第18話 幼児化?
1時間目が終わり、さあ、トイレでも行くか〜と立ち上がろうとして、
「……………………おいっ、桐山?」
「……………………ふぇ?」
「ふぇ?じゃねえっ!俺はトイレに行きたいんだが?」
何故か立ち上がった桐山は、俺と手を繋いだまま教室を出てズンズン進んでいく。
何の躊躇いもなく男子トイレの中に入ろうとするのを押し留めて、
「おいっ、よせっ、やめろよっ!」
不思議そうに俺を見上げるその瞳は、まるで幼児のように何の疑問も無いように、何かを俺に訴えているようだった。
「あ〜、お前は男子トイレにははいれないのっ、わかる?」
軽く頷いたと思ったら、俺の手を握ったまま、俺を引きずるように隣の女子トイレに入って行こうとしたので、
「おいっ、よせっ、やめてくれっ!」
またもや不思議そうに俺を見上げるのはやめてくれっ!
「俺がコッチに入れるわけ無いだろうっ!」
ウンウンと頷いたので、わかってくれたのかと思ったら、隣の多目的トイレに文字通りにあっという間に引きずり込まれた。
しれっと扉を閉めようとしたので、たまたま通りかかった委員長に、
「おいっ、委員長?助けてくれっ!」
叫んでしまった。
※※※※※※※※※※
「はぁ〜、どうしてくれようか、コレ?」
委員長に救出された俺は、無事トイレを済ませ、再び繋がれた手を見つめて、トイレ前で溜息をついていた。
「ん〜、桐山さん、重症かも?」
委員長から、トンデモ発言が。
「なんだ、そりゃ!」
訳が分からん。
「明らかに、幼児化してるわね。何かキッカケがあった筈だけど、山田は心当たり、ある?」
……………………有る。心当たり、有りすぎるんですけど!
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