第11話ティア殿下の誕生祭②

 話をしているうちにランスとも仲良くなりお互いに呼び捨てで呼び合える様になったんだ。

 不意に周りが一斉に静かになる。王様が来た為だ。陛下とも言うんだったけ?何気に貴族社会って難しいよね。爵位もそうだけど…。


 それにしてもあれが陛下…か。厳格そうで長い白髭。絵本やアニメに出てくる様ないかにも王様って感じの姿だ。おまけに男だし…。


「皆の者、今日はの為に集まってくれて本当に感謝する。礼を言う―」


 んっ?何で2回も「わしの」と言ったんだ?もしかして陛下って生粋の親バカなのか?


「―では、わしの話はこれ位にして、本日の主役の登場じゃあ、わしの娘のティアじゃ!」


 ―パチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチパチ!


 盛大な拍手の中、ティア殿下が会場へと入って来る。昨日会った時とはまた違い、華やかなドレスを身に着けたティア殿下は紅髪ということも相成ってまるで会場に咲いた一輪の赤い薔薇の様に思えた。


 ちょっとキザ過ぎたかな…。でも…本当にそれくらい綺麗なんだ。―勘違いがないように念の為言っとくけど僕はロリコンじゃあないんだからね!!


「…綺麗」


 ほらっ!おどおどしていたランスもこう言ってるし…。


「エル…殿下に見惚れてなかった?」


「…気の所為です、お母様」


 何故にジト目なのだろうか…。母さんにも困ったものだな。子離れ出来るのだろうか?ただ…それとは別に母さんのジト目ありがとうございます!変な所で妬く母さんも可愛いものだな…。


 おっ、ティア殿下の挨拶が始まる様だ。


「今日はわたくしの誕生会にお集まり頂きありがとうございます。ティア・レインローズです」


 王族って、ホント大変だよな…。なのに、あんなに堂々としっかりした事も言えるなんて…。



 挨拶が終わるとみんなティア殿下に群がっているな。ランスもテレサさんが先に挨拶に。ランスはガチガチに緊張してうまく喋れてないようだな。




 ―ランス達の挨拶が終わったので今度は俺達みたいだ。んっ?ティア殿下が驚いているな…。そういえば今日ここに呼ばれてる事言ってなかったっけ…。


「はじめてお目にかかります、ティア殿下。わたくしはマリア・フォン・アルタイル。アルタイル領の公爵位を拝命しております。こちらはわたくしの息子です」


「エル・フォン・アルタイルです」


「えええ、エル!?ホントにエルなの!?」


 驚き過ぎだよティア殿下…。ほらっ、横に居る陛下の目が鋭くなってるじゃん…。


「はい…ティア殿下」


「ティアよ、この子が昨日言ってた男の子か?」


「は、はい、陛下」


 ティア…変な事はいってないよね?陛下から圧を感じるんだがっ?


「…マリアよ、久しいのぅ…」 


「はい、陛下」


「まさか、マリアの子とはの…。それも男の子とはの…」


「お聞きになっていなかったのですか?」


「…テレサの所も男の子を産んだのは先程知ったわい。ティアが生まれた歳に2人も男の子が生まれた事も聞いたのはだいぶ後の事じゃぞ?相変わらず情報が正確に入ってこないんじゃよ…お主達もこういう時じゃないと来ないしの…」


「そうですわね…」


「そこは相槌うたずにもう少し王都に来るとか言って欲しいもんじゃが…まあ、仕方ないの…。公爵はみな、よくやってくれておるしの…」



 ―陛下と母さんが話をしている間、俺はというと…


「―昨日言ってくれたら良かったのに!」


「昨日は…そうですね…バタバタしてましたしね?」


「それは…そうだけど…」


 そういえばこういう時って褒めないといけないんだよな?漫画なんかでもそういうシーン見たことおるし…。よしっ!


「それにしても今日のティア殿下は本当にお美しい」


「…へっ!?」


「目の前に天使か女神が降臨したのかと思いました」


「…ふぇっ!?」


 こういう事を言うのは流石に恥ずかしいので視線を逸らしていたんだ。だからティア殿下の様子がおかしい事に気付かなかったんだ。ティア殿下の頬も首も…それこそ体中が髪の色と同じように紅く染まってしまっている事に…。


「―また、その艶のある綺麗な紅い髪が…」

「エ、エル!?そ、その辺にしておきなさいね。で、殿下が困っているから…」


 母さんの言葉で我に返り辺りを見渡すと…うん、これはやってしまったかな…。ティア殿下は何故か俯いていてその表情は窺い知れないけど、王様が少しお怒り気味だしね…。



 そこからは挨拶も程々にその場から離れ、ランスと共にテーブルの食事にうつつを抜かす。そんな風に会場で過ごしているとあっという間に時間は過ぎてティアの誕生会は無事に終わりを迎えることになったんだ。


 ランスは誕生会が終わると帰りがけに泣いていた。どうやら俺と離れたくなかったみたいだ。お互い初めて出来た同性で同じ歳の友達だからね。


 だから、ランスと絶対に会う約束をして別れたんだけど、今度はいつ会えるだろうか?


 その時が来るのを俺も楽しみにしている…。





***

あとがき

ジャンル別ラブコメランキング3位ありがとう御座います!皆様のお陰でこの物語もここまで来れました!本当にありがとう御座います!

昨日も複数回更新させてもらう予定だったのですが携帯は壊れ、ストックが消えるというとんでもなくツイテない事に見舞われました…。すいません!

そんなツイテない私にどうか頑張って言う方でまだ下部の評価をポチッと押してない方がいらっしゃいましたらどうかポチッと宜しくお願いします!目指せ日間ラブコメランキング1位!

なってみたい(泣)

長くなりましたが本当にありがとう御座います!

美鈴でした!


 

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