第3話エルの誕生日二日前①
〜レイラ視点〜
朝だ…。目を覚ますと真横にはスヤスヤと眠るエル様…。その向こうには同じ様に目を覚ましているマリンさんの姿。昨日の添い寝は私とマリンさんだった。だから私達はエル様を挟み込んで寝ていたの。
それでいつもの様にエル様の匂いを堪能する為に私達はすっ〜―っと息を吸い込んだんだけど…この日はいつもと違ったの…。
「すんすん…なんかイカくさくねっ?」
「すんすんすん…確かに…何か独特な匂いがしますね?記憶にこれと同じ様な匂いを嗅いだ記憶が…」
「
「すんすん…はっ!?」
「何か分かったし?」
「これって…春頃咲く…栗の花の匂い…?」
「!? そうだし!それに間違い無いっしょっ!」
「でも…何で…そんな匂いが…」
「? だよね?」
「んっ…それは後で答える」
「「えっ?」」
どこから現れたのかいつこの部屋に入って来たのか全く分からなかった。声の方に視線を向けると私達が横たわるベッドの傍にレーティさんが立っていた…。全く気配に気付かなかったんだけど!?私もある程度鍛えているというのに!?気配に敏感なマリンさんですら気付かなかったみたいでその顔は驚愕の表情を見せている…。
「(しぃ〜!)」
人差し指を口元にあて静かにと私達に合図を出しレーティさんは白い布をそっとエル様の顔に被せた…。
―ってそれではエル様が死んだ感じになってるじゃないですか!?何故白い布を顔に被せたんですかっ!?
「んっ…二人共もう喋っていい」
暫くしてからレーティさんがそう言いました。
「ちょっ!?」
「エ、エルに…な、何したし!?」
レーティさんの意図が全く分かりません。外はまだ暗い。まさか…エル様を裏切る!?そんな考えも頭をよぎってしまいます…。
「何で居るし!?それよりもこの布は何っしょっ!?エルが死んだ感じになってるしっ!?」
私もそう思ってました。
「それは…―――という薬品が染み込ませてあるし…」
「…えっ?」
それって…
「強力な麻酔薬っしょっ!?何してるしっ!?」
私でもその薬品の名は聞いた事がありました…。医療で使う…もしくは誘拐する時によく使われる薬品だと…。やはりレーティさんは…敵!?私は警戒を怠りません…。もう…エル様と離れ離れは絶対に嫌なのです…。
「ん…二人共この匂いが何なのか分かっていない?」
「「…?」」
私とマリンさんは顔を見合わせました…。この匂い…って、栗の花の匂いの事でしょうか?
「この…栗の花の匂いの事ですか?」
「んっ…そう」
「…どっかでイカでも焼いてるし?」
「ん…そんな訳ない」
「全く分かりません」
「ん…二人共まだまだお子ちゃま」
「「!?」」
お子ちゃま!?私だって…胸は少し大きくなったもん!
「ん…教えてあげてもいい…。その代わり…今から起こる事は私達3人の秘密にする事…それが条件」
私とマリンさんはまたもや顔を見合わせ…お互い頷き、条件を呑むことに…。
「分かったし…」
「私も守ります…。でも…エル様に危害を加えるなら…私達はレーティさんがいくら強くても…」
「ん…その志は立派。心配はしなくていい…。私もエル様が大好きだから…」
「分かりました…。それで、レーティ様は何をされるおつもりで?」
「んっ…まずこの匂いはそこから出ている」
レーティさんが指を指した方を見ましたが…全く分かりません。そんな私達を見兼ねたのか…
「ん…これを見るといい」
レーティさんは布団を剥ぎました…。私とマリンさんは裸なんですけど…?
そんな事は気にしないとばかりにレーティさんがまたもや指を指しました…。その指し示す場所はエル様………の股間?
「ん…まだ分からない?」
「「うっ…分かりません(し)…」」
「ん…ならば…刮目せよ」
レーティさんはエル様の下半身に身に着けているものを一気にずりおろし…あばばばばっ…両手で視界を塞ぎ…塞いだ様に見せかけて指の隙間からしっかりと確認はします…。エ、エッチな訳じゃあないですよ?ほらっ…レーティさんがおかしな事をしないか確認しないといけないではないですか!?そうでしょっ!?
ほ、本当ですよ?
「ん…これが答え」
「「こ、これは!?」」
私達が見たものは…私の想像もつかないものなのでした…。
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