第5話無人島生活三ヶ月

 あっという間に90日が経過。とうとう島の暮らしも三ヶ月という事になる。まだまだ暑い日が続いているけど…季節は変わる…。


「難しい顔してどうしたし?」


「冬備えもしないといけないと思ってたんだ…」


「まだまだ暑いし…あ〜し達裸だし?」


「少しは隠そうね?」


「エルっちだから問題無いっしょっ?(責任はとってもらうし…)」(ボソッ)


「後半聞こえなかったんだけど…」


 とにかく冬になると食べ物が少なくなるのは明白。冷たい海に頻繁に潜って貰う訳にもいかなくなる。―と、言うよりも大切なマリンをそもそも冬の冷たい海に潜らせたくない。


「っ!?」(ボッ!?)


「ん?どうかした?」


「た、大切だなんて…て、照れるし…」


 どうやら声に出てたみたい。


「まあ、本当の事だから…」


「エルはホントに…ホントに…馬鹿し…」



 そっぽを向いて馬鹿呼ばわりはあんまりだろう?


 と、とにかく…気を取り直してまずはちょっとした崖面などで粘土を採集する事に。そういう場所はすぐに見つかった。幸先はいいね…。


「新しい事する感じし?」


「うん…この粘土を使って土器を作るつもり」


 知識は本当に大事だね。昔、歴史の授業で興味を持ったのが功を奏したね。興味があることって今の時代ネットですぐに調べれば分かるしね。みんなも興味を持ったらすぐに調べてくれよなっ!


「ほへぇ〜…エルは本当に色々知ってるし…」


 採取した粘土と砂を混ぜ、空気を抜いて均一な素材を作る。何度も失敗しながらも…。そして出来た物の乾燥をさけながら保存台石の上などに木の葉を敷く(これは手で回転しやすくするためだ)。

 今度はその練った物を紐状に。粘土紐を輪にして積み上げたりなどして土器の形を作る。多少不格好でも構わない。壺みたいな形やらも作る。で、最後に野焼きを行い、完成だ。マリンの方が器用なのは言うまでもない。


「ホントに出来るもんなんだし…」


「まあ、何とかね?マリンは流石だね!見た目も形もバッチリだし!とにかくこの出来た土器を使って塩を採取する」


 食べ物の保存に塩は欠かせないし、味付けにも塩が使える様になるからね…。


「どうやるし?」


「まずは海藻を集めよう」


 アマモやホンダワラと呼ばれる海藻を集める。ここでワンポイントトリビア!同じホンダワラ科の海藻としてヒジキの名前が挙げられる。どう?ちょっとしたトリビアでしょっ?ヒジキ感激ぃぃ!


 コホン…。んで、集めた海藻をまとめて積み上げて、何度も海水をかけてから灰になるまで焼く!大きめに作った土器に海水と先程の灰を入れて、グラグラ煮る。出来るのは濃い塩水。それを更に加熱して塩の塊を作るんだ!


「塩っしょっ!凄っ!マジ凄っ!」


「まだまだぁー!」


「まだ何か作るし?」


「当然!やれる事はやって必ず2人生きて島を出るんだっ!」


「や、ヤるって…そんな急に言われてもし…」


「…そのヤるじゃないからね、マリン?」


「じゃあ…あ〜しで女体盛り…するし?」


「……………しないから」


「間があった気がするし…」



 女体盛り…か…。男達の間で語り継がれる伝説だよな?ちょっと想像しちまったよ!?


「想像してるし?」

「してないからっ!?」

「ところで…女体盛りって何するし?」

「知らんで言ったんか〜い!?」

「男が喜ぶとは聞いたし…」

「人によるんじゃないかな…」

「エルは喜ぶし?」

「…さて」

「誤魔化したし!まだ話は終わってないし!エルが喜ぶならあ〜しは…ゴニョゴニョ…」


 つ、次行くどぉー!獲って食べた鳥の骨で釣り針を作ったり、土器で作ったタコ壺でタコ漁。魚は干して干物を作ったり、拠点に壁を追加。まあ、壁って言っても木で作った骨組みに土を塗ったり、葉っぱを被せて…。出来たイメージはカマクラみたいな感じでしてもろて…。かなりの日数がかかったわけだけど何とか全てをこなす事が出来た…。


「ようやく一段落かな?」

「タコも見た目はアレだけど…美味しいし…」


 焼いても美味いしボイルしても美味いし、タコって本当に美味しいよね…。タコ焼き食いたくなるな…。帰ったらタコ焼き作りにも精を出そうかな。


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