第5話前世で経験したから分かる…
朝…目が覚めると己の状態がいつもとは違う事に気付いた。何しろこれを経験するのは二回目だからだ。股間が気持ち悪い事この上ない…。
とにかく…まずは落ち着いて一緒に寝ていた筈のマリンとレイラが居ない事を確認する。2人共もう起きてる時間だろうから当たり前か…。そして布団を捲り着ているズボンと下着を掴みムスコの様子を確認…。
「…だよね…そう思ったよ…」
やはりか…。やけにスッキリしている気がしたんだ…。下着の内側はカピカピルンルン…。前世を含めて二回目の夢精。前世は一人だった為に後始末は問題なかった…。今は家族が居る…。これが問題だな…。そっとベッドから這いずり出て…
「くっ…気持ち悪いな…早く風呂に向かわないと」
部屋のドアに耳を寄せ部屋の外の様子を窺う。どうやら近くに人の気配はない…と、思う。静かにドアを開け廊下に顔だけ出してみる…。うん、ツイてるな…。今の内に風呂場へと向かう。
***
「ふぃ〜…朝風呂は気持ちいいな…」
誰にも会う事なく風呂場に着いた俺はまずは下着を洗ったのだった。何度も手洗いでゴシゴシ…。くっ…この瞬間はなんだかな〜という気持ちになるのは分かってくれるだろうか?世の男性はこういう時どうしているんだろうな?前世でも恥ずかしくて友達がどうしてるかなんて聞いた事はないし…。
そんな事を考えながら体も洗い湯船の中にゆっくりと浸かる…。とにかくバレなかった事だしなんだか今日は良い一日になりそうだ…。
***
風呂を上がってリビングへの扉を開ける。
「エル!本当におめでとう!」
「「「「「「「おめでとうございます!!!!!!
!」」」」」」」
「…へっ?」
これは一体…何の騒ぎなんだ?部屋の中を見渡すと…まるでパーティでも行われるのかという位、部屋の中は飾り付けられ豪華な食事する用意されている…。そして母さんの口から聞き間違いではないかという言葉が…。
「ようやく…夢精したわね…母さん、嬉しいわ」
「…はっ?」
待て待て待て!?今母さんは何て言った!?
「か、母さん?い、今…何と?」
「恥ずかしがらなくてもいいの…母さん、ちゃんとこの目で確認したんだから!いっぱい出して偉いね、エルは!」
「ちょっ、ちょっと待って!?この目で確認したと言った!?」
「? 言ったわよ?それが?」
う、嘘だろ…。母さんに確認されただなんて…。前世でもそんなの親に見られた日には恥ずかしくて気まずくなるに決まってるだろぉぉ!?何してんの、母さん!?
「ううっ…エル様…あんなに…ご立派に…」
「まさかのミーニャにまで見られてる!?」
「量もあんなに…あんなに…ううっ…」
「泣くほどの事じゃないから!」
すげぇ~気まずい…。
「ん…味も……とにかくエル様最高!」
「レーティぃぃぃ!?今…味って言った!?言ったよね?」
「ん、エル様の聞き間違い。常識的に考えてそんな事分かるわけない」
「だ、だよね…。ご、ごめんね、変なこと言って」
それにしては露骨に目を逸らされている気がしなくもないが…。
「エル様、最高アル!これで私と子づくり出来るアル!」
「……」
返答に困るんだけど、リンリン?
「傍にお仕えして…あんなモノまで見せて頂き…ありがとうござりまする…」
「エリンさん?言葉が何かおかしいからね?」
「いい仕事をしましたね、エル様?」
「どこかの鑑定みたいに言わないで、カイラさん」
「ぇ、ェルシャマ…オメデトウゴザイマス」
「レイラは何でそんなに声が小さいのさ…」
怪しいんだけど?
「キニナサラナイデクダサイマセ…」
絶対何かあるよね?
「エ…エル…お、おめでとう…しょっ…」
「…マリンも何か様子がおかしいよね?」
「しょんなことないしっ!?あ〜しは富◯通っしよっ!?」
「富◯通って何!?」
富◯通のお店!って、脳内にコマーシャルが流れたよ!
「ふ、普通し、あ〜しは普通っしょっ!決してペロちゃんしたり、咥えたりしてはいないしっ!?」
え〜と、本当にしてないよね?
―と、いうか、みんな知ってんのっ!?恥ずっ!超恥ずっ!?全部見られてたなんて風呂場で証拠隠滅した意味ないんだけどっ!?
「見て見て、エル!お母さんなんて記念に小瓶に容れてるんだから♡」
「母さん何してんのっ!?本当に何してちょんまげ!?」
星◯砂風にしてるけど全然違うからねっ!?
「張り切ってみんなで部屋も飾り付けて、赤飯もご馳走も用意したし、みんなでエルを祝うからね♪」
こうなった母さんは最早止められないだろう…。母さんだけではない…みんなも同じだ…。俺は考える事を止めて流れに身を任せるのであった…。
―しくしくしく…。
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