第14話 良くわからない感情――――やっと恋愛要素が?!

(えーと、この人は良い人? だよね? 顔も良いし……って顔は関係ないか)


「この状況を説明しないといけないのだが、俺は説明下手だから、後でレイモンドという奴に説明してもらう。食事が終わったらここを出て、正面の部屋で待っていてくれ」


「えっ、あっあの、その説明の時にはルーファスさんも居てくれるんですか?」


 知らない人と2人きりで話すのは、気持ち的に心細く、ついついルーファスにそう尋ねてしまった。とはいえ、ルーファスも今さっき会ったばかりなのだが……。


「は?」


 ルーファスもクリスタの思わぬ質問に、気の抜けた返事を返してしまった。


(そんな顔も良い…………はっ! 何考えてんの私! でもルーファスさんの顔が格好良すぎてつい)


 クリスタは、ルーファスの顔が好みすぎて、さっきから思考が少しおかしくなっていた。


「あっ、いえ、いらっしゃらないならそれはそれで……えっと……」


 自分でも何を言ってるのか分からなくなってきたクリスタ。


「一応俺も同席するが……」


「そうなんですね! 良かったです! すぐ食べて行きますね!」


 ルーファスにまた会えるんだと嬉しくなり、食い気味で返事をしてしまったクリスタ。


(あれ? どうしてこんなに嬉しくなったんだろう? ルーファスさんの顔が良いから、もっと沢山見たいのかな?)


 自分でもこの気持ちが良くわからないまま、とりあえず宣言通りクリスタは素早く食事を終え、ルーファスに言われた通り正面の部屋へと向かう。


(ここがどこなのかわからず、不安なはずなのに、どうして胸が弾んでいるんだろう?)


 ルーファスの顔(と身体マッチョ)を思い出すと、何故か胸がドキドキしてしまう。クリスタは初めて感じる感覚に、不思議な気持ちになっていた。


(無表情で言葉に感情は乗っていなかったけど、もし、あのお顔で優しく笑いかけられたら……きゃーっ! 駄目だ! 格好良すぎて鼻血出るかも)


 部屋に入ったものの誰もいなかったので、クリスタは待っている間に暇になり、1人で色々妄想を始めていた。


(すごく逞しい腕だったし、胸板も厚かったよね……ぎゅーって抱きしめられたら、あの筋肉に潰されちゃうかも? きゃーっ! って何考えてんの!)


「えーと、クリスタ? 百面相になってるけど大丈夫?」


 正面から優しそうな声で問いかけられ、クリスタは我に返った。


(やだっ、なんか変な妄想してた!)


「だだだ大丈夫ですっ。えっと、あなたがレイモンドさん? ですか? ……あれ? 何処かで会ったことがあるような?」


 クリスタは正面に立つレイモンドを見た瞬間、昔会ったことがあると感じてそう言った。

 その言葉にレイモンドは一瞬驚いた表情をした後、とっても嬉しそうに微笑んだ。


(うひゃっ、何だ何だ?! 美しすぎて目がーっ! 胸がーっ!)


 レイモンドの美しい顔面から放たれる微笑みが眩しすぎて、クリスタは胸に手を当てて目を細めた。美男イケメンの微笑みは心臓に悪い――――そんな事を思いながら呼吸を整える。


(アレクお兄様の顔面で、イケメンさんの笑顔には免疫ができてるかと思っていたけど、違うタイプのイケメンさんだと関係ないんだなぁ)


 またもや、どうでもいい事を考えるクリスタ。この状況で、そんな事を考える余裕があるとは、結構図太い神経をしているようだ。


「僕の事覚えてくれてたんだ。嬉しいな」


 と、レイモンドが今度は、はにかんだ笑顔でそう言った。

 呼吸を整えた後で、更にまた胸キュンダメージを受けるクリスタ。


(ルーファスさんのような、胸の高まりではないんだけど、レイモンドさんはレイモンドさんで心臓に負担がかかるなぁ……何なんだろこれ?)


 クリスタは、アレクサンダーのイケメンさや、エドワードの美しさに慣れている筈なのに、どうもこのお顔から放たれる、眩しい笑顔には弱いようだ。

 まぁ、理由は簡単で、全く慣れていないからなのだが……。


「という事は、やっぱり会ったことがあるんですね。すみません、ちゃんと覚えていなくて……」


「いや、一瞬だったからね。少しでも覚えてもらえていた事が嬉しいんだ」


 本当に嬉しそうに話すレイモンド。


(ルーファスさんの無表情とは正反対で、凄く表情豊かな人だなぁ……ってそういえばルーファスさんは?)


 レイモンドに気を取られ、ルーファスが居るのかを確認していなかったクリスタは、キョロキョロとあたりを見渡し、ルーファスを探す。


「クリスタ、どうしたの?」


 突然クリスタがキョロキョロしだしたので、レイモンドは問いかける。


「あっ、えと、ルーファスさんも居るのかなーって思って……」


 何故かルーファスの名前を出すと、かぁっと恥ずかしくなって、顔に熱が集まる様な感覚に戸惑うクリスタ。


(何で恥ずかしいんだろ? そして何か顔が熱いんだけど……)


 クリスタは恥ずかしがって俯いてしまった。レイモンドは笑顔が消えた顔で、静かにその姿を見つめていた。






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


クリスタ、それはやっぱりあれですな、マッチョに目覚めた! ……あれ? 違う?


↓眩しい笑顔なレイモンドのイラスト

https://kakuyomu.jp/users/sa-ka-na/news/16817330666230413006


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