第4話無人島生活一ヶ月

 この島に流れ着いてから毎日、木の幹に正の字を刻んで今日で三十日。一ヶ月が経過した。島での暮らしは今の所順調と言って良いと思う。俺一人では到底生きられなかったけどね…。マリンのお陰で生きられていると言っても過言ではない。


 最近は弓で鳥も獲っている。獲っているのはマリンだけど…。海に潜るのもマリン…。木の上になってる木の実を取るのもマリン…。


 考えれば考える程、俺何も出来てなくねぇ!?物作りの等のアイデアを出すのは俺だけど全く役に立っていない事に気付く…。


「マリン」


「どうしたし?添い寝希望し?」


「いや…それは毎日やってるじゃん」


 添い寝で思い出したんだけど…マリンって良い匂いするんだよね…。不思議だろ?無人島生活してる訳だから綺麗にするといっても水浴び位なんだけど…甘くいつまでもその匂いに包まれていたいというかそういう匂いが漂っているというか…。

 まさか…それも暗殺者のスキルかっ!?(※違います…)


「にしし…またあ〜しの裸でも想像して大きくしてるしょっ?」


「…してないから!?」


「でも…たまに勃っ…「言わせねぇよ!?」…エルのまだ小さいのがあ〜しのに当たってるのに…」


 アレだな…。子供でもそうなるらしい。調べた所毎日そういう生理現象はあるらしいぜっ!それにやましい事は誓ってないんだけど毎日あんなに密着されてたら触れるんだっちゅ〜のっ♡


「とにかく…話が逸れたんだけど俺も今日から海に潜ってみようかと…」

「それは止めた方がいいっしょっ!」


「まさかの即答!?」


「当たり前し…。せっかくここまで一応は順調っしょっ?それに…そういうのを普段からしてたら別だけど、エルはした事ないしょっ?」


「そりゃあ…そうだけど…。女の子のマリンにばっかりそんな事させてたら…」



―キュンキュン♡


「…エル」


「んっ…?」


「今のは…キュンキュン来たし♡」


「キュンキュン要素全く無かったよね?」


 距離を詰められ抱き抱えられるとそのままハンモックへと強制移動。


「キュンキュンさせたから一緒に寝るし♡」


「うぉーい!?さっき起きたばかりだよっ!?」



「昼迄寝るし…黙って抱かれて眠るし……(それにエルがこうして傍に居るだけであ〜しは…)」


す〜す〜…す〜…


「寝てるしっ!?寝るの早過ぎっしょっ!?」


 エルが寝たのならあ〜しのターン!エルの頬にそっと口づけ…ちゅっ♡


 ―ふぁぁあっ!?これは堪らんし…。癖になるし…。こんな気持ちがあ〜しにもあるなんて…あ〜しってわりかし乙女だったしょっ!?唇は将来エルから奪って欲しいし…アレも…♡これはあ〜しのエネルギー補給!必要な事し!

 まさか一ヶ月位で歳下の男の子にこんなに夢中になるなんて思わなかったし…。あ〜しって重いし?でもでも…今更エルなしなんて考えられないし…みたいな…。と、とにかくあ〜しはエルの為なら何だって出来るし、捧げられるし!頬にキス位は当然しょっ!




***

〜その頃のティア〜



「ティア…どう?少しは落ち着いた?」


「ランス!私は大丈夫!」


 んっ?思ってたより元気だね…。もっと元気がないと思ってたんだけど…。


「ほ、ホントに大丈夫そうだね?」


「うん!だってエルは無事だって…なんとなくだけど分かるから…」


「そうなの!?」


「ただ…」


 僕は息を呑む…。ただ…何だろう?


「不快な何かを感じるというか…女の匂いがするというか…」

「いやいや…それは……………ないと思うけど…」


 でも…エルだし…。


「しかも…結構宜しくやってる感じがするんだよね…」


 ひっ!?深淵のティア!?黒い、黒ティアが出てるっ!?この間自分の気持ちに気付いばかりだよねっ!?最早エルの全てが見てなくても分かる感じっ!?!?


「ははっ…は…ま、まさか…エルに限ってそんな事…(確かにないとは言い切れないよね…)」


「わ、私がこんなに想ってるのに…」


「それ…エルは知らないからね?」


「そんな事ない!想いは通じるものよ?」


「言葉にしないと通じないからねっ?特にエルには!また変な書物読んだんでしょっ!?」


「ランス失礼だよっ!…エルの全ては私のモノ。私のモノは私のモノってちゃんと書いてあったんだもん!」


「―だもんじゃないよっ!それはどこぞのガキ大将のセリフだからっ!そんな事言ったら嫌われちゃうよっ!?ティアはどこを目指しているのさっ!?」


「え、エルに嫌われたら…私…」


「だ、大丈夫!まだ戻って来れる!黒ティアは棄てて白ティアになればいいんだから!」


 エル…早く戻って来てよね?無事なんだよね?女の子とイチャイチャなんて…してないとは思うけど、してたら知らないからね?


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る