第20話 話し合い①――――――――の前に、クリスタが横槍を入れてしもた!

「話し合うって?」


 レイモンドはこんな状況で、話し合うという言葉が素直に受け止められず思わず呟く。


「争いは憎しみしか生みません。私達は会話ができるのですから、話し合う事は大切なことですよ?」


 レイモンドは信じられなかったが、エドワードの銀のオーラに圧倒され、話し合いに応じる事にした。


「よし、これで大丈夫です。ルーファスさん聞こえますか?」


「…………?」


 クリスタの呼びかけに、ルーファスが目を覚ます。何が起こったのか理解できないようだ。


「ルーファス、いきなり攻撃はされたけど、彼らに敵意はなく、今から話し合いをするそうだよ」


「は?」


 レイモンドがちょっと皮肉を込めてそういうと、ルーファスはポカンと口を開いてこちらを見た。


「殿下が突然攻撃するからですよ?」


 エドワードは肩をすくめてそう言った。


「だって……そりゃあ、寝てるクリスタの側に男が2人居たらぶっ飛ばすだろ?」


 そうなのかな?

 ……そうなのかもしれない。レイモンドも、少し気持ちが分かってしまったのでツッコまずに黙っておいた。



§★§★§★§



 とりあえず瓦礫がれきだらけの部屋で話すのも何なので、違う部屋へ移動する。


「ルーファスさん大丈夫ですか?」


 クリスタは回復魔法をかけたが、あまり元気のないルーファスに、まだ治ってない所でもあるのかな? と思い、さりげなくボディータッチをしながら声を掛ける。

 ルーファスは、そんなクリスタをじっと見つめている。


(ちょっ、顔がいいので、そんなに見つめないでほしい!)


 クリスタは恥ずかしくて視線をそらしたいと思うのだが、やっぱり好みの顔はずっと見ていたいので頑張って堪えた。


(真紅の瞳が力強くてすごく綺麗だなぁ。何だか吸い込まれそう……)


 じーっとみつめあう2人……少しずつ距離が近づき……。(※クリスタが近づいている)


「何しとんねん」


 2人の間にアレクサンダーが割って入った。


「はっ!! アレクお兄様! 言葉遣いがおかしいですよ?!」


 突っ込む所がおかしいクリスタに苦笑しながら、アレクサンダーはクリスタを抱きかかえた。


「えっ?? 歩けますよ?」


 クリスタはアレクサンダーの行動が理解できず、降ろしてもらおうと思いそう言った。


「まぁまぁ、殿下はクリスタにずっと会いたかったんですから、抱っこぐらいさせてあげてください」


 エドワードが横からアレクサンダーを援護する。

 クリスタは、良くわからないけど、アレクサンダーが寂しがっていたのかな? と思い、仕方がないので抱っこさせてあげることにしたのだった。


「さて、事と次第によっては戦うことにもなりそうですが、まずは話し合いです。貴方達の目的を話していただけますか?」


 部屋を移動し、さっそくエドワードが真剣な表情で切り出した。

 その様子を見てクリスタは首を傾げる。


(そういえば、先生のオーラが白ではなく銀色なんだけど……何で?)


 アレクサンダーも青色から濃紺に変わっている……2人して何をしたのか。クリスタはとっても気になった。


「すみませんその前に、どうして2人共オーラの色が変わってるんですか?」


 黙っていることが出来ずに聞いてしまうクリスタ。


「殿下は水龍に強力な珠を作ってもらい特訓を、私は実は白龍だったので、本来の力を出しているだけなのですよ」


「えーっ! こんな短期間の特訓でそんな強くなったんですね流石さすがお兄様! って、先生が白龍??」


 アレクサンダーが凄い! と興奮したものの、白龍という言葉の意味が脳に伝わり、時間差でクリスタは驚く。


「こんな短期間って……クリスタが攫われてから1か月経ってるんだぞ?」


「えぇっ?! 嘘ですよね?!」


 クリスタは数日ほど眠っていただけで、そんなに日が経ってないと勘違いをしていた。


「本当ですよ〜。だから先程、ずっと会いたかったんですから、抱っこぐらいさせてあげてください、と言ったのですよ〜。そして私は白竜で間違いないですよ~」


「えぇぇぇ……そうだったんですね……」


 そんな3人のやり取りを聞きながら、レイモンドは冷や汗をかいていた。






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


どんどん胸キュンから遠ざかってゆく……やはり筋肉が以下略。

 

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