第7話 襲撃―――――――――――あらすじ通りの事がおこっちゃいます!

 クリスタの不安は心のなかでくすぶっていた。表面上では取りつくろっていたが、ふとした時にその不安で塗りつぶされそうになるのだ。


 そんな不安をよそに、今日も魔法の練習が始まった。 


【突然だがここで少し珠使いの説明をしよう】

 珠は、色によって使える魔法が違うけれど、系統は決まっていない。

 青色でも黒色でも何色でも、回復魔法は使えるし、攻撃魔法も補助魔法も使えるのだ。

 例えば回復魔法なら、緑色は風で癒やし青色は水で癒やす。そんな感じで、どの色でも対応する珠さえ見つければ、色んな系統の魔法が使えるのだ。

 逆に言うと、珠が見つからなければ使えない。基本的に魔力量が少ない珠使いは、使える系統も少なくなるようだ。

【以上説明終わり】



 アレクサンダーは生まれつき魔力量が多かった為、色んな系統の珠を見つけていた。

 だが性格もあるのか、攻撃魔法は得意だったが、回復や補助魔法は持っていたものの、なかなか使いこなせていなかった。

 エドワードはそれが分かっていたので、今日は補助魔法の練習をさせようと決めた。


「えーと、殿下は補助魔法である、身体強化魔法の練習をしましょうか〜」


「えっ? せっかくユニオン広場に来たのに、広範囲の攻撃魔法の練習じゃないんですか?」


 ユニオン広場での練習だと、攻撃魔法を手加減無く放てるので、気持ち良く練習ができる為、予想外のことを言われ、不満そうに答えるアレクサンダー。


「そうですねぇ、今日は身体強化魔法を使って広場を何周走れるか試したかったのですよ〜。ここは広いですからね~」


 がっかりするアレクサンダーをよそに、クリスタはというと、体力作りの一環で、既にユニオン広場の外周を走っていた。


「クリスタ、そろそろ…………っ!!」


 エドワードが遠くを走っているクリスタに、声をかけようと視線を向けると、突然広範囲に魔法の矢が降り注いで来た。

 エドワードは咄嗟にバリアを張ろうとするが、クリスタが遠すぎて間に合わない。


(くっ! 間に合いませんっ! クリスタは後で回復するとして、とりあえず殿下だけでも……)


 瞬時の判断でアレクサンダーが居た場所へバリアを張ろうとしたが、アレクサンダーは既にそこには居なかった。 


(何ということだ!)


 アレクサンダーは、クリスタへ魔法の矢が迫っているのに気付いた瞬間、身体強化魔法によって身体を強化した状態でクリスタの元へ走り、魔法の矢からクリスタを守っていたのだ。


(あれでは、無防備な状態で矢を受けている事になる!)


 普通の矢であれば、身体強化状態で受ければダメージは減るが、魔法の矢はバリアでしか防げないのだ。

 クリスタは咄嗟に、薄いけれどバリアを張れていたので、後で回復できるぐらいのダメージで済むはずだった。しかしアレクサンダーは身体強化魔法により、全くバリアが張れていないのだ。

 アレクサンダーの行動はエドワードにとって大誤算だった。


 第二矢が来る前に、エドワードは2人に駆け寄り強力なバリアを張る。

 クリスタは頭に衝撃を受けたのか気絶しているが、命に別状は無かった。問題はアレクサンダーだ。


(いけませんね、腹部に刺さっている矢が危険です)


 エドワードは、第二矢が次々と降り注ぐのを物ともせず、クリスタとアレクサンダーの状態を確認する。


(油断してましたね。こんな所で襲撃されるとは思ってもみませんでした。殿下を治すのが先決なので、襲撃者が何者かは特定できませんが、ここは一旦城へ戻らなければ)


 2人の状態を確認している間に襲撃者は諦めたのか、魔法の矢の攻撃は収まっていた。

 エドワードはバリアを解き、すぐさまワープの魔法を使い2人を連れて王城へ戻った。






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


身体強化魔法でゴリマッチョに……は、ならなかった! ただのマッチョのままでした。


少しでも面白いと思ったら、励みになりますので、気兼ねなく★や❤の評価をお願いしまーす(*´∀`*)


※誤字脱字情報もお知らせくださると有り難いです♪♪

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る