幕間…責任はとってもらうからね?

『―イチ♪ニィ♪サン♪ショタ神!ごめんなさ〜い♪』



 これは俺が十歳の時の話。今、俺が聞いているのはレコード。かの有名なエジソンが発明したと言われるアレだ。何でこの世界にそんなものがあるのかって?それはようやくこの世界にもレコードが誕生したからだ。ちなみにですが俺が作った訳ではないよ?


 いや〜天才はやっぱりいるね…。俺が分かる仕組みを伝えると発明に発明を重ねてレコードが出来てきたんだから…。俺が伝えた事って針と溝が彫られた円盤…。これだけだよ?それで出来てくるんだから…。


 とにかく、レコードが出来たからには音楽を聞きたい!特に現世の音楽とか特に聞きたくなった。異世界だし著作権とかそんなの関係ねぇ〜!


 ―というわけで、向かった先は王都。何で王都かって?それはスカウトの為だ。かの有名な歌を彼女に歌って欲しかったからだ。その曲を歌えるであろう人物に俺はアテがあるのだ。


「―と、いうわけで…君もアイドルにならないか?」


 これもまた有名なあのアニメの台詞。この言葉で彼女を勧誘する。


「とととと、突然来られて意味が分からない事言わないでよ、エル君!?アイドルって何っ!?」


「曲のイメージに合うのがミミしかいないんだよ!今日からし◯れミミになってくれ!頼むっ!」


「何その名前!?まずどういう事なのか最初から説明してよ!」


「それもそうか…」


 彼女はミミ。3歳の頃…彼女が迷子になっていた時にティアと2人でミミのお母さんを捜してあげた事があるんだ。それからの付き合いだから…ティアやランスと同じで俺の幼馴染みたいなもんだな…。


 だから…彼女が歌が上手い事も、体型がロリっぽいのも、まだ9歳なのも知っている。そんな彼女にアイドルとは何かを丸一日を費やし伝える。少し熱くなってしまったがなんとか分かって貰えたと思う。


「―つ、つまり…私が人前でダンスしながら歌を歌ったり、その…私の歌った歌が何回も機械で流れると?」


「うん、簡単に言えばそうだよ!」


「無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理!!

人前でなんて、しかも歌うなんて!?それにダンスまでって!?」


「大丈夫!ミミなら出来る!」


「…なんでそんな絶大な信頼があるのか分からないけど私には無理だからっ!?」


「こんな言葉がある。ヤれば出来るさっ!道!」


「ないよっ!?そんな言葉ないからっ!?どこの言葉なの!?ヤれば出来るさ道―って曖昧過ぎるよっ!?」


「ミミしかいないんだ!それに…」


「…それに?」


「アイドルとは特別なモノだ。だからこそナンバーワンアイドルになれば願いが叶うんだよ!」

 

「…願い?」


「そうだよ!陛下にも許可は取ってきた!」


「…行動力があり過ぎるよ、エル君…。でも…」


「でも?」


「アイドルって今居ないよね?なのに…ナンバーワンアイドルって…何?」


「大丈夫!これから増えていくと思うし、事務所も設立するし!最初のアイドルにミミになって欲しいんだ!みんなに夢を与える職業だと言えるように!だからこそナンバーワンアイドルになって本人が望めば貴族にだってなれる…そんな風にしたいんだ!…で、1年に一回ファン投票やらで誰がその年のナンバーワンアイドルなのかのアンケートなんかをとったりして―」


「…1年に一回…ナンバーワンになれば願いが叶うの?」


「うん…そのつもり…まあ、勿論願いにも限度はあるけど…貴族になるとか、お金とかは大丈夫!王になるとかは無理だけどね?」


「…結婚…とかは?」


「んっ?ミミは好きな人がいるの?」


「ふぇっ!?あっ…うん…居る…よ…」


「なるほど…。ぶっちゃけ問題ないんじゃない?」


「ほほほ、ほんとにぃ!?」


「だってナンバーワンアイドルと結婚よ?断る人はいないだろうし…」


「本当の本当に!?」


「任せロリ!男に二言はない!」


「…それ女に二言はない…だからね?と、とにかく分かったよエル君…。私…頑張ってみる!」


「よ〜し!その意気だ、ミミ!」



 そして…この年、初めてのアイドルが誕生。そしてレコードが発売された。ミミが出したレコードは3枚。

『ショタ神セレナーデ』

『少し歳上の男の子♡』

『可愛い過ぎてごめんなさ〜い♡』


 いずれも言わずもがな、大ヒットも大ヒット!ミミはその年、翌年、翌々年のナンバーワンアイドルとなった。俺の目に狂いはなかった…。冒頭の俺が聞いていた曲はそんな彼女のデビュー曲『ショタ神セレナーデ』だ。


 そして…彼女は願いを一つだけ叶えた。まず貴族になった。後の2つは保留している。何を叶えるつもりなのかは聞いていないけど、一つは結婚だろうな…。願いが叶うと言う事でアイドルを志望する者が増えた。まあ、当然と言えば当然なんだけど…。ちょっとだけやり過ぎた感はある…。ごめんねテヘペロっ!


「15になったら…私はアイドルを引退するからね?だから…その後は分かってるよね?」


 ミミに最近そう言われたんだけど…引退は分かったんだけどその後って何だろうな?アイドルじゃなくてタレントとかそういう事かな?だから俺は…


「当たり前だろ?任せとけっ!」


 そう言ったんだ…。




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