第18話 悩んだ結果――――――――そうなるのね。

「えーと、過去の話はわかりました。次は、龍の子供であるルーファスさんを龍にするにはどうするんですか?」


 クリスタが話の続きを促す。


「……やっぱりそれは、ルーファスが落ち着いたら、一緒に説明しようかな」


(とりあえずクリスタより先に、ルーファスに言わなきゃいけないよね……べっ別に逃げてないよ!)


「そうなんですか? ではルーファスさんが落ち着くまで待ちます……けど、凄くショックを受けてたみたいですが、大丈夫でしょうか?」


「後で僕が様子を見に行くから大丈夫だよ。クリスタは目覚めたばっかりで疲れただろうし、この部屋で休憩しておいて。あっちには本棚もあるし、寝転べるソファーもある」


「分かりました。お話ができる状態になったら呼んでくださいね」


 そう言って、クリスタは本棚の方へ移動し本を選びだした。


(何してても可愛いなぁ、今すぐあのソファーに押し倒したい……)


 諦めた心はどこへやら。またもや肉食な想像をしてしまうレイモンドだった。



§★§★§★§



「はぁ……」


 ルーファスは自室の椅子に座り、深い溜め息をついた。


(何か虚しいと言うか何と言うか、今まで生きてきたと思っていた記憶が嘘だったとは……レイモンドは、俺がつい最近まで眠ってたと言っていたから、本当に、今頭の中にある記憶は全部作り物だったという事か…………)


 ルーファスは、自分の存在が良くわからなくなった。自分が卵から孵ったばかりの雛と同じなのだと信じたくなかった。

 記憶なんて無い方が良かったんじゃないか? ルーファスは、全ての事がどうでも良くなってしまった。


(考えるのめんどくせぇ……。まぁ俺が龍になったら、人間だった時の事なんてどうでも良くなるのかもしれんな)


 ルーファスは、結局龍になる運命なんだからと割り切る事にした。人間だった頃の記憶なんてどうでもいい。どうでもいいから、適当に魔法で植え付けたんだろう……と。


 実際は違うのだが、こじらせてしまったルーファスは、前向きな事が考えらなくなっていた。


「ルーファス、ちょっと落ち着いたかな?」


 部屋の扉の向こうから、レイモンドが呼び掛けてきた。


「ああ……」


 落ち着いたというのか、不貞腐れたというのか微妙ではあるが、ルーファスは肯定した。


「今、話をしたいんだけど大丈夫?」


「……ああ、大丈夫だ」


 本当に大丈夫なのか微妙ではあるが、ルーファスはそう返事し、部屋の扉を開けた。


「本当にごめん。孵った時に説明しようか悩んだんだけど、君の存在を誰にも知られたくなかったんだ」


「その話はもう良い。俺がどうやって龍になるのかを話してくれ」


 レイモンドに謝られたが、ルーファスは本当にどうでも良くなっていた。

 さっさと龍になってやるから安心しろ――そんな事を考えていた。


「えーと……ちょっと話しにくいんだけど……ルーファスはクリスタと愛し合わないといけないんだ」


「は?」


 余りにも予想外すぎる答えに、ルーファスは一瞬何を言われたのかわからなかった。


(今日は何なんだ? 記憶は嘘だの初対面の女と愛し合えだの……)


「あっ、愛し合うといっても、心はどっちでも良くて、やることやっちゃえば良いみたいなんだけど…………」


 レイモンドは言いにくそうに伝えてくる。


「はぁ……そうなのか……」


(あんなに大事そうに見てたもんな。本当は自分が抱きたいだろうに……)


 嘘の記憶だとわかっても、ルーファスにとってレイモンドは幼馴染みのままだ。

 ルーファスはレイモンドの気持ちが分かって複雑な気持ちになる。


「1回で良いのか?」


「えっ?」


「抱くのは1回だけで良いのかって聞いてる」


「えっ、えっと……多分」


「多分って……」


 駄目だったらどうするんだと思いながらも、それしかないのなら、やるしかないと決めたルーファスだった。






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


えっ! クリスタ貞操の危機?!

でもルーファスに恋してそうだから危機ではないのか? 危機なのか? どっちなんだい? 筋肉ルーレット!!


そして文字数がやばくなってきたので、ここ以降お願い&誤字脱字お知らせを省略しますが、以降もず〜っとコメントや♥や★大歓迎です!

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