第15話迎えた誕生祭①

 ティアと2人だけの時間を過ごしているとあっという間に時間は流れていった…。2人して慌てて誕生祭の準備に取り掛からないといけなくなったのは2人だけの秘密…。


 まあ、誕生祭と言っても今日は近しい者だけの集まり…。陛下に勿論ティア、ランス夫妻にテレサさん、それにハートネス女王にミリア、ウーシェン、そして屋敷の人達だ…。例年通りってわけ。


 そしていよいよ俺の十五歳の誕生祭が始まった。


「今日は息子、エルの誕生祭にお越し頂きありがとうございます」


 まずは当主の母さんから簡単な挨拶…。


「今日は私の誕生日に集まって頂き誠にありがとうございます!毎年皆さんに祝って頂き嬉しく思います―」


 俺もそれに続く。御礼の言葉を述べ…


 ただ…ここからがいつもとは違う…。俺のターン!とか聞こえてきそうだ!(※注 それは完全な思い込みです…)


「皆さんにご報告があります…。ティア…ミリア、マリン、レイラ、ハートネス女王はこちらに来て頂けますか?」


「「「「「?」」」」」


 5人が何だろうと思いながらも俺の傍へとやって来た。前もって陛下と王妃には話を済ませている…。あの思い出の場所から帰って来てからすぐにしていた事の一つ…。


「ティア」


「どうしたの、エル?」


「正式に俺と婚約、結婚して欲しい。既に陛下達には許可をとってるよ」


「ほ、本当に…?」

 

「一生傍に居て欲しい…」


 俺はティアの左手を取り…薬指にすっ―と指輪を指の第一関節迄嵌める…。前世でいう所の婚約指輪だ…。既に俺の左手の薬指には同じ指輪を嵌めている…。ペアリングって奴だ…。


 この世界にはこういう婚約指輪や結婚指輪を嵌めるとかそういうのはない…。今まで結婚式を執り行ったのは聞く所に寄ると王族と一部の男性位かな。だから指輪はあくまで着飾るものみたいな感じになっている。そもそも男性が少ないのだから仕方ないんだけどね。


「この指輪はこれからの人生を一緒に歩きましょうという誓いの指輪…。それと…心に決めた人がいるという証…。結婚の際にはまた指輪を贈るから…。受け取ってくれるかい?」


 ティアの瞳から涙が溢れ、泣きながらもとびっきりの笑顔で…


「はい…お受けします…わだっ、わだじっ、一生エルの傍に居るがらっ!」


 指輪を最後まで嵌めるとティアが抱きついてきたのでしっかりと受け止める。屋敷中が歓声とお祝いの言葉に包まれる…。


 そんななか…こんな時になんだけど、小声でそっ―とティアに話し掛ける…。


「ティア…5人を呼んだのは…」

「分かってる…」

「…ごめんね?」

「謝らないで…それは当然の事だから…」

「ティア…」

「たまに…嫉妬しちゃうかも…しれないけど…その時は…目一杯愛して?」

「うん…」


 ティアから許しを得てミリア、ハートネス女王、マリンにレイラにそれぞれ同じ指輪を贈る。結婚指輪はそれぞれ変えるつもりだ…。みんな泣いていても笑顔を見せてくれる…。


 場が静寂を一度取り戻すと次々に料理が運ばれ飲めや歌えの騒ぎになっていく…。


「エル様!」


「どうしたの、リンリン?」


「こちらに来て欲しいアルよっ!」


 一言ティア達にその旨を伝えその場を離れる…。その間際…


「エル」


「な〜に、ティア?」


?」


「? え〜と…」


 少し苦笑しながらティアがそんな事を言ったんだけど…何か聞いてるのか?詳しく話を聞こうと思ってたのだけど…俺はリンリンに手を引かれ…別室へ…。そしてそこで…見たものは…






***

あとがき

是非下記の作品も一読、評価やコメントを頂ければ嬉しいです!


『恋愛ゲームのヒロインにガチ恋』


https://kakuyomu.jp/works/16817330664854254414


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