第3話sideその頃の王城
「王様ぁぁぁぁぁぁー!」
宰相が慌ててわしの元に駆け寄って来る。そんなに大声を出さなくても聞こえておるわい。
「…どうしたというのじゃ?」
「はぁはぁ…お、王様…はぁはぁ…い、一大事に御座います!」
「…取り敢えず息を整えよ。何を言いたいのか全くもって分からん…。誰か!水を宰相に持って参れ!」
「はっ!」
若い女性兵士が水を持って来て宰相に手渡す。受け取った宰相はごくごく─と、それはもういい飲みっぷりじゃわい!ぷはっ~、う~ん、うまい!もう一杯!とか言うかの?
「…王様一大事に御座います!」
言わんのか~い!そこは言えよ?有名なセリフじゃろうて!?そんな風に思う心に蓋をして何があったのか尋ねてみる…。
「何があった?」
「はっ!ティア様と同じ歳に男の子が2人誕生している事が分かりました!」
「な、な、なっ、何じゃとぉぉぉぉーー!そ、それは真か?」
「間違いありません!既に確認がとれております!」
「…そうか…そうかっ!この国に2人も男の子が誕生していたとは…こんなにめでたいことはないのぅ、宰相よ!!!」
「おっしゃる通りに御座います!」
「─して、その者達はいつここへ来るのじゃっ?」
「既に、3歳になられるティア様の御披露目と誕生日の日に合わせて招待状を送る手筈は整えさせているところなのですが…」
「…今すぐに会えんのか?」
「なにぶん準備もありますゆえ…」
「それは…致し方なしか…。準備を怠り、他国へその者らが嫁がれても困るしのぅ~」
「その通りに御座います王様…」
「兵士の派遣はどうなっておる?」
「そちらも既に派遣の準備を整えさしております!」
「そちらの方を急がせよ!他国も男が生まれた事は既に耳に入れておる筈じゃっ!」
「はっ!承知しました!」
「それとどちらの方が有望そうなのじゃっ?」
「それは…まだ分かっておりませぬ…。どちらも家から外に出た事がないそうですので…」
「確かに…それはやむを得ないか…男が生まれたとなればそうなるか…」
「ただ…どちらも元気に育っている事だけは情報として入ってきております」
「取り敢えず元気ならばよい…。男を産んだ者への報奨も速やかに行え!」
「はっ!そちらは何年もの間手付かずだったので用意だけは済んでおります!」
「ならば、兵の派遣と共にそちらも納めさせよ!」
「畏まりました王様!」
「…ようやく…わしの荷も降りるというものよ…」
「王様…それは後、十数年は掛かるかと…」
「…お前が用意した薬は効かなかっただろう?」
「新しいモノをまた用意しましたので…」
「おい!馬鹿なのか?わし73歳じゃよ?いい加減夜は一人で寝たいもん」
「寝たいもんじゃあありませぬ!王様に夜は励んで貰わねば!」
「…宰相よ…お主三年前も同じ事言ったが無理だった事を忘れたのか?」
「今回は赤マ○シというドリンクを手配しましたゆえ…」
「…赤マ○シって…お、お主…」
そんなの飲みたくないし…飲んでも無理じゃから!?
「赤マ○シと生タ~マ~ゴ!」
「何が生タ~マ~ゴじゃい!」
「提供先よりその様に伝わっておりますゆえ…」
「…3歳の生まれた子達に飲ませれば?」
「お~い!そんな事したら他所へ嫁がれてしまうでしょうがっ!?3歳児にそんな事求めるんじゃないわ!この愚王がっ!!!」
「何じゃとぉぉぉぉーー!」
「ヤりますか?ヤるのなら鰻パイに鰻重等を重ねて準備致しますよ?」
「…兵士の派遣をもっと急がせよ!」
「誤魔化しても駄目ですからね?」
早く平穏に余生を過ごしたいわい…。
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