第16話 真実―――――――――――なんかルーファスも可哀想な存在……
「は?……俺の記憶は偽物? 生まれた時から最近までずっと眠っていたって……嘘だろ? じゃあこの身体は、何でこんなに思い通りに動くんだ?」
ずっと寝たきりだったら、普通は筋力も衰え、立つことも出来ないはずだと、レイモンドの言う事を信じられないルーファスは問う。
「龍の子供は特別なんだよ。卵で生まれて眠り続け、
レイモンドの言葉にルーファスは何も返せなかった。
「そう……だったのか……」
そう呟きルーファスは
「あっ、あの……すみません。ええと、ルーファスさんが火龍の子供で、私が龍の巫女だとして、ルーファスさんを龍にするとはどういう事ですか?」
重い空気になってしまったので、少し話を進めようと、クリスタは思い切ってレイモンドに質問する。
「それは……」
「すまないが、ちょっと今は何も考えられない。時間をくれないか」
そう言って、ルーファスは返事も聞かずふらふらと部屋を出ていった。
「ええと……」
連れてこられた説明をしてもらったのは良いのだが、当の本人が真実を知らなかったのと、何をすれば良いのか分からないままルーファスは去ってしまった。
自分だけでもレイモンドに話を聞いたほうが良いのか? そしてその話を聞いたとして、自分はこの人達の為に行動するべきなのか? クリスタは、どうするべきなのかが分からなかった。
「クリスタごめんね。ルーファスにはそれとなく話しておけば良かったんだけど……」
「いえ……」
それな! とは言えるわけもなく、言葉を濁したクリスタはふと気付いた。
自分は攫われてきた身だし、今レイモンドは優しそうだけど、もし自分が役に立たない存在になったらどうなるのか……。
先程まで浮かれていた自分の頭を、ひっぱたきたくなる気分だった。
「そんな不安そうにしなくても大丈夫だよ。クリスタは僕にとって大事な存在だから……。ルーファスの気持ちが落ち着くまで、僕と話をしてくれるかな?」
少し悲しそうな、でもふんわりとした笑顔でそう言うレイモンドに、クリスタは少し切ない気持ちになった。
(レイモンドさんもルーファスさんに真実を言えない事を悩んでいたのかな? でも、どうしてこんな事になったのか知りたい。私にも関係することなんだから)
クリスタは気持ちを引き締め、レイモンドに詳細を尋ねることに決めた。
「どうしてこうなったのか、これからどうするのか、全部知りたいので、話してもらえますか?」
「あれ? 世間話をするつもりだったんだけど……まぁ、クリスタが知りたいなら話してあげるよ。僕達の過去と、これからのお話」
クリスタは知らない話だが、エドワードが400年前の争いを説明していた内容とほぼ同じ事をレイモンドは話し始めた。しかし途中から話は変わる。
火龍が重症を負ったのは、黒龍が火龍を
そして、火龍は身体を作り変える力が残っていなかったので、その場に居た女性の赤の珠使いの胎内に力を込め子供を作り、一番力の強かった真紅のオーラをもつレイモンドに託した。
その後、残った自分の生命力と近くに居た珠使いの生命力を全て使って未来へ飛ばしたのだ。
レイモンドは黒龍に復讐をする為に、その子供を火龍にする事を心に誓い、今から16年前の時代へタイムリープしてきたのだ。
その時、火龍が居ない状態で、火龍の子供が存在した為、龍の巫女であるクリスタが生まれたのだ。(火龍は仮の身体だったので、神には『火龍は居るには居るが、世代交代が必要』と認識されていた。理由などは無く、火龍の子供がいるから、それを火龍にする為に龍の巫女を生み出したという救済措置的な行動)
レイモンドは卵が孵る前にクリスタを見つけ出し、卵が孵ったらすぐに迎えに行くつもりだった。何故見つけてすぐ迎えに行かないのかというと、自分が老いると黒龍への復讐ができなくなるので、歳を取らないよう、コールドスリープ的なカプセルを造り、用がない時はそこで眠りつづけていたからだ。
そして8年前、やっとクリスタを見つけ出し、後はルーファスが卵から孵るだけだから、それまで眠っておけば良いと思っていた。
しかし、クリスタの近くにアレクサンダーがいる事に不安があったので、ちょくちょく起きて見守ることにしたのだ。
*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*
また昔話かよ恋愛要素少ねーな! とは思わず読んでやってください!
マッチョが退場してもた~!!!
そしてクリスタのイラストを、AIで作ってみたので良ければどうぞ〜↓
https://kakuyomu.jp/users/sa-ka-na/news/16817330665950549296
↓アレクサンダーのイラストも♪
https://kakuyomu.jp/users/sa-ka-na/news/16817330666085393313
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