第12話 龍の巫女―――――――――巫女って言われるとオネェなあの人を思い出す……ゲフンゲフン

「クリスタは多色使いだと、昔説明しましたよね? 多色使いには龍の巫女という役割があるのです」


「龍の巫女?」


 アレクサンダーは、聞き慣れない言葉を復唱する。


「本来、龍の巫女は、龍と共に過ごし、龍の力を安定させる役割があります。今までにも龍が力を暴走させてしまうタイミングで現れていました。しかし、それとは別の役割もあるのです」


「別の役割……?」


「新たなる龍を育てる役割です」


「え? 新たなる龍って、神が創ったとされる龍をただの巫女である人間が創れるんですか?」


「創るのではなく、育てるのですよ」


 それの何が違うのか、分からないアレクサンダーは首を傾げる。


「前にも言いましたが、基本的に龍は自分で自分を作り替え存在し続けます。なので火龍のような事が起こった場合、本来あの時に、龍の巫女が産まれていないといけなかったのです。しかし、何故か龍の巫女が産まれなかった。あの時は、火龍には子供が居なかったからなのかと思っていましたが……」


「……ちょっと待ってください。話についていけません。火龍の子供とは?」


「ああ、すみません。龍を育てるというのは、龍の子供を龍にするということなのです」


「龍の子供を龍に……ん? 龍に子供なんてつくれるんですか? そして龍から生まれた子供は、龍じゃないってことですか?」


 アレクサンダーは余計に混乱した。


「龍の子供というのは、龍が気に入った珠使いの胎内に魔力を込めると産まれる、珠使いの人間の事なのですよ。勿論、普通の珠使いよりは強いのですが、龍ではなく人間なのです」


「え?? 魔力を込めるだけで子供ができるんですか??」


 摩訶不思議アドベンチャーである。

 そうなると、まだ経験してない女性だったら処女受胎になるのか? と、話に関係ない事を考えるアレクサンダー。


「まぁ、滅多にすることはありませんが、そういう事ができるという事なのです」


「……そうなんですね」


 良くわからないが、凄いことを聞いてしまった気分のアレクサンダーであった。


「という事で、真紅の魔力を持つ者がクリスタをさらった理由はわかりましたね」


 間延びした話し方は芝居だったのかなぁと、またもやどうでもいい事を考えていたアレクサンダーは、エドワードの言葉に我に返った。


「え? 分かりませんが」


 そしてそう答えた。


(ていうか、今の説明だけで分かるか?)


「え?! わからなかったんですか?! 真紅の魔力を持つということは、その人物は火龍の子供である可能性が高い……というか、火龍の子供でしょう。何故、今現れたのかは分かりませんが……。そして火龍の子供という事は、クリスタはその人物を新たなる火龍にする為に攫われたという事ですよ」


 なんてこったパンナコッタ。


「だから攫われたんですね……。ん? てことは、その真紅の魔力を持つ者と戦ってクリスタを取り戻さないといけない……と? 確か真紅の魔力をもつ者って、凄く強い珠使いだと言ってましたよね?」


 アレクサンダーは、自分の力を過信してはいなかった。自分はそれなりに強いとは思っていたが、数百年前の、お伽噺とぎばなしに出てくるような強さの人物と、対等に戦えるとは思っていなかったのだ。


「そうですね。私が戦うことができれば良かったのですが、何せ龍なので、人間の争いには直接関われないのですよ」


 またもや、聞いてない情報を言い出すエドワード。


「えっ? 龍だから駄目? 人間の争いに関われないとは? ていうか相手は龍ですよね?」


「先程話した戦争を教訓に、龍達わたしたちは、龍同士は勿論、人間の争いにも、直接関わってはいけないという事になったのですよ。なので私は戦えません。そして相手は龍の子供なので、現時点では人間なのですよ」


 なんてこったパンナコッタ(2回目)。


「えぇ……私だけで勝てるのでしょうか……」


(城にいる珠使いを連れて総出で行くか? でも勝手にそんな事できないよな……)


 悩むアレクサンダー。


「今の殿下の力では勝てませんね。せめて濃紺のオーラを纏うぐらいでないと……」


(ノーコン……違った、濃紺か……)


「私のオーラは普通の青で紺でもありません。一体どうすれば良いんですか?」


 そんな力など無いアレクサンダーは、何か手がないのか、エドワードに問いかける。


「クリスタを諦められないならば、水龍に会うしか無いでしょうね」


「クリスタを諦めるって……」


 水龍というワードにも引っ掛かったが、クリスタを諦めるというあり得ない言葉に、アレクサンダーは思わず呟いた。


「現状、クリスタが危険な状態にあるわけではありません。生命力を使って殿下を治したので、まだ数週間は眠っていると思われます。そして、龍の巫女なので目覚めてからも大事にされるでしょう」


「だから諦めろって? 嫌だ。クリスタは大事な妹なんだっ!」


 シスコンパワー全開。アレクサンダーはエドワードの言葉にキレて、声を大にしてそう叫んだ。


「そう言う事は分かっていました。なので水龍に会うしか無いのですよ」







*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


えっ? 龍の子供の作り方が雑って?w

えーと、龍が人に変身して普通に子供を作る事も考えたのですが、それだとこの後の時系列が難しくなるのでこうなりました(^_^;)


少しでも面白いと思ったら、励みになりますので、気兼ねなく★や❤の評価をお願いしまーす(*´∀`*)


※誤字脱字情報もお知らせくださると有り難いです♪♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る