第19話 保健室にて

「ん〜、治るかどうかわからないけど治療は必要だわね。あっ、田辺さん、私達保健室行くから2時間目遅れるって先生に伝えといて!」


通りかかった田辺女史に伝言を頼んで、委員長が何かを察したのか半ば無理矢理保健室へ連れて行かれてしまった。

遅れるのは少しで済むんだろうか?


保健室の扉を開けて、保健教諭に話しを聞いてもらおうとしたら、今日は会議で不在と札が貼ってあった。


「あら〜、参ったわね。どうしましょうか?」


ホントに、どうしようか?


「桐山さんがいきなり幼児化するぐらいだから、山田のせいで間違いなさそうだけど。」


俺のせいかよっ!

………………………………まあ、そうなんだろうな。


「山田、今朝の『ウワサ』は、本当なの?」


「………………………………どの噂か知らないけど、ホントの事だと思われます。」


みんなに見られてたみたいだから、ごまかしようがありませんっ!


「………………………………そうなんだ。羨ましいわね、桐山さんが。」


「………………………………何で羨ましいのかな?」


「そりゃ、女の子の憧れだからね?壁ドンからのディープキスなんて。」


「俺から無理矢理したわけじゃ無いからな。最初にしてきたのは、桐山だからな?」


「今朝の通学中だけじゃないってことかな!」


しまった!墓穴を掘ったかも?


「あ〜、今のは忘れてくれると有り難いんだが?」


「無理ね。言いふらしたりはしないけど、恋バナの材料にはさせてもらうからね!」


「………………………………勘弁してくれよ。所で、俺達はこれからどうすればいいんだ?」


「桐山さんが幼児化したのが壁ドンのせいなら、『ショック療法』しか無いわね。」


「何をさせる気だよっ!」


嫌な予感しかしないんだが!


「もう一度、壁ドンしてキスしてみれば?眠り姫様を目覚めさせるには、それが一番効果的でしょ!」

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