いけいけ勇者様40

最上司叉

第1話

俺と魔王は姫を連れて城に帰ってきたところすぐに王の間へ向かうよう言われた。


「失礼します」


そう言いながら王の間へ入って行く。


するとそこにはある1人の男と王様がいた。


「王様このモノ達が?」


「その通りだ」


「?」


俺と魔王が不思議そうな顔をしていると王様は言った。


「あぁすまぬ、お前たちには特別任務を与える」


「特別任務?」


「あぁそうだ、お前たち3人である重要人物の護衛をしてくれ」


「それは良いがその男は誰なんだ?」


「お前王様に向かってなんという口の利き方だ!!」


「よいよい」


「王様」


「お前たちは初めてだったか」


「紹介する、この男は姫の近衛騎士隊長だ」


「でそこの男が勇者で女が魔王だ」


「!!」


お互い睨み合っている。


魔王は心配そうだ。


俺は魔王を見て大丈夫だと笑う。


魔王は安心したようだ。


「お前たちには2日後に隣の国のある人物を我が国まで護衛して欲しい」


「命にかえてでも」


「了解」


「なに、報酬ははずむ」


「すぐに出発致します」


「頼んだ」


俺たち3人は馬を走らせ隣の国まで向かう。


この時はまだ知る由もなかった。


あんなことになるとは。


途中の街で休みながら俺たち3人は隣の国に着いた。


指定された場所へ向かう。


そこは町外れの林の中だった。


「こちらでございます」


俺たちは声の聞こえた方へ向かう。


そこには老人が立っていた。


そこには馬車があった。


「この中に?」


「左様でございます」


「分かった、すぐに出発だ」


老人と近衛騎士隊長が会話した後俺たちはすぐに出発した。


老人が馬車を動かし俺たち3人は馬に乗り前後を歩く。


何事もなくその日は夜営した。


どうにも誰にもバレる訳にはいかないらしく俺たちは街に寄ることも出来なかった。


目が覚めて軽く身体を動かしたあと狩ったウサギを持って夜営の場所に戻る途中ハトが近くに降りてきていてその方向には近衛騎士が立っていた。


俺はなんとなくイヤな予感がした。


俺たちがウサギを食べ終わる頃近衛騎士がようやく戻ってきた。


「朝食もうないよ?」


「心配には及ばない」


「出発だ」


俺たち4人は馬車と馬に乗り出発する。


俺たちは山の中を越えようとしていた。


その時俺は敵の存在に気がついて皆を慌てて止める。


「魔王」


「うん」


「囲まれたな」


「うん」


「魔王は馬車を守ってくれ」


「うん」


「俺と近衛騎士で敵を排除する」


「いくぞ!!」


何かがおかしい。


余りに手際が良すぎる。


俺は敵を制圧しながら考えていた。


敵を制圧し終えて馬車の近くに戻る。


その時の俺は余りに無防備だった。


【ザシュッ】


「!!」


俺の背中を血が伝う。


俺は誰に刺されたのか一瞬分からなかった。


振り返るとそこには近衛騎士がいた。


「これで邪魔者がいなくなった」


近衛騎士は笑っている。


俺が倒れてゆくのを魔王が見て慌てて駆け寄ってくる。


「こいつさえいなければ全て上手くいくはずだ…」


【バタッ】


近衛騎士は誰かに俺と同じように背中を刺された。


近衛騎士は心臓を貫かれていた。


最後の力を振り絞り近衛騎士は自分を刺した相手を確認する。


「な…ぜ…あ…な…た…が…」


「王様はこんなことになるのではと危惧しておられた」


「…」


「死んだか…」


魔王は俺を抱きしめながら泣いている。


男が俺に近づいてきた頃には俺も意識を失った。


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