰掛ける。

念の為、カーテンを引いて入口からは見えないようにしてから、


「桐山……………………眠り姫のふりをしているなら、今のうちにやめてくれよ?」


まあ、眠ってる訳じゃ無いけど、似たようなものだしな。


「………………………………もう、遅いからな?」


桐山の腰に手を回し、軽く唇を合わせながらベッドに押し倒した。

抵抗など全く無く、目を閉じるでもなく、されるがままの、桐山。


あ〜、これ、『壁ドン』じゃ無いよなと思ったけどもう遅い。

そのままディープキスを続けた。


無意識のうちに桐山の身体を制服の上からまさぐっているのに気がついてしまったけど、もう止められなかった。



※※※※※※※※※※



あれ?私、何してるんだろう。


白い天井。

白い壁。

白いシーツ。

白いカーテン。

ベッドに横たわる、私達。

あ〜、キス、してるんだよね。

なんでだろう。

山田だよね。

山田の舌が、私の舌に絡んで吸い出される。


思わず、山田の背に両手を回して抱きしめてしまった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る