第12話あ〜しも…私も…そして…

〜マリン視点〜



 うわ〜…めっちゃっ緊張するし…。あ〜しは大好きなエルの元へと歩を進める…。後ろからはレイラも付いて来ている。テントの準備や毛布をティア殿下達にかける為し…。あの時からあ〜しはエルに依存しているし…。そう、無人島に一緒に流れ着いたあの時からしょっ…。


 無人島に流れ着いたからこそ今があるし…。あの時船が沈没していなかったらとか…色々そんな事を考えるとゾッとするし…。


 とにかくあ〜しはエルが大好きっしょっ!それだけは誰にも負けていないし!だからこそあ〜しはエルのものを口でして…あうっ…そういう事を思い出したらあ〜しの準備は整ったし…。決してあ〜しがエッチなわけじゃあ…ないしょっ!普通…そう、これは当然の事しょっ!あ〜しの想いが溢れてる…それでいいし!


 そして…エルの傍に着いたあ〜しは…


「エル…次はあ〜しだし…」


「…マリン」


「エルの専属侍女として…何よりも一人の女として…エルが…大好き…だ、だから…あ〜しも…エルの女にして欲しいしっ…」


「ふぅふぅ…俺は今…正常では…」


「これは決定事項し!」


 エルに駆け寄り唇を激しく重ね合う…。


 エル…エル…エル…


 触れ合う度にあ〜しは満たされていく…。エルに出逢えてあ〜しは…幸せを知ったしょっ…ずっと…ずっと…一緒しょっ…エル…愛してるし…



***

〜レイラ視点〜



 マリンさんが事に及んでいる間に私はテントを設営…。中にティア殿下とミリア殿下を運び入れテントの入り口の隙間からエル様とマリンさんの情事を覗き見る…。


「はわわっ!?そ、そんなに激しいのっ!?」

「あばばっ!?連続!?相変わらず連続!?」

「マリンさん…頑張ってるぅぅ!?」

「健気なマリンさんにエル様も興奮してるぅ!?」

「あわわっ…ギャップ!?ギャップ萌えって奴だよね!?凄っ!?凄っ!?凄っ!?」


 気にしないで下さいませ!ただの独り言ですから…。それにしても…私の番は流石にないのでは?

そう思ってしまいます…。


 それはそれで寂しくなりますね…。私を…私と母を救ってくれたあの時から私も貴方様をお慕いしておりますゆえ…。私だって誰にも負けない位エル様を愛しております…。だから私も一瞬でもいい…。この身も心も貴方様に捧げたい…。



 そう思ってましたところ…どうやら私の番が来てしまったようです…。いざその時が来るとドキドキが止まりません…。エル様の元に赴き…


「エ、エル様…ずっと…ずっと…お慕いしてました!わた、私もエル様のモノにっ!!」



 後日談になりますが…凄いモノですね…。エ、エッチというものは…。当然の事ですが初めは破瓜の痛みと共にエル様をこの身に刻みました…。あんなに痛いとは思ってもみませんでしたが…。受け入れ体勢はバッチリだったのに…。


 でも…何て言えばいいのか…想いが届くというのは本当に素晴らしいものとでも言えばよいのでしょうか?温かいというか…安心感というか…とにかく好きな人と体を重ねるのは必要な事だと思いました…。


 ただ…私も結局…何回目かは忘れましたが気絶してしまいました…。


 そして…


 

***


「うっ…うう〜ん…あれっ…知らない天井だ…」


 お馴染みの台詞と共に視界に入ったのは動物の皮で作られた天井だ…。知らない天井とか言ったけど正確には見覚えがある…。それもその筈だ…。だってこれって野営とかで使うテントの中でしょ?


 上体を起こし…


「いつつっ…」


 何だ?目茶苦茶腰やらなんやら痛いんだけど!?そもそも何で俺はここに寝ていたんだっけ?


 辺りを見渡し…


「…えっ?」


 左に視線を向けるとティアとミリア…右に視線を向けるとマリンとレイラがそれぞれ毛布から顔だけ出してすやすや眠っている…。


「…思い出した…俺は昨日…体が熱くなって…」


 ヤってしまった!?ヤってるよね!?夢ではない!ちゃんとその記憶もある…。そもそも何であんな事に!?


「…んっ……エ…ル?」


 声の方に視線を向けると…ティアの瞳がうっすらと開いている…。どうやらまだ寝惚け眼みたいだ。


「…エル…あっ…昨日しちゃったんだね…私達…な、なんだか…恥ずかしいね?」


 言葉通り恥ずかしいのか体に掛かっている毛布を顔半分迄ひっぱり、隠しながらそう話すティア…。一言良いだろうか?その仕草…最高に可愛いです…。でも…


「あ…うん…そうですね?」


「? どうかしたの?」


 ティアはまだ気付いていないよね?俺だけ見てる感じだし…。俺はどうすればいいのだろうか?この状況を…?告白してその日の内にヤって…他の女性ともヤってしまって…あれっ…俺って最低なんじゃ?


 で、でもなんだか昨日の俺はおかしかったんだ!?本当だ!?本当だよ!?果たしてこんな言い訳が通じるだろうか?


「うっ…ダー…リン?」


「「…えっ?」」


 ティアと俺の声がハモる…。そしてティアが声の方へと顔を慌てて向けて…


「ななななななっ…何で…ここに…ミリア殿下が!?!?!?」


 終わった…終わったよね!?マズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイマズイ!!!


「あっ…ティア、これは!?」


 何て言えば良いんだ!?誰か教えて!?


「おはよ〜…ティアちゃんも…昨日はお互い凄い経験しちゃったよね?」


「…えっ?えっ?えっ?」


「そっかあ…ティアちゃんは最初に気絶しちゃったから知らないんだね?あの後私達…」

「ちょっと待って!?私達!?」


 あっ…待ってミリア!?俺はまだ心の準備が出来ていないんだぁぁぁぁぁぁーーーーーー!!


 ティアは勢いよくガバッ―っと起き上がって周りを見渡し…丸見えなんだがっ!?


「っ!? ぁっ…………エル?これは一体全体どういう事かしら!? 私…初めてだったのに…その日の内に私に飽きて他の子に迄手を出したとでも言うのかしら!?ミリア殿下にマリンさんにレイラさん迄!?」


「違っ!?それは違うから!ティアに飽きるなんてことは絶対にない!それは誓って言える!」


「だったら…」


「ティアちゃん落ち着いて!」


「落ち着けませんがっ!?ミリア殿下!?」


「き、聞いてっ!?ティアちゃんが気絶して壊れそうだったのもあるし元を辿ればティーネ王妃がっ…」


「お母様!?お母様が関わっているのっ!?」


「えっ!? ええ…薬を盛ったらしいし…しかもみんなで最初から全部見ていたし…」


 薬!?どおりであんな風になるわけだ…。ティーネ王妃…とんでもない事をしてくれたもんだ…。


「えっ!?はっ!?えっ!? みみみ、みんな!?みんなに見られてたの!?」

「そりゃあ…王族の私達にはちゃんといたしている所を見る人も居るじゃない?」

「それは…そうですけど…みんなって言いましたよね!?みんなで見る必要なくないです!?」

「それにダーリンがティアちゃんだけのモノにはならないのは分かってた事でしょ?」

「それは…そうですけど…でも…せめて結ばれた時位は…」

「悪いのはティーネ王妃だからね?ダーリンを責めないであげて?なんなら最初は私も拒絶していた位なんだから…」


「!? うっ…はい…」



 と、取り敢えず…事無きを得た…かな?

まあ、この後ティーネ王妃がティアから大目玉を食らったのは言うまでもない事だ…。

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