第6話 時は流れ―――――――――って早すぎない?!

 クリスタが珠使いだと判明したあの日から、王城で過ごし教育を受ける日々。

 王子であるアレクサンダーに、妹のように可愛がられ、何不自由無く過ごしていたクリスタは16歳になっていた。


「そうですねぇ、今日はちょっと大規模な魔法の練習をしたいので、ユニオン広場へ行きましょうか〜」


 いつもは王城の庭か、エドワードの居る白い塔の中にある、特殊なトレーニングルームで魔法の練習をするのだが、今日は大規模な魔法の練習をする時にしか行かない、ユニオン広場へ行くことになった。


「今日はユニオン広場なんですね」


 クリスタと出会った頃より、ガッシリマッチョマッチョした身体つきになったアレクサンダーがエドワードの言葉に喜ぶ。

 といっても、クリスタが居ないと無表情すぎて、長年付き合っていないと、喜んでいるのかが分からないぐらいの表情の変化だが。


 アレクサンダーは金髪を肩まで伸ばし、今は後ろで縛っている。そして、透き通るような水色の瞳には前とは違って力強さが現れている。

 25歳になったアレクサンダーは、以前よりも男らしくマッチョになっていた。


「アレクお兄様は、相変わらず広場がお好きなんですね」


 後ろからやってきたクリスタが、アレクサンダーに話しかけた。


 こちらは、肩下まである美しい金髪を、ポニーテールにしている。

 身長はそこまで高くなく、スレンダーな身体つきで、そこまで大きくはないものの、出るとは出ていて女性らしい柔らかさがあった。


 クリスタを見つけると、アレクサンダーは一瞬で破顔した。


「クリスタ今日も可愛いな! 今日は一緒に練習できるのか!」


 先程とは打って変わって、喜びを全身で表現している。尻尾がついてたら、全力でブンブン振っていそうな様子だ。


(アレクお兄様はずっと変わらないなぁ)


 その様子を見てクリスタは微笑ましく思った。


 「はい、今日は一緒に練習できますね」


 笑顔でそう言いながら、クリスタはふとこれまでのことを思い出す。


 多色使いと言われても良くわからず、とりあえず一生懸命魔法の練習を続けていた日々。

 1年ほど経ったある日、桃色の珠を見つけて吸収すると『誘惑の魔法を授ける』と言われたが、幼いクリスタには『誘惑』の意味が分からなかった。仕方がないのでそのままエドワードに知らせると、エドワードが尋常じゃないぐらい驚いたのだ。その姿にクリスタは不安になってしまった。


「誘惑魔法か。クリスタは、そんな魔法が無くてもその可愛さで誘惑しまくってるから、あんまり意味がなかったな!」


 アレクサンダーが一緒に話を聞いていたのだが、そう言って笑い飛ばしてくれたおかげで、クリスタの不安はすぐさま解消された。

 それ以降もアレクサンダーのお蔭で、クリスタは不安に思うことは少なくなっていた。


 でも、更に数年経って、使える珠の色が増えていくにつれ、6色以上あることにクリスタ自身が疑問を持ち始めた。

 普通の珠はそれぞれの龍の色と一致している。青色、赤色、緑色、茶色、白色、黒色の6色だ。

 桃色なんて存在自体がおかしい。その後もクリスタは紫色やら灰色やら、6色以外の珠を見つけては吸収。授かる魔法も吸魔魔法や消去魔法等、普通とは違うようで、エドワードも説明に困っていた。


 アレクサンダーは『クリスタが特別だから気にせず沢山魔法を覚えたら良いと思うぞ!』といつも前向きになる言葉をくれて、クリスタを安心させてくれていた。

 が、やはりそうは言っても、自分が他人とは違うという事に度々不安になるのだ。






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


大人になってもシスコン兄貴は変わらず……むしろパワーアップしちゃってました。

そして、なぜタイトルが〈氷の王子と〜に愛されて〉なのか! ……いや、だって、〈シスコン兄貴と〜に愛されて〉だと……ねぇ……。

※ルビが暴走してますが仕様ですので、そのままお読みください。


少しでも面白いと思ったら、励みになりますので、気兼ねなく★や❤の評価をお願いしまーす(*´∀`*)


※誤字脱字情報もお知らせくださると有り難いです♪♪

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る