第11話陛下と宰相の再会
陛下が王都へと戻った…。その報せを聞いたクララは急ぎ王の間へと向かった。王の間には戦いの痕跡が数多く刻まれている…。それはその筈…。先日刻まれた痕跡だからだ…。
ある柱に刻み込まれている傷を手でなぞるように触れている陛下の姿をクララの視界はしっかりと捉えた…。そしてそれは王も同じ…
「陛下!」
「クララっ!」
陛下の前という事で膝を地面に着こうとするクララの動きを遮りレインローズは強く抱き締めた…。あの頃を思い出すかの様に…
「へ、陛下…さ、流石にこれは…誰かに見られたらどうするのです?」
「構うものかっ!わしがっ…わしがどれだけお主の事を心配したと思っておるっ! わしがどれだけ今でもお主の事を愛していると思っておるのだっ!」
「…陛下」
「あの頃の様に…今だけでもウィルと呼んでおくれ…」
「…ウィル」
若い頃から2人は愛し合っていた…クララは次期王妃になるだろう…誰もがそう思って止まなかった…
しかし2人を悲劇が襲う…。若い2人は婚約前から睦み合っていたのに関わらず…一向に妊娠する気配がなかったのだ…。ウィルは気にしなかった…。わしに何か問題があるのだろう…と。
クララはクララで自身に問題がある…そう思っていた…。だからこそ…クララは自ら婚約を破棄。
ウィルはクララに王妃になるように説得するもクララが首を縦に振る事はなかったのだった…。
クララは代々受け継がれてきた知に優れていた一族の血を引き継いでいた…。王妃と宰相…道は違えど王に尽くす事だけは変わらなかった…。愛する男の為に…
「…お主は…そこで何を解説しておるのじゃ、ティーネ?」
「ティーネ様っ!?」
慌ててクララはウィルから距離をとる…
「ええい!解説を止めんかっ!」
「あまりにもお二人が熱かったのでつい、テヘペロ!」
「て、テヘペロ等…王妃が使う言葉ではございませんよ?」
「ふふふ…いつものキレがありませんよ、クララさん?」
「っ!?」
「―して、何用なのじゃ?」
「ちょうど、良かったので余生のお話をと思いまして…」
「余生じゃっと?」
「余生…ですか?」
2人の声もハモる…
「実況はいらんわい…それで?」
「王の座を…譲られるのですよね、陛下?」
「気付いておったか…」
「!? 陛下!? 今のお話はっ!?」
「もう…何年も前から決めておったじゃろうて」
「ですが…」
「それに…レインローズは先日陥落したじゃろ?」
「私が…私が守れなかったばかりに…」
「それは違う…」
「ですが…」
「新しい時代が来たのじゃ…これからは新しくエルとティアが時代を作ってくれるじゃろうて…。わしは孫と戯れ…そして…残りの余生はお主とも過ごしたいのじゃ…」
「それは…」
「もう、よいじゃろう?わしの残りの余生…全てお主とも分け合っても…」
「私…は…」
「そうしましょうよ、クララさん…。ティア達みたいに…愛する人の傍に…」
「クララ」
「…はい…ウィル」
***
あとがき
大幅加筆、そして更新を再開したサバイバル
『気がついたら無人島』
https://kakuyomu.jp/works/16817330658647990290
そして新作の
『今日の僕はどっち?』
https://kakuyomu.jp/works/16817330667728502573
もっと読んでもらいたい
『恋愛ゲームのヒロインにガチ恋』
https://kakuyomu.jp/works/16817330664854254414
どうか一読を!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます