第7話sideミーニャ
「見間違いかも知れんが…少し遠方の漁にたまたま行った時の話なんじゃが…煙が見えた気がするんじゃわい…地図はあるかのぅ?」
漁師をしている年配の女性に地図を渡す。
「…え〜と…ここが現在地じゃから…おおっ、ここじゃ!ここの海域からこの方角に見えた気がするんじゃ…」
女性が言った方角には地図には何も記されてはいない。
「まあ、地図には記されておらんが小さな島があった筈じゃ…たぶん…この辺かの…」
「!?…ありがとうございます!行ってみます!」
「気を付けての?」
それは微かな希望だった…。
半年前…エル様を連れ去る様に命じたのはアンビション王国の新国王だった事が判明した。すぐさまレインローズ王国は他国と同盟軍を結成。その三ヶ月後にはアンビション王国は歴史から消える事となった…。でも…エル様の行く方は全く分からなかった…。
「た、確かに…エルという男に眼を付け種馬として飼い殺し…我が国の増強等を考えておった…し、しかし…あいつ等は…エルという男をわしの元に連れて来る事はなかったのじゃっ!」
それは国王だった者の最後の言葉。
それからも必死にエル様を捜した。そして分かった事は…エル様のお乗りになられた船は嵐に巻き込まれたのではないかという事…。船が沈没したのなら…エル様は……。何度も何度も考えたくもない最悪な事が頭をよぎる…。
「…エルは…それでも無事だと思っているわ。だから…みんなも信じて?」
奥様を励まさないといけない立場の私達が逆に励まされてしまう。ハートネス王国は船が嵐に巻き込まれたと思われる場所から西側を、私達は東側を捜索…。海で仕事をしている人達に重点的に聞き回った…。些細な事でも構わないからと…。
そして…微かな希望を胸に聞いた場所へと向かったの。そこは本当に小さな島だった…。でも絶えず煙が上がっているのが見える。誰かが居るのは間違いない。マリア様には念の為に船に残ってもらい、海岸には兵を配置。私は島の西側から…レーティ、リンリン、レイラには島の東側から煙が上がってる場所に近付く事にした…。
気配を消し、慎重に近付いて行く。視界は吹雪いていて悪いものの姿を隠すには丁度いい…。―が、小枝や砂利、薄いながら積もっている雪を踏み締める音がどうしても響いてしまうわね…。
煙が上がってる場所はシェルターというか人の手によって明らかに作られた小さな家。中に人が居るのは間違いない。そして…気配が動き…家の中から出てきたのは…
「…誰?」
見間違い等起ころう筈がない…。声の聞き間違い等あり得ない。髪は伸びていてもすぐに分かった。エル…様っ!
「エル様ぁぁぁー!」
私は駆け寄りエル様を抱き締める。会いたかった。私はずっと…あの時を悔やんで悔やんで…。
本当に…本当によくぞっ!よくぞご無事で…。
話したのも束の間…エル様は…
「はぁはぁ…ミーニャ…ごめん。意識がなくなる前に大事な事を言うね?…この家の中に僕の大切な人が居るから…どうか…宜し…く…」
それだけ私に伝えると気を失われてしまった…。凄い熱…。私は急ぎ声をレーティ達に掛ける。そして、レーティ達にエル様を先に船へと届けてもらい…
「エル様から話は聞いてますよ?警戒しなくても大丈夫です…。出て来て貰えますか?」
「…バレてるし…」
家の中から出て来た女性は…あの時私と…
なるほど…だから、エル様は…。
「さあ、行きましょう!エル様の体調が心配ですので…」
「っ!?いいのし?」
「エル様が大切な人と仰ったのです。その御言葉だけで貴女を信用しますよ。それと…宜しければ話を聞かせて頂けますか?」
「お〜けしょっ!」
彼女を連れて船へと戻り、急ぎ出航。奥様はエル様に付き添われ…私達もそうですが必死の看病を続ける事になります。後、一つだけ…非〜〜〜〜〜常に気になるのは彼女のエル様を見る眼差し…。もしかしてまた一人堕としましたか?何人堕とすのやら…。
***
あとがき
いつもお読み頂きありがとうございます。日間ジャンル別ランキング1位、週間ジャンル別ランキング1位、本当にありがとうございました!この場を借りてもう一度お礼を!皆様のお陰で現在も良い位置にいさせてもらっております!本当にありがとうございます!
それと丁度の時にインフルにより体調を崩してしまい申し訳ありませんでした…。もう少しすれば治ると思いますので治ったらガンガン投稿しますので宜しくお願いします!
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