第3話 珠使いとは何なのか――――ちゃんとお兄ちゃんが説明するよ!
「アレクおにいさま……ですか? わたしのおにいさまではないのに、おにいさまなのですか?」
クリスタはアレクサンダーからの『お兄様』呼びに対して、
「んんっ、おっほん。クリスタ嬢、殿下がそう言うのであれば呼び方はその通りに。殿下の方が年齢が上なので、兄と呼んでもおかしくはないのだよ」
バーナードは、笑いそうになるのを
「そうなのですか。わかりました。アレクおにいさまとよびますね」
鈴を転がすような、可愛らしい声でそう呼ばれたアレクサンダーは、心の奥に初めての感情を感じた。
「…………っ。 クリスタは何故ここへ来たのか、これからどうするのかが分からないだろうから今から説明をする」
初めての甘い感情に浸りそうになったが、一瞬で我に返ったアレクサンダーは、クリスタに説明をしようと話しだす。
「よろしくおねがいします」
ぺこりと可愛らしくお辞儀をするクリスタに、アレクサンダーは勿論のこと、バーナードまでが心を撃ち抜かれ、へニョリと眉を下げた。
しかし、そこは一国の王子、アレクサンダーはすぐさま気を切り替えて、クリスタに説明を始める。
「珠使いとは、この国に居ると言われている6匹の龍が、それぞれの力を珠にした物があるのだが、それを扱える魔法使いのことをそう呼ぶ。この珠については、龍が余りある力を放出するために作られたとか、我ら人間のために用意してくれているとか、色々言われているが真相はわからない」
「はぁ」
クリスタの気の抜けた返事に、まだ6歳ぐらいの幼女には難しかったかな? と思いながらも説明を続ける。
「そして珠使いは数が少ない為、見つけ次第王城に呼び、そのまま王城で国の為の要職につくか、持つ力によって監視はつくが、今まで通りの生活に戻るかを選ぶことになる。そして、クリスタもその珠使いなのだ。……クリスタはこのまま城に居るか、孤児院に帰るかどっちがいいかな?」
アレクサンダーはクリスタに優しく問いかける。
「ええと、こじいんへはもどりたくないです。でも……わたしがいなくなると、ほかのこたちがこまります」
クリスタは分からないなりにも、一生懸命考えて答えたようだ。
「ああ、あの孤児院な……やはりそういう事か。大丈夫だ、後は私が何とかする。クリスタは安心してここで生活をすれば良い」
アレクサンダーはクリスタの言葉と、クリスタを連れてくる前に寄った孤児院の様子を思い浮かべ、問題があることを確定した。
(院長を私の息のかかった者に変えて、少し寄付をすれば大丈夫か?)
そう考えながらクリスタを見る。アレクサンダーの瞳には、クリスタの周りに濃い緑のオーラが視えていた。
「クリスタは緑の珠を使えるのだな。これまでに何個見つけた?」
「ひとつです」
「1つでそのオーラ量か?!」
「おーら??」
アレクサンダーはクリスタのオーラの色が濃いので、何個も珠を見つけていたのだと思っていた。
「珠使いは珠使い同士でオーラが見えるのだ。クリスタにも私の周りに色が見えるだろ?」
「はい、あおいろがみえます。これがおーらというものなんですね」
クリスタがそう答えると、アレクサンダーは微笑みながらうなづく。
「見つけた珠の数や、魔力量によって濃さが変わると言われていたのだが、1つでそれとは……魔力量が多いのか? 先生にも見てもらって判断することにしよう」
「せんせい?」
「魔法を使うのにもコツがあったりする。珠を見つけても、すぐに使えるわけではない。それを教えてくれる人が先生なのだ」
*―*―*―ちょっと独り言―*―*―*
珠使いの説明、まだ幼いクリスタには難しかったようです(^_^;)
そしてアレクサンダーも珠使いでした! だからクリスタが珠使いだと、見ただけで分かったのですね。
ところで龍の数え方って『匹』や『頭』がメジャーですが、稀に『柱』で数えたりもするそうです。神様の数え方みたいだー。
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