第11話 エドワードの正体―――――誰だっ誰だっ誰だー?!

「私は白龍はくりゅうなのです」


 エドワードが言った言葉は、とても現実味を帯びて

 その為、アレクサンダーはぽかんと口を開けたまま、間抜け面をかましていた。


「えっ? 先生が白龍? いや、どこからどう見ても人間なのですが」


 エドワードが白龍だなんて、とても信じられないアレクサンダーはそう答えた。


「そりゃそうでしょうね、この身体はただの人間ですから」


 エドワードがそう言うと、アレクサンダーは余計に分からなくなってしまった。


「えっ? 先生さっき自分は白龍だと言いましたよね? 身体は人間? えっ??」


「話せば長くなりますが……」


 またもや先生の長い話が始まった――――。




 火龍の身体を作ってから数年、仮の身体なので何か起きては大変だと、5匹の龍がそれぞれ交代で様子を見ていた。しかし、生き残った赤い珠使い達が、何を勘違いしたのか、火龍の身体を取り戻そうと何度も何度も襲撃をしてきたのだ。

 珠使いの数も少ないし力も弱い。龍の相手にはならないものの、例えて言うなら虫が顔の周りを飛び回っているようなもので、それはとても鬱陶うっとうしくて面倒だった。

 

 火龍の力を減らさずに、仮の身体のみを維持できて襲撃をさせなくなる、何かいい案がないものか。5匹の龍達は考えた。

 そして仮の身体のみを封印することにしたのだ。

 封印すれば外部からは何もできなくなるし、状態も変わらない。力は封印しないので無くならない、一石二鳥だと思った5匹の龍達は早速火龍の仮の身体を封印をした。

 そして赤の珠使い達はどうすることも出来ないことを悟り、襲撃は収まるのだった。


 しかし封印して数百年経った頃。丁度白龍が火龍の封印の場所を守っていた時のことだ。

 封印の場所を守る間は寝ずの番だというのに、その時代にはかなり平和になっていたので、白龍はついついうたた寝をしてしまったのだ。(うたた寝といっても、長寿の龍のうたた寝なので数十年単位)


 そして、ふと気がつくと火龍の封印場所にお城が建っていたのだ。

 えっ? いつの間に? また赤の珠使いたちの仕業か?! と白龍は思ったが、良く見てみれば珠使いではなく、ただの人間の集まりだった。

 白龍がうたた寝をしている間に、人間達が火龍の封印の上に、たまたま、お城を建ててしまったのだ。


 白龍は考えた。この龍の姿のままだと火龍の封印の元へと近づけず管理ができない。

 まぁ管理と言っても、ただ異常が無いか見るだけなのだが、このままだと見ることも出来ない。

 あの戦争から数百年、龍の存在も伝承として言い伝えられるようなこの時代、人間の前に龍が姿を現したら混乱が起こるに決まっている。


 他の龍達と相談し、白龍は一時的に身体を人間にすることにした。人間の身体には龍の力が強すぎるので、心の珠を2つに分け1つは体内に、もうは1つは触った時だけ魔法が使えるようにした。

 そしてお城が無くなるまで、白龍が人間の身体を入れ替えて管理することになったのだ。




「えっ!? ということは、私のご先祖様が勝手にここにお城を建ててしまったせいで、先生は人間の身体になっちゃったんですか?!」


「そうなりますね。そして今は白い塔の下に火龍の仮の身体が封印されているわけです。もし火龍が復活したら、心の珠等に何かしらの反応が起こるはずなので、今は復活していないと分かるのですよ」


 とんでもない事実に、アレクサンダーは全部作り話だと言って欲しい気持ちになった。


 エドワードが白龍で、火龍の仮の身体が白い塔の下に封印されている、その話は壮大すぎて、アレクサンダーはその事実を素直に認められなかった。が、クリスタを探し出すためには無駄な時間をかけていられないので、無理やり気持ちを納得させる。


「先生が白龍なのはわかりました。それで火龍は復活しておらず、仮の身体が白の塔の下に封印されている事もわかりました。ところで、何故存在しないはずの真紅の魔力を持つ者が、クリスタを攫ったのですか?」


 アレクサンダーは慎重に考え質問をした。

 ここで取り乱すと、クリスタを救出することが出来なくなるかもしれないからだ。


「……何らかの理由で、真紅の魔力を持つ者が居たとすれば、クリスタを攫う理由の予想は付きます」


 予想がつくのかよ! とアレクサンダーは思ったが、変なツッコミで話が長引くのは嫌だったので、その言葉をごくりと飲み込んだ。






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


ご先祖様が勝手にお城を建ててしまったのは申し訳ないとは思うけど、元凶は先生が寝てたからじゃん……とは言えないアレクサンダーであった。w


せっかく半裸のマッチョがおるのに、筋肉の描写が無い……(ヽ´ω`)


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