龍は金弓持ち光り輝く
加須 千花
第一話 その女童、龍のごとし
「はあぁって、息かけた
「あ───ん?
いかにも、
上は全部、兄。下に弟。
結果、兄弟に揉まれて喧嘩好きになったのである。
「その
「おまえは才能があるぅぅぅ!」
と手放しで褒められ、どこからか流れてきて郷長の家に
「おまえには才能がある……、わしの秘技を授けよう。」
と謎の格闘術を授けられ、人体のツボを教えられ、齢十二にして
それからは、次から次へと近隣の
───
と恐れられるようになった。
ま、十五歳までの、
こうやって、小僧の率いる
毎回小僧は、あたしに、
まあ、皆、喧嘩は大好きだから、良いんだけどね。
「
九月の空に小僧が宣言した。川向うで、
「そうだあ。」
「明らかにするぞー!」
「全部明らかにするぞー!」
と、小僧の取り巻きがはやしたてる。
「はあ……。無理だと思うけど。せいぜい頑張ったら?」
と言う。今度は
「毎回負けやがってー。」
「根性無しがー。」
「
とはやしたて……、なんか最後変なのまじってなかった?
小僧が赤い顔で、
「うるせえ! やっちまえー!」
号令をかけた。
「行けえ!!」
叫び、梅の木の棒を、すらり、と上空に振った。
わあ、五十人ほどの、十五歳までの
「ふん!」
梅の棒で、腕を打ち、頭を打ち、昏倒させ、掴みかかろうとする
「はいっ!」
足払いをかけ、ばしゃん、と川に水しぶきをあげて沈ませ、乗り越え、ふっと膝をかがめ、背後から殴ってきた
「拳骨!」
殴りたい気分だったので、腹にめがけ左拳をはなった。
みぞおちに食い込む。ぐぅ、相手はうめく。右腕に持った梅の棒で、がつ、頭を打つ。
相手は倒れた。
「
喧騒と、川の水音がうるさいなかで、小僧が
「あたしはここだぁっ!」
名のりをあげる。
それを二回も繰り返せば、さあ、とまわりから人波はひき、頭首同士の一騎打ちのための場所が生まれる。
「姉ちゃん! 大変だ! あっちから
弟の切羽詰まった声が、その場の緊張を解いた。
「はああっ?! どこだ?」
「
「これまでだよ。そんなにあたしに勝負してほしいかい。いつでも付き合ってやるよ。」
てきぱきと
胸、腹を隠す白い麻布に乱れは無し。
ちらっ、と横目で小僧を見たら、
「…………。」
小僧が真っ赤になってもじもじしてる。
「むつかしっ。(気持ちワルっ)!」
「バ、バカ───!」
と泣きべそをかいた小僧が向こう岸に逃げていった。
* * *
全五話+あとがきです。
※著者より。
残念ながら、15歳の小僧クンの淡い想いは、14歳の
小僧「わ──────ん!!」
加須 千花「泣くな、小僧。」
小僧クンは、あきらめて、三年後に郷の良き
【参考、引用/蜂蜜ひみつ/てんとれないうらない/第三話、はあぁって 息かけた
↓挿し絵です。
https://kakuyomu.jp/users/moonpost18/news/16817330665697436243
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