第16話狙われたのは…

 何が起こったのか分からなかった…。知った顔の女性達が地面に膝をついたり、地面に倒れ込み…泡を吹き、まるで息が出来ないかの様に苦しみだして……


「い…ぃき…がぁっ…」

「あがっ…」

「うぐっ…」

「…ぁ……」

「くる…し…」

「…やけ…る…」


 

 ―やがて…その人達は動かなくなった…。すぐ目の前に拡がるのは凄惨で異様な光景…。


「何で…」

 

 何だよ…何なんだ…よ…これっ…。



 の様に「食事の準備が出来たぞ

ー!」と、いう声と共に貴族だとか身分だとかそういう食事の順番なんか気にせずに食事にありつける者から食事を頂く。俺とミーニャ、エリンはこの団を2つに分けて先に王都へ向かうか、壊れた荷馬車の修理が終わってからみんなで向かうかを話していたんだ…。荷馬車が壊れた場所は周りが林に囲まれていて村と村を結ぶ近道として切り拓かれた、いわゆる林道の中間辺りだった。林のお陰で日差しは遮られ休むのには適していたんだけど…。


 そしたらいきなり一人が苦しみだして―と思ったのも束の間…次々と苦しむ人達…。ミーニャとエリンがその人達に駆け寄ると、すぐに何かに気付いて…


「「っ!?」」

(これは…毒!?)


「口にしては駄目よっ!」

「口にした者は吐けっ!」


 ミーニャとエリンの声が辺り一帯に響き渡ったんだ…。


 

 ―その次の瞬間には何人かがまた倒れた。


「て、敵襲ーぅ!!!」


 騎士団の一人がそう叫んだ。先程倒れた人の頭には矢が突き刺さっているのが見えた…。ミーニャとエリン、騎士団の中で動ける七人は俺を護り囲む様な陣形になり剣を抜いたり槍を構えた。


「弓はもう使うなよ?」

洒落にならんからな」


 どこからかそんな声が聞こえて来ると共にゾロゾロと姿を現す武装した女性達…。30人以上は確認出来る。


「聞けっ!我等はレインローズ騎士団!ここにおられるのは男性だぞっ!それを知った上での狼藉かぁっ!!!」


 エリンが叫んだ。男性が少ない為、手を出したら刑は重罪も重罪。拷問に拷問を重ねたうえで処刑されるのはこの世界の人の常識。それが関係しているのかは分からないが過去に一度も男性に手を出した事件は今まで起こっていないみたいだ…。



「―やれっ!」


 姿を現した女性達のリーダーだと思われるその女性の一言を皮切りに武装した女性達がこちらへと一斉に攻めて来た。


「ミーニャ様…」

「分かってるわ、エリン。彼女達の狙いは…」

「騎士団の者に告ぐっ!絶対にエル様に近付けさせるなぁー!」

「「「「「「「はっ!!!」」」」」」」


 この人達の狙いは俺…?



ザシュッ!


「っ……」


ドスッ!


「がはっ…」


ザシュッ!ザシュッ!


「ぎゃっ…」

「ぁ…っ…」


 近付いて来た者達を次々とミーニャ、エリンは斬り捨てていく…。騎士団の人達もそれに続いている。俺は吐きながら何も出来ずに突っ立ているだけ…。恐怖で動けないと言った方が正しいと思う…。そう感じている間にも敵の数は徐々に減っていった…。



「流石は騎士団…か。おい、お前等…出番だ」


 リーダーが言ったと同時にミーニャとエリンに向かって2つの影が迫った。


キィン!キィィ!キィーン!


 金属同士がぶつかり合う音。何度となく剣の応酬が続き…


「…強い…ですね」

「あんたも強いし…」


 ミーニャが言った言葉に褐色肌の女性がそう答えた。


「くっ…」

「むっ…」


 エリンも攻めあぐねている様だ。その2人が相当強い事が分かる…。その間に騎士団の一人が殺され…また一人殺されてしまう…。敵の数も半数以上は減ってはいるけど…このままじゃあ…


「まだ終わってねぇのかよ?」


 ―そんな声と共に現れた敵の増援…。20人は居るだろう…。最悪だ…。ミーニャとエリンは手一杯の様だし、騎士団の5人も既に満身創痍…。


「せめて…」

「エル様だけでも…」

「我が命に換えても…」



 嫌だ…これ以上知ってる人が俺の為に傷付いたり死んだりするのは…。俺はその辺に落ちている剣を拾うと、みんなの傍から離れて…



「双方動くなァァァーーー!」


 精一杯そう叫んだ。その言葉に闘いが止まってくれた…。


「エル…様?何…をっ?」

「エル様こちらに!!」


「俺は双方動くなと言った!」


 ミーニャ…エリン…ごめんね。


「何するつもりだ…


 リーダーと思わしき女性が俺に問う…。


「俺はあんた達に付いて行く。だから…残りの…5人の命と引き換えにして欲しい」 


「エル様…嫌です!私はっ…!」


 ミーニャ…俺も同じだから…


「あんたがリーダーだろっ?俺は…ミーニャ達がこのまま死ぬのを黙って見てる位なら俺も死ぬ!取り引きしてくれっ?」


 俺に死なれたら困る筈だろ?

 

「…いいだろう」


 よし…。そりゃあそうなるよな?俺が狙いならさ…。


「エリン…騎士団に命令だ!ミーニャ様を連れて直ちに全員この場を離れろ!」


「嫌です嫌です!私は絶対に…例え死んでも…」

「エリン!!!」


 頼むよ…エリン。そんな想いを込めてエリンに視線を向ける…。


「…くっ…騎士団に告ぐ…ミーニャ様を力付くでも押さえ込み…この場を離脱…するっ!」

「「「「「……」」」」」

「急げっ!」

「「「「「は、はっ!!!!!」」」」」


「離してっ!離せぇぇ!エル様!エル様!エルぅぅぅぅぅぅ―――――」


 戻って来れたら今日の事は謝るからね…ミーニャ?



 この場をミーニャ達が無事に離脱するのを見届けてから俺の身柄は何者か分からない女性達に預ける事になった…。


 それと…ティア…。約束したのに約束守れなくてごめんね?




***

あとがき

本日日間ジャンル別ランキングで1位になる事が出来ました!本当に皆様のお陰です!

本来なら本日お礼も込めて複数回投稿予定でしたが筆者こんな大事な時に風邪をひいてしまい熱にうなされております!文章が間違ってたりしましたらご報告下さいませ!また治り次第お礼も込めさせて頂きまして更新しますので引き続き評価や応援宜しくお願いします!

本当にありがとうございました!夢が叶いました!


美鈴

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