もう一つのプロローグ
「王様…残念ながらまた…」
「…女の子であったか?」
「…はい」
「よい…もとより期待等しておらぬ…」
「………」
「…この国に今年、生まれた男の子は何人じゃっ?」
「…まだ一人も…一人も報告が上がってきておりませぬ…王様…」
「去年も、一昨年も…その前も男は生まれておらぬというのに…」
「…王様に…王様に頑張って頂くしか…」
「…もう無理じゃよ?」
「精が付く食べ物を本日もご用意しておりますので…」
「いや…そうじゃなくてだな、宰相?」
「王様の為にはるばる…はるばる漢方という名の薬も隣国からの協力も得て取り寄せましたので…何卒、何卒今晩もお励み頂ければ…」
「いや…もう、ホント無理だから…マジ無理だって!宰相よ?わしが何歳なのか忘れたのか?」
「…
「10ヶ月?11ヶ月か?とにかくじゃあ、今日産まれた姫を仕込めたのも奇跡じゃからな?言ったでおろう!ずっとずっ~とアレを最後に使い物にならなくなったと!!!」
「…ですから漢方迄取り寄せてたではありませぬか!精が付く様にと…」
「そんなもの最早効かんのじゃあ!わしを殺すつもりか宰相!?」
「で、ですが…」
「隣国の王なんか…最後に女性を抱いたのは40の時と言っておったぞ?それ以来立たぬと…」
「他所は他所です…」
「ぐぬぬっ…」
「それに…隣国はそのせいで特に人口が減っておるのですぞ?」
「それはそうじゃがの宰相…本当に無理じゃから…」
「…私、いえ、宰相になった者達に昔から伝わる言葉が御座います…。古より王様が不能になった場合に贈る言葉だと聞いております…。今こそ…それを王様にお伝えしましょう!!!!!」
「…聞きたくないが言ってみぃ…」
「立たぬなら立たせてみせようミドリガメ!!!」
「………馬鹿なのか、歴代の宰相は?」
「まだ、御座います!」
「…最早聞きたくないのじゃがっ?」
「立たぬなら立つまで待とうミドリガメ!」
「…待たれも無理じゃからな?」
「まだです!まだ終わりませぬ!!!」
「いや…終われや」
「王様…いつから立たぬと錯覚していたのです?」
「いや、錯覚じゃあないからな?」
「…今晩…三名程寝所にお呼びしておりますゆえ…」
「この糞宰相がぁぁぁー!立たぬ言うておろうがぁぁぁー!」
「いや、少しは立たせる努力しろよな?」
「うぉーい!?不敬であろう!?」
「国の為です!」
「だったらお前も来いや!」
「流石に私はもう産めませぬよ(ぽっ)」
「ぽっ─じゃあないからな?間近で見て判断するがよい!もうホントマジで無理無理無理無理無理無理無理無理無理じゃからな?」
王が言った様にどんなに頑張ってもそれはもう使い物にならなかった…。
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