第10話母から語られた言葉
ティータイム…もといティアタイムを存分に満喫した後、借りている部屋に戻ると母さんが一人ちょこんと椅子に腰掛けていた…。
「エル…おかえり」
「え〜と、ただいまでいいのかな?」
「うんうん、いいのいいの♪」
どうにも母さんと関係を持ってしまい気まずいというか照れるというか…まあ、そんな感じで母さんが座っている場所の反対側に机を挟んで座る。
「さて…とっ…。エル?」
「え〜と…何?」
「―聞きたいんでしょっ?どうして私が男性と関係を持ってないのに…妊娠したかと言う事を…」
母さんが真面目な顔つきになり、少し考え込んだ感じでゆっくりと口を開く…。俺は生まれた時の記憶があるから母さんから生まれた事は間違いない…。母さんから母乳をもらって育ったしね。
「…母さんが…話してくれるなら…」
「いつか…話そうとは思っていたのよ? いつまでも隠しておく事でもないしね…。エルももう成人したわけだし、女性とも関係を持ったわけだし…いい頃合いかも知れないわね…」
結構難しい話になるのか?母さんはさっき…ハッキリと男性と関係を持っていないと言った…。じゃあ…どうやって…
「私は…男の人が嫌いだったのよ」
「そうなの!?」
意外だった…。母さんが男嫌いだったなんて…
「ほらっ…若気の至りって奴? 今の世の中は男性が少なくて…特別扱いというか…とにかく私はそういうのが許せなかったというか…」
「あ〜 確かにね…」
まあ、実際男性というだけで優遇されるのはこういう世界ならではだよな…。だからこそ…あのデイルと言う男も短期間で王に迄なり詰めたんだから…
「でも…貴族だし…跡取りとかそういう話も出るじゃない?男性は嫌いだったけどこう見えて母さんは意外と数少ない男性にモテたのよ?陛下からもお声掛けあったんだから!」
「母さん…綺麗だしね」
陛下が声掛けしてるとは思っていなかったけど…
「も、もう〜 エルったら…話が終わったら布団の中で体を使っていっぱい話しましょうね?」
「母さん雰囲気が台無しなんだけどっ!?」
「まあ、とにかくそんな時に― 父が…あなたのおじいちゃんにあたる人ね…」
「おじいちゃん?」
「そうなの…父がある人を連れてきたの…その人は父よりも歳をとっていて…外見で言うなら今の陛下みたいな感じね。そしてその人はこう言ったの…男性と関係を持たなくても妊娠出来ると…」
まさか…その高齢の人が言ったのは…人工授精の事か?いや…でも…
「始め…私は半信半疑だったわ…そうでしょっ?突然誰かも分からない、歳を召してるとはいえ男嫌いの私に父は男性を連れてきたのだから…」
デイルみたいに…その手に詳しい人がこの世界に転生していたとしたらあり得るのか…
「後から知ったんだけど…その時…既に父は病を患っていてね…」
「そうなんだね…」
「まあ、とにかく…最終的にはそれを信じる事にした私は… ―と、いうわけなのよ」
「いやいや、母さん!? そこが大事なんだけどっ!?」
「いや、だって、詳しい事はわかんないわよっ!しゅうしゃき?ちゅうしゃき?なんかそういうのに細い細い…針金?―みたいなものがついてて…とにかく、その容器には男性の精子が入っていると聴いたの!」
しゅうしゃき……注射器の事か!そしてその注射器の先に管みたいな物が付いてるという事なら…やっぱり人工授精だ…。精子を子宮に直接そこから放ったという事だよな…。前世でネットで見た事がある…。
でも…それは…確実では無かったような?確か…妊娠しやすくなる方法じゃあなかったかな?その謎の人は妊娠すると分かってたのか?
「…母さん」
「な〜に?」
「その人は?」
「…それが…分からないわ。私が会ったのは…あの時のその一回だけだから…」
「そっかぁ…」
「エルにはこれも言ってなかったんだけど…」
「?」
「父の書斎が地下にあるの」
「屋敷に地下なんてあったのっ!?」
「そこなら…何か分かるかも知れないわね…」
「屋敷に帰ったら見てもいい?」
「ええ…」
「ありがとう母さん…話してくれて…」
「話さないといけない事だったしね…」
「―で、母さんは何故脱いでるの?」
「えっ?」
「えっ? ―じゃないんだけどっ!?」
「ほら、今からエルと愛を語り合うしっ?」
「男嫌いじゃあなかったの!?」
「エルは特別♡ それに…エルの逞しい男で分からさせられたゃったから♡テヘッ♪」
まあ、休まる暇はないという事か…。まあ、それにしてもそんな事があったなんて…その人は何者なんだろうか?それも…そのうち分かるといいけど…
***
新作の
『今日のボクはどっち?』
https://kakuyomu.jp/works/16817330667728502573
もっと見てもらいたい
『恋愛ゲームのヒロインにガチ恋』
https://kakuyomu.jp/works/16817330664854254414
どうかこの二作品も宜しくお願いします!
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