第7話地下通路で…
ティアを連れて隠し通路の階段を下り、通路の曲がり角に身を隠す…。敵は警戒しているのか隠し通路の場所が分からないのかは分からないがまだ俺達を追っては来ない…。
「ティア…良かった」
俺はティアを抱きしめる…。ティアも抱きしめ返してくれる…。
「エル…どうして…ここに?」
「ティア達が心配で…荷馬車に隠れて付いて来ていたんだ…」
「馬鹿…エルの馬鹿っ…敵の狙いはエルなんだよ?」
「知ってる」
「エルに何かあったら…私は…生きていけない…」
「俺だって…同じなんだよ」
「えっ…」
「ティアに何かあったら…そう思うから…俺は来たんだ」
「エル…」
「ティアを助けられて良かったよ…本当に…」
「ありがとう…エル…」
「それと…この地下に牢屋があって…」
「地下牢の事?」
「そこに…クララさんが…勿論生きているよ」
「本当に!?」
「うん」
「良かった…本当に良かった…」
「!? ―詳しい話は後にしようか…足音が聞こえる」
足音から察するに敵が来たみたい…。
「うん、その前に一つだけ…」
「んっ?」
ティアは俺の唇にそっと…唇を重ね…
「エル、大好きだからね」
そう言ってから持っていた剣を構えた。
地下道は一定間隔にたいまつが置いてあった。地下牢から王の間に行く時には地下牢にあった火が点いたたいまつを用いてそれらに点けて置いた。そのお陰である程度明るく敵の姿が見える。なので追手は俺がまず、このボウガンを使って遠くから出来るだけ仕留め、倒しきれずにこちらへと向かって来た敵はティアが仕留めいった…。そして…
「ティア!」
「任せて!これで、ラストォー!」
「ぎゃっ…」
敵は今ので最後…?
「終わった…かな?」
「…まだみたい」
「えっ…」
「ほらっ…足音が…」
カツン…カツン…カツン…
「ホントだ…」
「足音は一つみたいだけど…」
ボウガンを構えたものの…足音は俺達に姿を見せないかの様に止まった。ソイツは床に転がっている死体を見て気付いたのだろう…。俺が今もボウガンを構えていてそこに姿を現すと射貫くという事に…。
だからだと思う。矢で射抜いた死体を盾代わりに抱えこちらへと走って来た。勿論そんな事をしても体を全部は隠せない。俺は隠せていない足を狙い撃つ。1発、2発と命中したもののソイツは気にも留めないかの様にそのままこちらへと一気に近付いてきて俺達に向かってその死体を投げつけ…
「貴様は絶対に殺してやるぅぅー!」
そう叫んだのはあの男だった…。俺とティアは投げられたソレを躱し…俺の目の前には剣を振りかぶる男の姿…。
男の標的はどうやら俺の様だ。アレを矢で貫いたんだし当然だよな…。男が放った一撃を咄嗟に持っていたボウガンで受け止める…。
ガギィィィ―
「貴様ぁぁぁーっ!よくもオレのぉー…オレのぉーモノをぉぉぉー!貴様っ!貴様だけいい思いをしやがってぇー!」
「お前が俺のティアに手を出そうとしてたからだろ!」
「この世界は俺のモノなんだ!俺の為に存在している世界だったんだ!なのにっ!転生者の貴様さえいなければっ!」
「お前が道を誤っただけだろうに!」
その間もデイルはティアが放った斬撃を盾で防ぎつつ反撃、ティアも素早くそれを躱す。
そして体を反転させながら俺へと攻撃してくる。
コイツ本当に強い…
俺はそれを防ぎ矢を装填して…判断をミスってしまった…もう一撃デイルは俺に繰り出していたんだ。よく言う裏拳という奴。盾を装備した裏拳が俺の額に当たりよろけた所に
「死ねよ!」
デイルが剣を振りかぶり…
「させるわけないっ!」
次の瞬間、デイルの剣を持つ手が地面に落ちて…続いて盾を持つ手も地面へと落ち…俺はデイルの額を矢で射抜いたんだ…。
***
あとがき
新作を公開しております!新作は最初が肝心なので皆さんどうか宜しくお願いします!
タイトルは
『今日のボクはどっち?』
https://kakuyomu.jp/works/16817330667728502573
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