第8話ティアと思い出の場所で…
「!? どうして…ここに?」
そこに居たのはティアだった。ホントどうしてここに!?
「…マリンさんとレイラさんが後方の護衛の人達に混じって付いて来て欲しいって言うから…」
「マリンとレイラが?」
これはマリンとレイラに感謝かな…。本当にありがとうね、マリン、レイラ…。2人には助けられてばかりだね。
「わ、私は…ひ、昼間の事…まだ怒ってるんだからね?」
ジトぉとした目をして、頬を膨らませて私は怒ってるんだからとアピールしてくるティア…。本当に俺はこの子の何を見ていたんだろうな…。ティアを可愛く思うと同時に、彼女の事が好きだという想いが溢れてくるのが分かりついつい笑ってしまう…。
「ぷっ…ははっ…」
「もぅ〜 何で笑ってるのよ?私の話聞いてた?」
「ごめんごめん…」
「あ、謝られても…ちょっとやそこらでは許さないんだからね?」
「うん…そうだね…」
「…それが分かってるならエルは…私に対してどう許しを得ようとしてくるのかしら?」
俺はティアへと近付く…。先程近くにあったある物を手に取って…
「…ティア」
「にゃ、にゃに?」
カスミソウの花をティアの綺麗な髪にそっと添えて…
「ティア…聞いてくれる?」
「しょ、しょうがないから…聞いてあげる」
「俺はさぁ…ずっと…ティアの事を妹みたいな感じで思ってたんだ…」
「っ…」
そんな悲しそうな顔はしないでくれ、ティア…俺の話はまだ終わってないから…
「でも、違ったんだ…」
「えっ?」
「今更だけど…俺は…」
好きな人に告白する事って本当に勇気がいるな…。告白する人を俺は尊敬するよ…。なかなか次の言葉がすらすらと出てこない…。
「違ったって…どういう事?」
何かを期待するような表情はまだ見せないで欲しい。告白も今からなんだし、返事もその後…。ティアが俺の事を好きだと勘違いしてしまうだろ?…なのに期待してしまうだろ?
「…ティア」
「ひゃい!?」
「好きなんだ…。俺はティアの事を…妹とかではなく…一人の女性として…ティアの事を好きだ」
「ほ、ホント…に?」
「本当だよ。ティアの髪に添えた花はカスミソウ…。花言葉は―」
「「―永遠の愛…」」
2人の声が重なる…。有名な花言葉…。ティアも知ってたんだな…。
「誓うよ。エル・フォン・アルタイルはティア・ティーネ・ウィル・レインローズに永遠の愛を捧げる事を…。だから…俺と…婚約して結婚して欲しい!」
「…ぃ……はい…」
ティアの綺麗な瞳からは…ぽろぽろと涙が頬を伝って…
「……わ、わ"だじも"…エ"ルに…"わ"た"し"の"す"べて"を"さ"さ"げる"か"ら"…」
そう言って俺の胸に飛び込んで来たティアを俺はそっと受け止めて抱きしめた。どうやら俺はフラレずに済んだみたいだ…。本当に良かった…。
「うっ…ぐすっ…エル…エルっ…ふぇ〜ん…」
ティアの頭を撫でながらティアが泣き止むのを待ってから俺達はその場に座り込み寄り添いながら色んな話をしたんだ…。
「―ずっと…ずっと好きだったんだから…ね?」
「マジでっ!?」
「や、やっぱり気付いてなかったんだ…」
「それ…最近同じ言葉を聞いた気がするよ…」
「す、好きでもない人と…キスして平気な訳ないでしょ?」
「ティアも覚えてたの!?」
「忘れるわけないもん」
「…だよね」
そっかあ…ティアも覚えていたんだな…。
「エル」
「ん?」
「好きだから…大好きだから…ねっ?」
「うっ…」
至近距離で美少女にそんな事言われたら俺のライフはガリガリ削られてしまうわ!
「エル…」
ティアは目を瞑り……これって…キス待ち…なのか?
「んっ…」
迷っていると急かす様に、んっ―と言われた…。
早くしろという事なのだろう…。俺はそっとティアの艶のある唇に自分の唇を重ねる…。
ちゅっ…
触れ合う柔らかい感触…。いつまでも重ねていたくなる…。
本当に…そんな風に感じる時間だった……。
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