第4話 魔法の先生――――――――は、美形なイケメンだった!

「今日はいきなりで疲れていると思うが、先生に会っておこう」


 アレクサンダーにそう言われ、クリスタは確かに気持ちは疲れていたものの、魔法に少し興味があったので素直に頷いた。


(あの時、子狐を治したのが、私の魔法だったってことだよね)


 そして、アレクサンダーの後ろに付いて歩いて行こうとしたら、またバーナードに軽々と持ち上げられてしまった。まるでクリスタの重さを感じてない様な抱き上げ方……さすが筋肉マッチョな騎士である。


(わぁ! びっくりしたぁ。どうして毎回抱っこされるんだろう?)


「バーナードさま? わたしあるけますよ?」


 可愛らしく小首をかしげて、不思議そうにそう尋ねるクリスタ。


「殿下は歩くのが早いので、慣れぬドレスに慣れぬ靴では大変だからな」


 不屈の精神で、可愛いをこらえたであろうバーナードがそう答えた。鍛え上げられた筋肉を、見せびらかしていた訳では無かったのだ。


「そうなんですね。ありがとうございます」


 パアッと咲き誇る花のようなクリスタの笑顔に、バーナードは再び不屈の精神で堪え、何事もなかったかのように歩きだしたのだった。



§★§★§★§



 辿り着いた場所は、白い綺麗な塔だった。

 アレクサンダーが、慣れた手付きで大きな扉の横のボタンを押した。


「はいは〜い。おや? 殿下ですか〜? こんな時間に珍しいですねぇ」


 ボタンの横についている箱から、間延びした話し声が聞こえてきた。クリスタは姿がないのに声だけ聞こえてきたことに驚く。


「新しい珠使いを見つけたので、先生に力をて貰いに来ました」


「そうなんですか〜、久しぶりの珠使いですねぇ。さぁどうぞ上がってください」


 その言葉に呼応して、大きな扉がすんなりと開く。


(うわぁこんな大きな扉が勝手に開いた!)


 ほえーと間の抜けた表情をしながら、扉が開くのを見つめるクリスタ。


 扉が開いたので、クリスタ達の横に移動していたアレクサンダーが、そんな顔も可愛いな……というシスコンな感想を抱いてるかのような表情で(どんな表情?)、クリスタを見つめていた。


 出迎えてくれたのは、白いオーラを纏った美しい男性だった。髪は輝くような銀髪で、腰まであるのを一つにまとめ、優しそうな雰囲気のお顔に、瞳も銀色。


「おやおやまぁまぁ。これはこれは、可愛らしい少女ですねぇ。私はエドワードといいます。あなたのお名前は何というのですか?」


 バーナードから降ろされたクリスタの視線の高さに合わせて、優しく話しかけてくるエドワード。クリスタは一瞬で優しそうなエドワードに心を許し、特上の笑顔で挨拶をする。


「クリスタといいます。エドワードさまとおよびすればよいのでしょうか?」


「いえ、私のことは先生で構いません。親しみを込めてエド先生でもいいですよ~」


「呼び方なんて先生で十分じゅうぶんです! 今日は顔合わせと、クリスタの力を視てもらいたいのです!」


 可愛い孫を相手にするかのようなエドワードの態度に、アレクサンダーは何故か少し苛ついた様子でそう答えた。


「おやおやぁ? ご機嫌斜めですねぇ。とりあえずこちらでお茶でも飲んで落ち着いてください」


 エドワードにそう言われ、アレクサンダーはキツめに言ってしまった事を反省したのか、黙ってエドワードについて行き、クリスタ達も後へ続いた。






*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*


アレクサンダーが、《先生と慕っているエドワードがクリスタを可愛がる様子》、《妹のように可愛いクリスタがエドワードに心を許した様子》、どちらに対して苛ついたのかはご想像におまかせします。って、答えは分かりきってますがw


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