第13話 目覚め――――――――――アレクサンダーの方と時間軸が少しズレまーす

 誰も居ない部屋の中、クリスタの眠っているカプセルのふたが静かに開いた。


(…………あれ? ……眠ってた?)


 クリスタは起き上がり、自分の状況を確認しようとする。


(ここは……どこ? 城内では無さそう……)


 見たことのない部屋、見覚えのない場所。クリスタは、自分の置かれている状況が把握できず、ジワジワと不安な気持ちになる。


(頭がボンヤリする。直前まで何をしていたのか思い出せない……)


 随分長い間眠っていたのか、頭はボンヤリとするし身体も重たくて、クリスタは起き上がったものの、カプセルから出られないでいた。


「起きたのか」


 突然、後ろから男に声をかけられた。

 その声は感情を含まない冷たいもので、クリスタが知らない声だった。


「だ、……誰ですか? そしてここは何処ですか?」


 ややかすれた声で問いかける。


「声がかすれているな。身体におかしなところはないか?」


 クリスタの質問をまるっと無視して、その男はクリスタの身体を心配するような発言をする。


(えぇぇぇ、私の質問聞こえてなかったのかな? でも一応、私の身体の心配をしてくれてる? とりあえずちゃんと答えておこう)


「頭がボンヤリして、身体が重たく動きづらいです」


 モヤモヤしながらもクリスタは、自分の状態を伝えた。


「そうか、長い間眠っていたからな。時間が経てば治るだろう。俺はルーファスだ。そしてここは、赤の珠使い達が作ったシェルターだ」


 そう言いながらクリスタに近づき、軽々と抱き上げた。


(ふぇっ?! なっ何で突然抱き上げられたの?!)


 ルーファスは逞しい筋肉ややゴリマッチョに長身、真紅の髪に真紅の瞳、顔の造形も整っているうえにクリスタ好みだったので、抱き上げられて見えたご尊顔に思わずドキッとしてしまった。


(何このイケメンさん!! アレクお兄様より格好良い人初めて見たかも!)


 さっきの不安はどこへやら、クリスタはドキドキしながら、割とどうでもいい事を考えていた。


「軽いな……」


「えっ?」


 自分の胸のドキドキする音で、ルーファスの呟きが聞こえなかったクリスタは反射的に聞き返した。


「いや、何でも無い。……カプセルで栄養や健康面は大丈夫のはずなんだが……」


 ルーファスはまたもや呟きながら、クリスタをその逞しい筋肉で抱えたまま部屋を出る。

 自分の世界に入ってしまったルーファスに、クリスタは話しかけることが出来ず、とりあえず素敵なご尊顔を拝みながら、されるがままに運ばれていく。


(何処へ行くんだろ……って、そう言えばさっき、赤の珠使いって言ってたよね? 先生が魔法の授業で、赤の珠使いって凄く数が少ないとか言ってたような? こんな立派な建物を造れるぐらいなら誤情報だったのかな?)


 クリスタは、ルーファスの逞しい大胸筋の感触を頬で感じながら、そんな事を考えていた。


 ルーファスに運ばれた先は、食堂のような部屋だった。


「ここは、見たまんま食堂だ。作ったのは俺じゃないから、原理はわからんが、そこのパネルで食べたい物を選べば、選んだ食事がでてくる。食べ終わったらあの場所へ置いておくと勝手に洗ってくれる」


 ルーファスがそう説明してくれた。

 王城でも食べ終わった洗い物は、珠使いの魔法で作られた仕組みが良くわからない機械で、自動的に洗浄してくれるが、自動的に食事を作ってくれるなんてどうなってるんだろう? とクリスタは不思議だったが、食事のことを考えた瞬間、ぐぅきゅるる〜とお腹が鳴ってしまった。


「あっ、やっ、今のはっ、ええと……」


 クリスタは恥ずかしくて、思わず何か言い訳をしようとしたが言葉が出てこない。


「カプセルで眠っている間に、栄養は摂取していたが食事はしていない、空腹なのは当たり前だ」


 真面目に返されたその言葉で、クリスタは先程の恥ずかしい気持ちが消えていた。






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


アレクサンダー達の話の続きを書く予定だったのですが、このままでは恋愛にならんし文字数がヤバイ! そろそろ限界だ! という事で急遽時間軸をズラしてクリスタを目覚めさせました。

そしてルーファスは、ややゴリマッチョだった!💪(°∀°💪)


え? ゴリマッチョってどんくらいって? ゴリとマッチョの間です。


↓どんな感じかというと、こんな感じのルーファスのイラストw

https://kakuyomu.jp/users/sa-ka-na/news/16817330666058773151


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