男女比がおかしい世界の貴族に転生してしまった件
美鈴
プロローグ
「わりい、俺死んだ」
みんな知ってるであろう有名なセリフ…。何でそんな事を今、俺は言ってるのかって?
それは間違いなく俺が死んだから…。
***
その日の俺は疲れが溜まっていたんだと思う。毎日勉強や部活に精を出していたし、バイトもしていた…。だから風邪なんてひいてしまいおまけに40度の熱迄……。
体力がないなんて言ってくれるな…。とにかくそんな状態でも俺は休まずに全てをこなしたんだよ?でも帰り道にある歩道橋の階段を踏み外して……そして強烈な痛みと共に意識は真っ暗な闇の中へ…。
─で、冒頭へと戻る訳だが…。言っておくが夢オチとかそういうのじゃないんだからね?だって現在進行形で俺は…俺は……
女性からおっぱいを貰い飲んでいるのだから…。
***
最初はさあ、何事かと思ったよ?意識が戻ったは良いけど何も見えないし、あんまり自由に動かない体で真っ暗な柔らかいトンネルを這いずっていたんだから…。何か息苦しいしさ…。階段から落ちた後遺症と思った位だ…。
─で、長いトンネルみたいな所からようやく頭に空気が触れ、出口か?と思ったらそのままスルンっと体事外の空気に触れたのが分かったんだ…。出られた!?と、思ったのも束の間、マスクと頭に頭巾とでも言えば良いのかな?とにかくそういうので顔や頭を隠している巨大な女性に抱き抱えられたんだ。
何で女性って分かるかって?だって…胸元に抱き抱えられているんだからほらっ…、当たるだろ?わざと当ててるんだよ?とか、言われてみたいが残念ながらそれどころじゃない…。
とにかくこんな巨大な女性見た事もない。まずは助けを…
「おぎゃー!」
んっ?おぎゃー!って、何だ?声を出し続けてみる。
「おぎゃー!おぎゃー!おぎゃー!」
……俺の声!?俺の声なのかっ!?
「奥様…げ、元気な男の子に御座います!」
「はぁはぁ…ほ…本当に?」
「はい、奥様…」
頭巾にマスクの女性は俺を何かで包むと奥様と呼ばれた綺麗な若い女性に俺を手渡したんだ…。その女性をよく見ると額に汗を浮かべている…。
「あらっ…この子…目が見えてるのかしら?」
「もしかしたらそうかも知れませんね、奥様…」
「私の…私の可愛い赤ちゃん…」
…赤ちゃんって言った!?今、赤ちゃんって言ったよね!?と、いう事は先程の女性は巨大だったわけじゃなくて…俺が赤ちゃんだったから巨大に見えただけ…?
「奥様…母乳を…」
「そうね…私の赤ちゃん…しっかり飲んでね?」
俺にうら若き女性のおっぱいが近付いて来る…。この女性が母親?若くね!?そう思っているうちにおっぱいと俺の口の距離がなくなってくる。なるほど…俺は赤ちゃんだから飲めと?
ふっふっふっ…あっはっはっ─
─って、飲めるかぁー!?こちとらさっきまで高校生だったんだぞ?思春期だったし、やましいというか…エッチというかそういうのには興味はあったんだけど残念ながら童貞だよ!僕の亀さんは出番がないまま、海へと帰って行ったのさ…キラ~ン…。悲しい現実だった…。
「はい、あ~ん?」
「!?」
それはいつの間にか僕の唇へと当たっている…。心なしかお腹が空いてきた気が…。くっ…致し方なし…。
「パクッ…んぐ……んぐっ……」
「良い子…良い子…しっかり飲んで…元気いっぱい育ってね?私の…世界の…愛し子…」
んっ…?母さんと思わしき人は何て言ったんだ?世界のとか聞こえたけど…気のせいだよな?
俺は知らなかった…。ここがどんな世界でどんな状況なのかを……。
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