第19話 乱入―――――――――――えっ? どのタイミングで?!

 クリスタはレイモンドに言われた通り部屋で休憩をするべく、座り心地の良いソファーに座って本を読んでいた。

 しかし、やはり目覚めたばかりで疲れていたのか、本を片手に眠ってしまった。


 そこへ、話を終えたルーファスとレイモンドがやって来た。

 あの後、レイモンドはルーファスに『クリスタには詳細を伝えず、さっさと抱いてさっさと龍になる』と言われたのだ。


 レイモンドは複雑な気持ちだった。


(ていうか、ルーファス、女の抱き方とか知ってるんだろうか?)


 ふと、違う事が心配になってきたレイモンド。


(いや、そんな事よりクリスタがルーファスに抱かれちゃうのか……やっぱ辛いなぁ)


 レイモンドは何度も自分に、仕方ないんだと言い聞かせてきたが、ずっと複雑な心境だった。


「寝てるな」


「そうだね」


 2人の前には、ソファーで、すやすやと幸せそうに眠るクリスタの姿が。


(カプセル越しじゃない寝顔……可愛いなぁ。食べちゃいたい……って、今からルーファスが食べちゃうのか……)


 レイモンドは凹みながら、チラリと隣のルーファスを見る。


 ルーファスはじっとクリスタを見つめていた。


(ルーファス無表情だから、心が全然読めないなぁ……何考えてんだろ?)


「丁度良い、このまま……っ?」



ドゴォォッッッ!!!!!! 



「えっ?」

「ぐっっ!」


 突然、室内に青い光が差したかと思うと、あり得ないぐらいの爆音と衝撃がルーファスを襲った。隣りに居たレイモンドも余波で吹き飛ばされる。


「クリスタに指一本触れるなっ!!!」


 そこに現れたのは、濃紺のオーラを纏ったアレクサンダーだった。


「……?! えっ? えええっっ?! 何これ!? えっ?! アレクお兄様?!」


 あまりの爆音で、目が覚めたクリスタは叫びながら驚く。


 クリスタの周りにはバリアが張られていて、そこだけ綺麗なままだったが、そこ以外、室内はぐちゃぐちゃになっていた。

 そしてその向こうには、ここに居るはずのないアレクサンダーが仁王立ちしていたのだ。


(何故アレクサンダーがここに居る?! そしてこの力は一体?!)


 レイモンドは壁に叩きつけられたが、咄嗟に身を守り衝撃だけで済んだ為、濃紺のオーラを纏うアレクサンダーを見て驚愕する。


(ルーファスは?! あんな攻撃まともに喰らったらヤバいんじゃ)


 レイモンドは、衝撃が強くまだ動けないので、視線だけでルーファスを必死に探す。


(居た! やっぱり相当ダメージを喰らってる)


 服がボロボロになり、全身から血を流すルーファスを見つけたレイモンドは、素早く脳内で状況を判断する。


(不意打ちだからこうなったけど、アレクサンダーはまだ戦い慣れていないはず、僕が本気を出せば……)


 レイモンドは、真紅のオーラを纏っているが、見た目はそんなに強そうマッチョではない。

 しかし、龍と珠使いの戦争を生き抜いた屈強の戦士なのだ。例え相手が濃紺のオーラを纏っていようが、ルーファスを庇いながら戦おうが、実戦経験が少ないアレクサンダーに負ける気はしなかった。


「さて、次はお前か?」


 アレクサンダーがレイモンドに攻撃の照準を向けた瞬間――――


「アレクお兄様っ! ストップですっ!!!」


 クリスタの大きな声が瓦礫がれきだらけの室内に響いた。


「クリスタ何故止めるんだ?」


 アレクサンダーは不快そうにクリスタに問いかける。

 クリスタはソファーから降り、瓦礫をかき分けルーファスの元へ駆け寄る。


「あーっ! せっかくのイケメンが血塗ちまみれに! もう! アレクお兄様のバカ!」


「ばっ、ばか…………?」


 アレクサンダーは、クリスタからバカと言われた事に衝撃を受け固まってしまった。


(これはチャンスかな?)


 レイモンドはこのチャンスに、アレクサンダーを亡き者にしようと――――


「レイモンドさんも駄目ですよ!!」


 クリスタに一喝されて思わず固まる。


「あーっ、もう、ボロボロ! きゃっやだっ、筋肉がっ!」


 クリスタはルーファスを回復しながら、破れた服の隙間から見える筋肉に、きゃっきゃしている。


(何なんだろこの状況……)


 レイモンドは困惑するしか無かった。


「おやおや〜? これは一体どういう状況でしょうか〜?」


 アレクサンダーの後ろからヒョイと顔を覗かせたのはエドワードだった。


(銀のオーラ……)


 レイモンドは、そのオーラを見て戦慄せんりつした。


(こんなオーラを持つ人間など存在しない筈だけど……確か先生と呼ばれていた男だよね。でも、確か、何の変哲もない白いオーラだったはず……)


「あっ! 先生まで! どうしてここに?」


「えーと、クリスタは襲われたうえに攫われてきたんですよねぇ? どうして攫った人を治しているんですか?」


「えっ? 襲われた?」


 その時の記憶が曖昧あいまいだったせいで、クリスタはどうやって連れてこられたのか考える余裕も無いまま今に至っていた。


「はぁ、どうやら色々話し合う必要がありそうですねぇ」






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


あれ? 男女の営みからの胸キュンストーリーは??

 

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