第7話いざレインローズ城へ

 王都へは俺の村から約一週間程で到着。途中にある小さな町や村をいくつか経由してようやく到着したというわけだ。


 その際、立ち寄った村の一つにこの世界で初めての男性に出会う事が出来た。かなり年配だったんだけどその村の領主様兼、男性なので公爵と同じ位の爵位も持っているらしい。権力を振りかざすタイプとは程遠く、とても優しくて気さくな人だった。


 王城から僕達の村に帰る時にまたその村には寄る事になるのでその時にでもゆっくり話をしたいなと思っている。行きはなにしろ時間が無かったしね…。


 城門を潜り、ふと見上げる感じに視線を向けると王城が俺達を見下ろす様にそびえ建っている。でかっ!?映画とかに出てくる城そのものだ。それに城門から伸びる道は幅広く綺麗に石やレンガ等を用いて舗装されている。道に沿うような形で大きめの家も建ち並んでいる。行き交う人も田舎とは比べ物にならないな…。


「凄いでしょ、エル?」

「うん、あれがお城なんだね」

「そうよ、大きいでしょう?」

「本当に凄いね…」


「まずは宿へとご案内させてもらいますね」


 城下町に着いた俺達はエリンさんの案内で宿へとまず向かう事に。母さんは部屋に入ってすぐにベットにダイブ…。母さんはする事が可愛いね…。


「ふぅ~…王都迄の道のりはやっぱり遠いわね…」


「来るだけで一週間だもんね…」

(車があったら便利なのに…前世は本当に便利な世界だったんだな…)


「奥様は普段から運動が足りないからでは?」


「ちょっと、ミーニャ!?そこは賛同するところじゃないの!?」


「そこで賛同してしまっては余計に奥様は運動しなくなると思いますので私は絶対にしませんけどね?」


「ぶぅ~ぶぅ~!」


「さて、ぶぅ~ぶぅ~─と、言ってる奥様は放って置いて…エル様?」

「な~に、ミーニャ?」

「宜しければ城下町を見に行かれますか?」

「良いのっ!?良いんだったら行きたい!」

「かしこまりました…。レーティとリンリンは奥様のお世話をお願いね」


「ん、了解…です」

「任せるアル!」

「気を付けて行くのよ?まあ、ミーニャが付いてるからその辺の心配はいらないでしょうけど…」


 侍女の2人は母さんのお世話をするみたいだね。母さんバテてるみたいだしね…。それにしてもミーニャが付いてるなら心配ないという事はどういう事なのだろう。おいおいその辺も分かるかな?




***


 俺とミーニャは宿に面している大通り、つまりメインストリートを歩く。果物や野菜を売ってる店、武器を売ってる店等様々な店が建ち並んでいるね。ちょっとだけ武器屋を覗いてみたくなる。だって男の子だもん♪


「ミーニャ」


「どうされました?」


「武器屋を覗いてみても?」


「ふふっ…構いませんよ」



 ミーニャと武器屋の中へ。店内は装飾された剣やら槍、斧等が所狭しと並んでいる。マジカッコいい…!見るだけでもワクワクしてしまう。


「いらっしゃい…って、もしかして男の子…かい?」


 声を掛けてくれたのは三十代位の女性。この店の店主だろう。俺がミーニャの顔に視線を向けるとミーニャはコクンと縦に首を振る。言っていいという合図だ。


「うん、そうだよ」


「もしかして…噂の公爵家のご子息様?」


「一般の客として店内を見せてもらいたいのですが宜しいでしょうか?」


「もも、勿論です!あっ…いえ、勿論」


 なるほど…今のミーニャみたいに言えば店主も一般の人として扱ってくれるのか…。勉強になるな…。


「もし良かったら…子供用の護身の為の剣でもお見せしましょうか?」


「是非!」



***


 武器屋に居る間、ついついはしゃぎすぎてしまった。でもミーニャは終始ご機嫌だった。何故かは分からないが…。勿論護身用に1本買うことに…。使う機会なんかないだろうし、そんな機会は来なければいいと思うけど腰の後ろに装着するだけで気分はゲームの主人公だ。テンションだだ上がり真っ最中だ。


 店を出た僕達は色々な場所を見て回る。



 そんな時、僕と同じ位の女の子が一人泣いているのを見掛けたんだ…。



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