第17話 出し物

「さて、文化祭の出し物を決めようじゃないか?幸い1時限目は私の授業だから、ホームルームの時間からはみ出してもいいから見通しがつくまで話し合ってくれ。」


槌山先生からの、有難い提案で始まったホームルーム。


学級委員長の鈴木女史から前回の続きとして駄菓子屋はどうかとの確認から始まった。


「駄菓子だけだと、何の面白みも無いのよね?」


「焼き物や揚げ物のお菓子を屋台形式で追加なんかどう?」


いくつかの提案を聞いていた槌山先生が、


「屋台をやるなら品物によっては保健所に届け出が要るからな。調理するなら道具のレンタルや材料の仕入れも発生するぞ。」


委員長が、


「ん〜、案外難しいのね。」


何故か委員長は、手を繋いだままの俺と桐山を見つめて、


「ねえ、山田と桐山さん、二人で何か造って売ってくれないかな。二人ともお菓子屋さんでしょ?材料費は勿論手伝いも出すからどうかな?」


何を思ったのか、とんでもない事を言い出した。


でも、あ〜それはそれで面白いかもと思ってしまった。桐山は聞いているのかいないのか、俺の手をニギニギしたまま呆けてるし。


「委員長、何を造ればいいんだ?」


ここで聞いたらほぼ決定だなとは思わなくもなかったけど、ダラダラと話し合うよりはよっぽどマシだと思ってしまったんだよね。


「団子なんか売る茶店なんがどうかな?お茶とお菓子のセットで!あと、ケーキと紅茶のセットとか。」


そこからは話が早かった。みんなの提案を即決で採用不採用決めてって、お菓子の作成や調理はせずに俺達の店から仕入れて、お茶もペットボトルから注いでからレンジで温める方向で。


俺と桐山の店任せになるけど、それさえクリア出来ればソコソコの売上は期待できそうだし。


「では、山田と桐山はそれぞれの家で協力いただけるか確認しておいてくれ。」

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