幕間初めての感覚

 私は近頃おかしい。誕生祭の時にエル君があんな…あんな私を褒めるような事をいっぱい言うからだ。思い出しただけでも何故か頬が熱くなり、心臓の鼓動が早くなる。


 お父さんが褒めてくれるのとは違う感じ。それがなんなのかは分からない。誕生祭の翌日、エル君が領地に帰ると聞いたので宰相のクララさんに相談したの。帰る前にもう一度だけエル君に会いたいって…。お父さんに言ったら駄目って言われそうな気がしたから。


 そしたらクララさんが護衛を付けてくれて、しかもクララさんまで付いてきてくれたの。優しいよね、クララさんって!


 ―で、エル君が泊まってる宿に行くと宿を出る所だったの。


「良かった…エル君」


「ティア殿下どうしてここに!?」


 私が来るとは思って居なかったんだと思う。エル君はビックリしてたから。少し可愛いと思ったのは内緒♪ただ、殿下と呼ばれるのは何だろう…何て言えばいいのか分からないけど他人っていうのかとにかく嫌だった。私はエル君と距離を詰め、


「ティア」


「んっ?」


「エル君には…ティアって呼んでほしい…」


「それは…無理なんじゃ…」


「構いませんよエル殿。ティア殿下がそう望まれていますし…(なにより、エル殿…もしくはランス殿が殿下の…)」


 ナイスアシスト!グッジョブ、クララさん!やっぱりクララさんは頼りになる。


「だから…ねっ?」


「分かったよ…ティア」


 トクン……トクントクン…


 まただ…また私の心臓?心?何ていうのだろう…。心地よいリズムで早鐘を奏でる感じ…。名前を呼ばれただけなのに嬉しい…。


「こ、今度はいつ…いつ王都に来る?」


「遠いからね…。いつだろう?」


 しばらく会えない…。そう思うと涙が出てきた。


 エル君は右手の人差し指で私の涙をスッ―っと、すくい取り、私の頭をポンポンとした。触れられた箇所が異様に熱い…。


「…出来るだけ王都にも来る様にするから、泣かないでティア」


「ほ、ホント?」


「約束する!」


「…うん、じゃあ…約束」




***


 そしてエル君は領地へと帰って行った…。エル君が帰った後、考える事はエル君の事ばかり…本当に私…どうしちゃったのかな?クララさんに聞いたら「それはそのうちご自身で分かられる事ですので…。嗚呼…それとそのことは絶対に陛下には言わない方が宜しいかと…」と、言われちゃったし…。


 会いたいな…エル君に…。




***


「宰相よ…」


「…どうされました?」


「あの小僧に口説かれてからわしのティアの様子がおかしくないか?」


「…口説いた訳ではないかと…」


「あんなの飲み屋の姉ちゃんを口説く時の言い方じゃねっ?」


「陛下…将来エル殿かランス殿がティア殿下の…」


「なぁっ…にぃぃぃぃぃーーー!?」


「いや…何も何も元から分かっていた事ではありませんか…。当初…男の子はいつ王都に来るのかと心待ちにしていたではありませんか…」


「…わしが若い頃使ってた槍を持ってこい…」


「槍なら股関に持っているでしょう?ふるびて錆びてますがっ…」


「宰相よ…毒吐きすぎじゃね!?」


「気のせいです…」


「がっぺぇむかつく!」


「…そのポーズに何か意味が?」


「…忘れろ」




***

〜ティアがエルの宿に着いた直後〜



「…どうして…ティア殿下が?それに…あれって…エル?」






❋❋❋

あとがき

本日二度目の更新です!

重ね重ねのお願いになりますがどうか少しでも面白ければ評価の方を下部よりポチッと宜しくお願いします!コメントもお待ちしております!

筆者の複数回更新のモチベーションになりますので

どうか!

それとランキングに入っていないと中々読んでもらえませんので是非ご協力を! 


美鈴でした!

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