第6話エル十五歳の誕生日前日①
昨日は大変な目にあってしまった…。みんなに精通の事は知られるわ、精がつくものを食べさせられるわ…。ビンビンかと言われればビンビンだとお答えしよう!
ホントよく俺の理性がもったものだ…。
とにかく昨日の事はなかった事にして…気持ちを切り替えて親友を迎える事にする。明日の俺の誕生日にあわせて一日早く来てくれたんだ…。
「久しぶり、エル!」
「ランス!」
わざわざ俺の為に来てくれた親友と久方振りに抱き合って再会を喜ぶ。
「ご機嫌よう、エル君」
「ご無沙汰しております、エル様」
「テレサさん、レンさん…ご無沙汰しております」
「うちの領地もエル君のお陰で景気が良いわよ!本当にありがとうね?それもこれもうちの領地に工場を作ってくれたお陰よ」(パチリ!)
こちらに向けてウインクするテレサさん。綺麗で若いテレサさんのその仕草にこちらが照れてしまう。
「…その反応…そういう事ね…」
「?」
「日頃のお礼も兼ねて良かったら私で筆下ろししてみる?」
「うぇっ!?テレサさん!?何言ってんの!?」
「母さん!? …でも…エルが僕の兄貴に!?何気にいいのかもね…って、エルはまだなのっ!?ティアは!?」
「うぉーい!ランス!?」
(悪かったな…まだで…。ティアは関係ないだろ?)
―いつの間にか俺の傍に移動していたテレサさんが耳元で囁く…。
「クスクス…可愛い♡ホント…今すぐ食べちゃいたい位…よ?」
食べられたいと一瞬でも思ってしまった。すると…
―チャキッ!
「どうやら死にたいようね、テレサ?」
「…いたのね、マリア?」
そこには剣を抜きテレサさんに剣を突きつける母さんの姿が…。
「…冗談、冗談だから、ねっ?」
「私が居なかったらどうしてた?」
「そりゃあ…エル君の筆下ろしを…」
「ヤる気満々だったんじゃあないのっ!?」
「ふん、いつまでも筆下ろしさせてない、あなたが悪いんでしょっ!?」
「私だって何度してあげようと思った事か!?」
「あんたがしてどうするのよ!?侍女か私が居るでしょ!?」
「侍女はともかくしれっと自分迄、エルの筆下ろしの相手に入れるんじゃないわよっ!」
「あんたのせいでエル君が童貞なんでしょうが!」
「だから私が―」
「私がしてあげるって―」
母さん…テレサさん?…みんな居るのに…そんな大声で筆下ろしやらなんやら叫ばないで?俺のライフはもうゼロよ?ほら、周りを見てみてよ?
「エル様…童貞なのね…じゅるり…」
「私ならいつでも…」
「カモンベイビー私の秘境へ!」
「私のトンネルを掘ってくれないかしら♡」
「ホントそれっ…」
別の意味でヤバかった!?
「大変だね、エルは…」
「分かってくれるか、親友?」
「…念の為に聞くけど…エルって僕のおしりとか狙ってたりしないよね?」
「するかぁぁぁぁぁー!おい!親友!?」
「ランス様は私の夫ですよ?」
「レンさんもふざけないでねっ!?」
「俺はノーマルだし…男には興味はないし、女性しか興味ないから!毎日うちの女性陣に誘惑されて我慢は限界に来てるって〜の!裸だぞっ!?男なら興奮するだろっ!?なんなら堕ちかけているってんだ!」
「へ〜…それはそれは…エルは堕ちちゃうんだ?」
聞き覚えのある声…俺はこの声の主を知っている。ランスはあちゃ〜って顔してやがる…。お前が悪いんだぞっ?おかしな事を言うから…。
振り向くのは怖いが…仕方ない…。振り向いて確認すると……だよね。分かってた…。
「ひ、久しぶり…ティア?」
「…ええ…久しぶり…エル。取り敢えず毎日誰かに誘惑されてるとか…毎日女性の裸を見て興奮してるとか…毎日女性と風呂に入ってるとか…毎日裸の女性と添い寝してるとか…そこら辺の詳しい話を聞かせてくれる?」
ニコニコ笑顔をティアは振り撒いている様に見えるが絶対に本心から笑ってない…。それ位は俺でも分かる。むしろ恐怖を感じるのは俺だけか?チラッ―っと横目でランスに視線を向けると…我関せずみたいな雰囲気で嫁と話しちょりやがる!?あの裏切り者め…。
それにしても風呂に入ってるとか、添い寝してるとかは俺一言も言ってないんだけど!?何で知ってるの!?
「ち、違うんだ…。ティア?」
「うんうん…何が違うのかな?かな?」
「ちゃうねん!ランスがケツを狙ってるとか冤罪をかけてくるから…」
「ぼ、僕は…関係ないからっ!?」
「お前のせいだろーが!」
「エルがおかしな事を口走るからっ!」
「そ、それに…ほらっ…俺が誰と付き合ってもティアには…「エルっ!!!」…何だよ、ランス?」
「っ!? そ、そう…だよね…。私には…関係…ない…よね…」
な、何で…そんな悲しそうな顔をするんだよ…ティア?振り絞る様な声でそう言うとティアはその場を離れる。
―程なくして現れたのは陛下とたまに王城で見掛けた女性…。
「久しぶりじゃの、エル」
「っ…へ、陛下…この度は…」
「よいよい…それよりも…今日はお主に会わせたい女性がおっての…」
「女性?」
「うむ…わしの妻であり第十王妃の……王妃じゃっ!」
「顔だけじゃなくて名前までお忘れだったのですか!?」
「いや…そんなことはない…ぞっ?」
「ならば、早く名前を言って下さいませ」
「…おっぱ……いや、こういう時はお主から言った方が良くないかな?」
「やっぱり忘れてるじゃあありませんかっ!しかもおっぱいって言おうとしましたよね!?もういいですわ!」
陛下…。流石に王妃の名前覚えてないのはマズイのでは?しかもおっぱいって…。確かに陛下が好きそうなモノをお持ちみたいだけど…。
「こほん…改めて第十王妃のティーネよ。ティアの母親でもあるわ。いつもあの子がお世話になってるわね…」
「いえ…こちらこそ…お世話になっております」
それから暫くの間、陛下と王妃と話をすることに…。まあ、内容はだいたいティアの事ばかりだった。俺が知らないティアの城での様子だったり、勉学に武芸等様々な事を頑張っている事だったり…。
そして…こんな事を言われたんだ…。
「ねぇ…エル君」
「はい…」
「そんなふうにティアが頑張ってるのは誰の為だと思う?」
誰の為?
「え〜と…自分の為でしょうか?」
「それもあるけど…それは君の為でもあるのよ?」
「俺の為…?」
「そう…。だから…よ〜〜〜く…その意味を考えてみてくれる?」
「…その意味?」
「ええ…。それと…ティアが別の王国に嫁いでしまってもあなたは構わないのかという事を考えてみてくれるかしら?」
「ティアが…嫁ぐ…」
嫁ぐ……って、結婚っていう事だよな…。
―ズキン…ズキン…
また…だ。俺は…
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