第6話無人島生活六ヶ月
とうとう半年が経った。島の様子はというと、島を覆う様に薄っすらと雪化粧が施されている。そうなると当然の事ながら寒いわけで…。
一応は前もって準備をしていたつもりだった。自然を舐めていたのかと言われればそんなつもりは毛頭ない。予想以上に寒かったという他ない。作れる物は作ったんだよ?草、葉っぱ、木の皮、獲った鳥の羽等で作った防寒用具を…。それでもやっぱり寒いものは寒い…。
そして寒さに負けた俺は…
「ゲホッ…ううっ…ゴホッゴホッ…」
はい!風邪をひいちゃいました!テヘペロ…。ううっ…まさか…風邪をひいて熱迄出してしまうとは…
「エル…エル…しっかりするし…」
不安そうな表情のマリンが必死に俺を看病してくれる。マリンに風邪を伝染さない様にしたいんだけど住む場所を一つしか作っていなかったのものだから離れていた方がいいとも言えないし…。伝染らない様に願うばかりだ。それと俺が風邪をひいてしまったことで余計な心配をかけさせてしまっている。
ならば…これしかあるまいて!
「心配…しなくても…僕は…うっ―」
―ガクッ…
「…エル?エルしっかりするしぃぃ!」
俺が死んだかの様に慌てるマリンの様子を見てからガバっと上半身を起こす。
「こんくらいじゃあ俺は死にゃあしねぇーよ?」
「……えっ…エル?」
何が起きたか分かってないマリン。もう一度…。
「ゴホッゴホッ…ううっ…うっ―」
―ガクッ…
「…エル?エルゥゥ!?」
必死に俺を揺さぶるマリンを傍目に何事もなかったかの様にまた上半身を起こして…
「まだまだ死にゃあしねぇーよ?」
有名なあのコントだ!
「…何がしたいし?」
「いや…元気出たかと思って…」
「出るわけないしっ!こんな時にそんな事するエルは頭おかしいしっ!馬鹿だしっ!冗談でも…あ〜しは…」
「僕は大丈夫だから…こんな事出来る位元気だから…だから、マリンも休んで?一睡もしてないでしょっ?マリンのお陰でこんな事しても平気な位になったんだ!だから…ねっ?」
ただ単にこんな事したんじゃないからね?マリン迄倒れたりしたらいけないからこんな風にしたんだよ?ホントだよ?
「…んっ…分かったし。少しだけ…寝るし…」
それからしばらくして…すぅ〜すぅ〜 と、マリンの寝息が聞こえてきた。ようやく休んでくれたみたいだ。本当に良かった。
それにしても…頭はガンガン…喉は痛いし…ボッーっとするし熱も高い気がする。本格的にマズイかもね…。それから暫くして…
―バキッ…ジャリ…ジャリ…
何だ!?外から聞こえた。木の枝が折れる様な音と砂利を踏む様な音。それから声が聞こえる気がする。人?それとも幻聴か?とにかくマリンはさっき眠ったばかりだし…起こす訳にはいかない。俺は近くに置いてあった木の銛を手にふらふらとしながら外へと向かう。
外は吹雪いているうえに視界がボヤケてよく分からない…。でも…たぶん…人らしき姿が見える…。
「…誰?」
「っ…!?エ、エル…さま?」
「僕を…知ってる?」
「エル様ぁぁぁー!」
俺の名前を呼びながらその人は駆け寄って俺を強く抱き締めた…。それは聞き覚えのある声…
「もしかして…ミーニャ?」
「はい…はい!ミーニャですっ!ううっ…エル様!エル様!!よく…よくご無事で…」
ヤバイ…意識が遠くなる感覚…。せっかくの再会なのに…でも…これだけは伝えておかないと…
「はぁはぁ…ミーニャ…ごめん。意識がなくなる前に大事な事を言うね?…この家の中に僕の大切な人が居るから…どうか…宜し…く…」
「エル様!?酷い熱!?レーティぃぃ!!!リンリーン!!!レイラァァァー!!!急いでここにっ!!!」
そして…俺は完全に意識がなくなった…。
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